【水路を航く】#50/広島県 安芸群島/陸と海とで島から島へ
日本のみならず世界のボート乗りからも人気のクルージングエリア、瀬戸内海。
フネでしか行けない島だけでなく、しまなみ海道やとびしま海道のように、橋伝いで訪れられるところもある。
今回の目的地である倉橋島と江田島の間にも橋が架かっており、それは江田島と本土をつなぐ重要な役割を果たしている。
水路で、陸路で……瀬戸内の島々を結ぶ景色を、二つの視点から楽しんでみよう
(トップ画像説明)
倉橋島と江田島を結ぶ早瀬大橋(1973年完成)。高さが36メートルあるので、4,000トンクラスの大型船も航行できる。 広島県の呉駅が起点のかきしま海道を使えば、江田島まで陸路で行くことが可能
倉橋島
遣唐使のフネを造った島といわれる倉橋島は、古くから船大工が集まる造船の島としても有名だ。島の西部にある「マリンクラフト風の子」は、オーナーの要望を聞きながら特徴あるフネを造り続ける造船所。入り江に面し、裏手はすぐ山というまるで秘密基地のような立地も面白い。
倉橋島の入り江にある造船所「マリンクラフト風の子」。造船所につながる道は山道のため、陸からではなくフネで行くことになる。スタッフの通勤ももちろんフネ!
■ マリンクラフト風の子 TEL:0823-53-1741
倉橋島の周辺には、広島名産のカキの養殖イカダがたくさんある。マダイやクロダイなどをねらってイカダの上からイトを垂らす釣り人の姿もよく見かける
北側は江田島を望む海、南東側は山という好立地にあるアイルマリンは、宿泊可能なクラブハウスなどもある、居心地のよいマリーナだ。今回の取材では、アイルマリンのハーバーマスター、小山 悟さんにご協力をいただき、和船で案内してもらいました
■ アイルマリン TEL:0823-53-1177
アイルマリンとマリンクラフト風の子の間にある天然の岩。豚の鼻に似ているので通称は「ブタハナ」
江田島
この島の名前を聞いて、旧海軍の兵学校を思い出す人も多いだろう。歴史を感じさせる校舎は、現在も海上自衛官の幹部候補生養成所として使われている。島へは、宇品などからフェリーで行くルートのほかに、呉市の倉橋島を経て陸路で行くこともできる。
良質の石が取れる江田島ではダイナミックな石切り場の景観が楽しめる。島の前を航行していくのは海上自衛隊の練習船
明治時代に建てられた旧海軍兵学校。現在は海上自衛隊第1術科学校となっている。海軍兵学校跡地は一般見学を受け付けている(要予約)
1階が江田島の観光案内所になっている「ふるさと交流館」。2階は資料館として、旧海軍ゆかりの品々が展示されている
■ ふるさと交流館 TEL:0823-42-4871(江田島市観光協会)
日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第50回は、『ボート倶楽部』2023年3月号に掲載された、瀬戸内海に浮かぶ倉橋島と江田島の風景をお届けします。
(※本記事の取材は2022年の12月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください)
(文・写真=舵社/山岸重彦)