“満開”のこいのぼりを見上げ、小さな和船で小江戸を航く――うずまの鯉のぼり

2025.04.23

【水路を航く】#52/栃木県栃木市・巴波川/1,151尾のこいのぼりと舟唄と

栃木県南部に位置する栃木市は東京から電車で1時間ほど。関東平野の肥沃な大地にあり、農業も盛んだ。 江戸時代には巴波(うずま)川の舟運による交易で、物や人が多く集まる商都として栄えた土地である。現在も当時の蔵が多く残り、「蔵の街」とも呼ばれている。

川に目を転じると、小さな和船を使った遊覧船が就航しており、小江戸の街並みをフネの上から見て楽しむことができる。船頭さんが歌う栃木河岸船頭唄が、船上はもとより街中までも響きわたり、ひときわ旅情をそそる。

春、「うずまの鯉のぼり」では川面を埋めつくすように1,151ものこいのぼりが泳ぐ。その景色景色は圧巻のひと言(ちなみに、「1,151」という数は「いいコイ」の語呂合わせ)。

遊覧船で川の上から見上げ、遊歩道をそぞろ歩いて見晴らすという二通りで楽しもう。

 

(トップ画像説明)
五月晴れの空の下、川面を覆いつくすほどのこいのぼりが飾られた巴波川。すげがさをかぶった船頭さんが操る遊覧船がゆっくりと航く。乗客の多くもかさを身に着け楽しんでいた

 

長いサオを巧みに操り、乱舞する色とりどりのこいのぼりをかいくぐってフネは進む。一枚の絵画のような風景だった

 

こいのぼりが飾られるこのイベントは栃木市の春の風物詩。遊覧船乗り場にはお客さんが列を成す。乗船券は1日券であるため、同日内なら何回でも乗船が可能

 

通常は立っている船頭さんが、かがまなくては通れないような低い橋もくぐってフネは進む。川幅が狭いところもあるため、サオさばきには高い技術が必要
■うずまの鯉のぼり 期間:2025年3月15日(土)~5月11日(日)

 

近くには古民家や蔵を利用したおしゃれなカフェも多いので、ちょっとひと休みするにはもってこいだ。こちらは巴波川沿いにある、和菓子のお店「菊家」。中でも一番の人気は、店頭で焼き上げた生地にたっぷりのあんことバターをはさんだ「あんバターどら焼き」
■ 御菓子処 菊家 TEL:0282-23-5652 

 

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。

第52回は、『ボート倶楽部』2023年5月号に掲載された、栃木県の情緒あふれる春の風物詩をお届けしました。
(※本記事の取材は2022年の5月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください)

 

(文・写真=舵社/山岸重彦) 

 


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