日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する
第35回は、『ボート倶楽部』2022年1月号に掲載された、滋賀県の近江八幡における水路の風景をお届けします。
【水路を航く】#35/滋賀県・近江八幡
いにしえの風情を楽しむ舟遊び
旧国名では近江と呼ばれた、現在の滋賀県。近江商人の拠点であった琵琶湖東岸の近江八幡は、江戸時代、 八幡山の山頂に城を築き、麓の城下町は琵琶湖につながる運河を造り発展を遂げた。
今なお残るお堀沿いには、白壁の土蔵が立ち並び、石積みの水路と共に、当時を思い起こさせる風景となっている。
山城があった八幡山からは、近江八幡の町や琵琶湖、西の湖が見渡せる。近江八幡周辺の水郷地帯は琵琶湖八景に数えられる景勝地で、豊臣秀吉のおい、豊臣秀次が宮中の舟遊びに似せて水郷めぐりを始めたといわれている。現在も就航する手漕ぎの観光船が、葦が生い茂る水郷地帯をゆっくり進んでいた。
(トップ画像説明)
葦林の中を進む手漕ぎ船。艪(ろ)を操り、細い水路も上手に行き交っていた。近江八幡の水郷は平成18年(2006年)に「重要文化的景観」の第1号として、文部科学大臣に選定された
少し開けた場所を進む手漕ぎ船。琵琶湖から少し入り込んだところにある水路だが、風が強い日などは 欠航になることも
船頭さんが艪を漕ぎながらガイドをしてくれる。前へ進む動力と舵の両方を、艪でまかなっている
続日本100名城にも指定されている八幡山。頂上から近江八幡の町並みを眺めると、びっしりと立ち並ぶ瓦屋根が壮観。そして……
東側に目を転じると、細い水路でつながる西の湖と水郷地帯の周りに広がる田園風景が見える
タイムスリップしたかのような風景が残る八幡堀。秀次がつくった当時の景色を思い起こさせる水路を、観光船が航行する。映画やドラマなどのロケにもよく使用されているそうだ
(文・写真=舵社/山岸重彦)
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