東京オリンピックセーリング競技観戦ガイドの第3弾は、セーリング競技日本代表選手団の中村健次監督のインタビューをお送りいたします。
日本セーリング連盟オリンピック強化委員会(以下、オリ強)の強化統括責任者として、自身の経験を生かしつつ選手のサポートに徹した中村監督。五輪直前に話を聞きました。
――オリ強として、五輪延期決定から1年弱の間、最も重要視したのはどんなことでしょうか。
中村「海外遠征に行けない状況下で、選手のモチベーション維持が大きな課題でした。モチベーションを保つために、練習相手の確保などを重要視しました」
――オリ強の目標「3種目(男子470級、女子470級、レーザーラジアル級)でメダル獲得」を目指す上で、過去の五輪の強化と東京五輪の強化で、どのような改善点がありましたか。
中村「一番大きなことは、所属企業のバックアップでした。それと土居愛実選手と富澤 慎選手に海外の優秀なコーチを招聘(しょうへい)できたこと。もう一つ男女470級に関していうと、企業チームとオリ強として協力できること、例えば私がアドバイザー的な立場で一緒にやってきたということがあるかと思います」
――前述の目標に変化はありませんか?
中村「はい。メダルを目指せる種目は、女子470級、レーザーラジアル級、男子470級の順だと思います。4番目に男子RS:X級。今の状況を見ていると、49er級も入賞の可能性が出てきたと感じます」
――「選手の能力(月刊『Kazi』2018年8月号のインタビューにて)」とは、どんなものだと考えますか。また、その能力はこの1年で向上したと思いますか。
中村「持って生まれた才能と、セーリングする上での体力的および体形的な部分です。この1年でそれは向上したと思います。セーリングは常に課題がたくさんあり、完璧な状態はないと私は思っています。その足りなかった部分や、試したかった部分を、選手たちはこの1年でだいぶトライできたのではないかと。限られた環境ではありながら、ある程度やれることはやれたのかなと思います。この春、何種目かヨーロッパに遠征して海外の強豪選手と手合わせして、選手たちと話しても悪くはなかったなと、いい印象を持っています」
――一般の方には、どういう点に着目して五輪を観戦してほしいですか。
中村「スタートライン上での場所取りや、マーク際での駆け引きでしょうか。見ごたえがあるのは、やはりヨットが集まってくるところ。ヨットの経験がある方には、タクティクスやストラテジー、波に乗せるテクニックなどに注目していただければ」
――日本代表選手たちに、東京五輪本番でどんなことを期待していますか。
中村「一つでも順位を上げてもらうことですが、何より健康で伸び伸びとやってほしい、これに尽きますね。自由にならないことが多いですが、ストレスをうまく発散してもらって、心身ともに健康で楽しく伸び伸びできれば、おのずと良い結果が出ると思います。当たり前にみんな頑張るから、頑張れというのはあまりなくて、体を壊さないでほしいですね。我々は選手がいい状態でレースに臨めるようにやるだけなので、あとは選手が元気にレースに出られるかどうか。それができれば、皆さまにいい報告ができるんじゃないかなと思います」
日本セーリング連盟 オリンピック強化委員会
https://jsaf-osc.jp/
日本セーリング連盟 公式オリンピック応援サイト
https://www.jsaf.or.jp/tokyo2020/
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(文=森口史奈/Kazi編集部 写真=矢部洋一)
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