東京五輪 レーザー級日本代表 南里研二

2021.07.23

今日の東京五輪セーリング競技の代表選手紹介は、シングルハンド一筋、レーザー級の南里研二(百五銀行)です。3度のオリンピックキャンペーンをへて、代表の座をつかみ取りました。

 


レーザー級
Men's One Person Dinghy

南里研二

 

「3度目の正直でつかんだ五輪。思いきりのいい攻めのレースを」

 

■クロアチアチームと合同練習

ロンドン、リオと最終選考まで進むも、国枠の獲得ができずに五輪を逃してきた南里。東京が3度目の正直であった。
「リオ五輪の時は、キャンペーンの前半は練習自体あまりできてなくて。夜中にほぼ全部バイトに入っていないと遠征費も稼げない状態で、後半はバイトを辞めて無職で海外で練習していました。ロンドン五輪の時は、仕事が忙しくて練習時間を十分取れませんでした。それを踏まえて、東京に向けてはきちんと練習できる環境で取り組みました」

そもそもヨットを始めたのは、小学3年生から。小学生のころから高身長で、シングルハンド一筋だった。
「高校1年生の時点で身長が185cmあって、FJ級に乗れる身長と体重でなかったので、そもそも選択肢がなかったんです。高校2年生で国際大会に出させてもらって、それから五輪を意識するようになりました」

五輪に向けて活動する中、2014年の長崎国体で声をかけてもらった三重県に所属することになり、三重国体に向けて体育協会に入り、そこで百五銀行への所属を打診された。仕事をしつつ、セーリングに集中できる環境を手に入れた。さらに技術アップのチャンスがめぐってくる。
「それまで海外選手と走ることはあまりありませんでしたが、今回はクロアチアチームと一緒に現地で練習したり、合宿に参加したりで、日本チーム全体でレベルアップできたかなと思います。ロンドンやリオまで、北京五輪に出た飯島洋一さん以降、世界大会で上位半分に残れていなかった。でもクロアチアチームと練習するようになって、自分たちも半分以上に残れるようになってきたし、大会によっては前のほうを走れるようになってきました」

 


2019年のワールドカップシリーズ江の島大会の様子
photo by Fumina Moriguchi / Kazi

 

■最後だから攻めのレースを

2019年7月のレーザー級世界選手権(鳥取県・境港)で、南里は日本人トップ、唯一シルバーフリート入りして選考ポイントを獲得する。そして2020年2月に最終選考を迎えるも、攻めることが苦手な性格ゆえに苦しむことになった。
「最初は全然攻められなくて......。『このままブロンズフリートに入ったらだめだ』と思って、がむしゃらに攻めてシルバーフリートに食い込みました。代表に決まった時はほっとしましたね。これまでいろいろな人に支えてもらっていたので、いい報告ができると」

コロナ禍で海外選手と練習ができず、筋力トレーニングと、セーリングパートナーである鈴木義弘と走り合わせを行ってきたという。この春にはヨーロッパ大陸予選とコーチレガッタに出場し、久々の国際レースで手応えはあったようだ。
「練習の最初はドベのほうを走っていたのですが、レース前にだいぶいい状態になりました。スピード自体は上がっていますね。ただ、クローズの走りに改善点があって、集団に入ると遅くなってしまう。フリーは今までで一番いい状態で、前にいても抜かれないし、後ろにいても順位を上げられます。五輪ではメダルレースに残りたいですね」

レーザー級は35艇が出場する。攻めのレースをしなければ、その目標はたやすく達成できるものではない。
「五輪はいよいよ最後なので、攻めていこうと思っています」

やっとつかんだ五輪の舞台で、攻めないレースをする理由は無い。南里の攻めの姿勢を見せてほしい。

 

南里研二(なんり・けんじ)
●所属企業:百五銀行
●出身:佐賀県
●年齢:29歳
●身長/体重:190cm/85kg
●競技歴:20年
●経歴:佐賀県立唐津西高校
●五輪出場歴:初

 

【応援メッセージ】
Kazi誌が企画した日本代表への応援メッセージの一部を掲載します。

・じゅんぺい、けいじゅ、なんり、九州男児よ、キバレ!!(katta/38歳)
・ミスターシングルハンダー。世界に目にもの見せてやれ!(カイパン/51歳)
・3大会目のチャレンジが実って、同じ九州出身のセーラーとしてとても誇りに思います!新しい歴史を作ってください。(小戸セーラー/28歳)

 

この記事は、現在発売中の『Kazi』8月号を再編集したものです。ぜひ本誌『Kazi』もお買い求めください。 

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(文=森口史奈/Kazi編集部 レース写真=宮崎克彦 選手顔写真=濱谷幸江/日本セーリング連盟)

 


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