やっと取れた貴重な休み、詰め込みまくりの航海計画を立てていませんか? たまにはゆっくりしましょうよ、ということで、ヒット漫画『ゆるキャン△』みたいに、ゆったり遊ぼう~、という話(笑)。カヤックで遊んだり、ハンモックで休んだり。なんだかんだと、ヨットとキャンプは実に親和性が高いのです。
月刊『Kazi』誌9月号に掲載した記事をその1~3に再編集し、お送りします。
ではまず、大きく掲げてしまった“ゆるクル”とは何かを検証 お呼びしたのは、このお二人。セーラーのハリー岡野さんと、キャンパーの清水昭夫さん。異業界の2人が見せる化学反応、しかとお見届けいたします! ではその1をどぞ!
ダナ24のハリー岡野オーナー(中央)、クリアウォーターカヤックス代表の清水昭夫さん(左端)、そして葉山セーラーの杉浦可奈さん。清水さんが用意した「ゆるクル」的キャンプアイテムを広げてみる。楽しくなってきました!
カヤックも楽しむ作戦でーす
コチラの二人がゆるクルを作ります♪
セーリングのプロ
ダナ24オーナー、ハリー岡野さん
Harry Okano
ヨット歴66年。RYAデイスキッパー。現在の〈ポーラスター〉(ダナ24)は8艇目。国内外でのクルーズのほか、シーボニアマリーナを拠点に相模湾でデイセーリングを楽しむ。
キャンプのプロ
クリアウォーターカヤックスの清水昭夫さん
Akio Shimizu
カヤック&キャンプ歴35年。カヤック専門ショップ「クリアウォーターカヤックス」代表。カヤックによるツーリングイベントの企画運営も手掛ける。まさにキャンプのプロである。
まずは準備! カヤックを用意!
清水さんが用意してくれたカヤックを膨らませよう!
ヨットへの格納を考慮して、インフレータブル・カヤックを選択。ヨットとの接触も安心
5分ほどで膨らんだ。収納時は80Lのザックほどの大きさだった。これなら艇内に置いてもオッケー
「『ゆるキャン△』とは、スタイルなどは気にせず、気楽にできるキャンプのことです」と、作者のあfろ先生が言っていた。
では、「ゆるクル」とは何か。
セーリングはこうあるべき、というものはそれぞれのセーラーにあるとは思うが、今回はそれらを取り払って、気楽にできるクルージングを組み立ててみたい。この特集を機に、皆さんで「ゆるクル」を作っていければと思います。いつも通り、探り探りの企画です(笑)。
まずヨットはどんなものがよいか。レース艇は違うとして、やはりクルージング艇。さらには小さくてクラシカルでかわいいヨットがいいかもしれない。そこでお声をかけたのがハリー岡野さん。W.I.B.クリーロック設計のポケットクルーザー、ダナ24〈ポーラスター〉のオーナーである。まさにゆるクル! といったフォルムを持つ名艇だ。
「ドラマ版の『ゆるキャン△』、見てました。面白いですよね。なるほど、ゆるクル。私にぴったりじゃない」とハリーさん(笑)。
ここへキャンプのプロをお呼びして、その化学反応を見る。そういう話なら毎回この方、クリアウォーターカヤックスの清水昭夫さん。あの狭いカヤックの上で料理を作ってしまう、キャンプ料理の猛者である。
「一応言っておきますけど、私はキャンプ料理人じゃなくて、カヤック屋ですからね(笑)。『ゆるキャン△』はもちろん知っていますよ。それで、ゆるクルか~。え? ギャレーを使わないで? うーん、じゃあスモーク料理かなあ」と清水さん。
それらの体験役として、葉山マリーナでヨットに乗るセーラー、杉浦可奈さんをお呼びし、ここに「ゆるクル作る隊」が結成された。しかし、正解は誰にも分からない。だって、ゆるクルって言葉は、つい先日考えたものだから(笑)。
テンダーを曳航して出航!
荷物を積み込み、テンダーを曳航。ゆるクルが始まります!
船尾にテンダーをつなぎ、ゆっくりと出航。なんだか絵になる佇まいです
目指すは小網代湾湾口! って目の前のことですが(笑)。アンカリングポイントまであと少し
静穏な入り江でアンカリング
ブランケットがあって水深が浅い。よきポイントを選ぼう!
小網代湾の水深7mほどの場所を選択。アンカーレッコ。アンカーが効いたら、見通しを確認!
アンカリングして、タープとハンモックをセットしたら、ゆるクル開始!
「島とかね、遠くへ行っちゃうとゆるクルじゃないと思うんですよ。シーボニアマリーナから出てすぐの小網代湾湾口でアンカリングするのはどうです? 長居するのもゆるくない(笑)」(ハリーさん)
「ランタンやタープがあるとキャンプらしさが出ますよね。夕暮れに撮影しませんか? あと、テンダー代わりのカヤックを持っていきますよ。インフレータブルなら畳んでヨットにも格納できるし」(清水さん)
「ヨットの上で、ハンモックに揺られたいです! 」(可奈さん)
事前の相談からどんどんアイデアが出てくる。編集部からの答えはすべて「いいですね、それ! 」一択だ。だって、正解なきゆるクルの正解は、これから作っていくのですから。
取材開始は14時ごろ。いろいろと準備をして16時ごろに出港し、19時の日没(取材は7月上旬)を海上で待って帰港。一般的なクルージングのスケジュールと比べても、かなりゆるい。いつもの取材としても、ゆるい。いい感じだ。
清水さんが用意してくれたテンダー、インフレータブル・カヤックも、ゆる~く電動ブロワーで一発ですよね、と思ったらまさかの手動ポンプ。一瞬あせったが、空気入れはすごく簡単だった。「私が面倒くさいことするわけないでしょう(笑)」(清水さん)。失礼しました。これは、ヨットの上で膨らますことも想定した、手動ポンプの用意であった。深い。
そうして準備したキャンプ道具たちをダナ24に積み込み、いざ出港。赤いカヤックを引っ張って走るダナ24のその姿は、まさしくキュート。ゆるクル! な気持ちが高まってきた。
カヤックで海上散歩を楽しむ!
テンダー代わりのカヤックの漕ぎ方を清水さんに教わろう♪
タンデムのカヤックは男性が後ろで。サポートしながら漕いでいこう
息が合ってきました! 笑顔もこぼれる。ヨットに必須アイテムかも
清水さんに全力漕ぎをお願いした。速すぎてまじでびびる!
アンカリングしたダナ24に戻って、まずは乾杯
「ハンモックでゆったりと波間にゆられる“ゆるクル”時間」
マストとバウパルピットに設置したハンモックで揺れる可奈さん。特になにもしないというのが一番のぜいたくとも思われ。ゆるクルの醍醐味か……
(次号へ続く・・・。次回は、どうにか作ってみたゆるクルの俯瞰図を紹介します!)
(文=中村剛司/Kazi編集部 写真=山岸重彦/舵社)
※本記事は月刊『Kazi』2023年9月号に掲載されたものです。バックナンバーおよび電子版をぜひ
ゆるクル紹介動画はコチラ
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