月刊『ボート倶楽部』で連載中の2馬力ボート釣行記「〈マルコ〉が航く」。2馬力ボート〈マルコ〉(アキレスLF-297IB/スズキDF2)に乗って、筆者・丸山 剛さんが、相棒のM嬢と一緒にあちこちを釣り巡る連載だ。
舵オンラインでは、その釣行記の内容を、かいつまんで再掲したい。
今回は、2022年9月号に掲載された、駿河湾の沼津沖でタイラバとジギングをねらった釣行をご紹介する。
※本記事の取材は、2022年6月に取材したものです
出艇場所は、静岡県・沼津御用邸記念公園の第3駐車場。駐車場前にあるスロープを上がり、平地を抜けて、海岸側のスロープを下ると砂浜にアプローチできる。行程の長いスロープだが、その先に待つ海は魚影濃い駿河湾なので、期待を胸に長いスロープを抜ける。
このあたりの海岸はかさ上げ工事が進み、海岸へのアクセスがどんどん難しくなっているようだ。丸山さんも、訪れるたびに出艇場所が変わっていくようで、今回出した沼津御用邸記念公園から出すのも初めて、とのことだった。
今回出した牛臥(うしぶせ)海岸の様子。長いスロープを上ってきて、写真手前のスロープを下れば、あとは砂浜だけだ。出艇すれば、そんなに走らなくても十分に魚影の濃い海が広がっている
長いスロープを上った先はこんな感じ。写真左のスロープを少し上がると下りのスロープへと続いている。訪れたときは工事中だったが、工事が終了すれば、ここまでクルマで来れるようになるのかもしれない
第3駐車場そばにはトイレがあり、水道もあるため、洗艇用の水は補給可能
早速、出艇し、牛臥山(うしぶせやま)の沖にあるハイチ根の沖側に沿ってボートを流し始める。丸山さんはジギングで、M嬢はタイラバでスタート。潮流が速く、水深のわりには重いウェイトを使わないと底が取れない状況だ。
アタリがないまま過ごしていると、風が西風に変わった。とはいえ潮の流れのほうが速く、ボートは風向きと逆に流されている。そのぶんラインが立つので釣りやすくはなった。それにしてもアタリがない・・・。流す筋を変えて、ハイチ根の真上も流してみるが、一向にアタリがない。
遠くに頭だけ出ている富士山を眺めながら釣りスタート。ジグを落としてみたり、タイラバを巻き巻きしてみたり、思い思いに釣りをするがアタリは一向にない
ふと、沼津港沖にプレジャーボートの船団ができているのが見え、気になるからと行ってみることに。水深は深くても50メートルくらいだろうか。船団に交じると、イワシの群れがびっしり入っているのが魚探画面で確認できる。おそらく青ものがが回っているのだろう。2人ともジグを落として釣り始める。
と、すぐ近くのフネがエサ釣りで45センチくらいのイナダ(ブリの若魚)を釣り上げた。さすが生きエサはすごい、なんて関心してしまった。
そうこうしているうちに、今度は南風に変わり、岸に向かって流されるように。すぐにラインが斜めになってしまい釣りにくい。パラシュートアンカーを入れると沖に流されるようになり、これも釣りにくい。ポイントを戻そうとジグの回収を始めた丸山さんのサオが曲がった! それほどヒキは強くなさそうなので、青ものではなさそう。釣れ上がったのは、きれいな色のソコイトヨリだった。
きれいなソコイトヨリ。イトヨリって食べておいしいのはもちろん、その魚体のキレイさで、釣れ上がると妙にうれしい感じがするのはM嬢だけか?
ポイントを戻して釣り始めると、いきなりM嬢にアタリがきた。スピニングタックルで40グラムのタングステンジグを落としている最中に、どんどんイトが出ていくので、合わせたら、ジャーーーーッとドラグがなってラインが引き出されていく。ドラグが甘かったので少し締めようとしたら、誤って締めすぎてしまい、痛恨のラインブレイク。もっとていねいにやるべきだった・・・と後悔ばかりが残る。
いつの間にか、あんなにいた周りのプレジャーボートがほとんどいなくなっている。だけど、イワシの群れは変わらずいる。変わらず2人でジグを落とし続けていると、今度はベイトタックルでジグを落としていたM嬢に再びヒット。
巻いては出され、巻いては出され、の攻防を必死に闘っているところ。この日おろしたてのロッドにいい入魂ができました
またもやラインが引き出されていく。今度こそはとドラグを慎重に締めていたら、ラインがどんどん出されて、スプールが見えてきた。これはやばいともっと締め込み、丸山さんからの指示に従い、ポンピングを始める。長引く攻防に、出艇してきたシーカヤックのカップルが何とファイトしているのだろうと見学している。なんともすごいヒキを耐え、丸山さんからの励ましと助言をいただきながら、やっとのことでフネまで寄せてきて、最後は丸山さんがランディングしてくれた。
「もはやブリといっていいサイズだよ!」と丸山さん。もう腕が痛くてプルプル・・・。だけど、やっぱりうれしいから頑張って持ち上げるの図。丸山さん、釣らせていただき、ありがとうございました!
ファイトしている間に着艇しそうな距離まで流されていたこともあって、いいタイミングだからと沖上がりすることになった。着艇後は、長い砂浜と長いスロープを汗だくになってボートを運んだ。この苦労をしても、マダイやブリが釣れると思えば、また来たくなるもの。今度来たときは同じ出艇場所から出せるといいな。
(まとめ・写真=BoatCLUB編集部/M嬢)
丸山 剛(まるやま・つよし)
1962年生まれ、神奈川県在住。海、山、川、湖とフィールドを選ばず全国を飛び回るプロのアウトドアカメラマン。可搬型のボートを各種乗り継ぎ、現在は2馬力ボートに落ち着いた。
※本記事は『ボート倶楽部』2022年9月号より抜粋。誌面では、筆者の視点により、より詳しい仕掛け、ポイント、釣り方などの解説が掲載しているので、気になる人は、バックナンバーや電子版、最新刊も、ぜひご覧ください。
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