月刊『BoatCLUB』で連載中の2馬力ボート釣行記「〈マルコ〉が航く」。2馬力ボート〈マルコ〉(アキレスLF-297IB/スズキDF2)に乗って、筆者・丸山 剛さんが、相棒のM嬢と一緒にあちこちを釣り巡る連載だ。舵オンラインでは、その釣行記の内容を、かいつまんで再掲したい。
今回は、2023年7月号に掲載された、神奈川県の金田湾で挑んだウイリー五目釣行をご紹介する。
※本記事の取材は、2023年5月に取材したものです
以前、トレーラブルボートに乗っていたころはよく楽しんでいたウイリー五目釣り。今回は、久しぶりに2馬力ボートでやろうと思う。出艇場所は神奈川県の金田湾に面した津久井浜。ここは有名な出艇場所で、ウインドサーフィンW杯記念駐車場(旧:下浦海岸第3駐車場)という細長い駐車場があって、そこからスロープで砂浜へ降りられる。ウインドサーフィンのゲレンデとしても有名で、風のない早朝はミニボートやシーカヤックが、風が吹いてくる午後にはウインドサーフィンが、などと、風によって見られる姿が変わるのだ。
さて、駐車場は広く、スペースは十分にあるためボートを膨らませる。以前、人家が遠いしレジャーで有名なところだしと電動ポンプを使って膨らませていたら、近くの住人から小言を言われてしまったので、足踏みポンプを使う。
駐車場の片隅で準備したボートをスロープから砂浜へと運ぶ。ベタ凪だったが、それでも波打ち際では多少波が立ち、油断をするとボートに水が入ってしまう
まずは北側定置網の沖へ。遊漁船も何隻か集まっているのが見えるが、そこまで行かず、手前の水深20~30メートルくらいを目指す
ベタ凪の金田湾にボートを出す。金田湾は南東に大きく開けた湾で、出艇した浜の沖には定置網がいくつか入っている。その間を進み、北側の定置網の沖にある掛リ根近くで釣りスタート。取材日は大型連休中とあって、遊漁船、ミニボート、貸しボート、シーカヤック、SUPなど、海上もにぎわっている。ただ、釣りをしているフネはあまり調子がいいようには見えないのが残念。
ベタ凪の海面に映り込む日暈が見られた。なんだかラッキーな気分になってしまうが、これから天候が崩れるサインでもある
最初のアタリはM嬢にきた。あまり引かないようだが、最初の魚なので慎重に巻き上げる
最初の魚はエソであった。「もっと大きければ持ち帰るのになぁ……」と残念がるM嬢
続くアタリで、あまり引かずに上がってきたのは、こちらもエソ
その後、流し続けるもエソ以外が続かない。そんなとき、颯爽と現れた地元のボートオヤジ。FRP製のボートにホンダの2馬力船外機を積んで軽快に走って近くまで来ると、「どう? 釣れてる?」と聞かれた。「ダメですね~」と答えると、「こんな浅いところじゃ釣れないよ~。水深50メートル以上は行かないと釣れないよ! 魚探あるなら行ったほうがいいよ~」と言って走り去っていった。行く先々のボートに同じことを言っている様子。それならばと水深50メートルを目指して走った。
水深55メートルあたりでボートを止め、シーアンカーを入れて釣りを再開。ただし、かなりの速さでボートが流されるので、仕掛けが浮いてしまって釣りづらい。水深50メートルを切ったところでやめることにした。ちょうど風が南に回り始めてきているところでもあった。この日の予想は昼から南の風が上がるというもの。少しでも陸に近づいたほうがいいと判断し、浅いポイントへと戻って、今度は湾の南側にある定置網の沖あたりを流す。
久しぶりのヒットが! だが、いかんせん軽い……
上がってきたのはホシササノハベラ。根魚ならばカサゴとかのほうがうれしいなぁ
続いてM嬢にもヒット。またしても軽いが、エソとは違うヒキで上がってきたのは、なんとホシササノハベラ。同じ魚を1尾ずつ釣るなんて……しかもエソとベラである
段々と風も強くなってきたところでコマセも尽きたので、無念の沖上がりとなった。帰りは追い風なので、ほとんど濡れることなく帰着。あれほどいたシーカヤックは全て引き上げたあとで、ウインドサーフィンがたくさんが出ている。しばらくボートの片付けをしていると、海上で声をかけてくれたボートオヤジが戻ってきた。魚が掛かったそうだが、ラインが切れてバラしてしまったそうだ。去り際に「エサ釣りするなら、ここは潮が速いからアンカー入れなきゃ釣りにならないよ~」と言っていた。アンカーを入れても潮が速いから80号のビシを使うのだそうだ。次はオヤジにならってアンカリングしてみよう。
2021年8月に同じ場所から出艇してシロギス釣りをしたときの釣果の一部。このときは順調にいろいろ釣れたのだが……
帰着後、どんどんと風が上がり白波が立つほどに。そんな海面を気持ちよさそうにウインドサーフィンが疾走していく
(まとめ・写真=BoatCLUB編集部/M嬢)
丸山 剛(まるやま・つよし)
1962年生まれ、神奈川県在住。海、山、川、湖とフィールドを選ばず全国を飛び回るプロのアウトドアカメラマン。可搬型のボートを各種乗り継ぎ、現在は2馬力ボートに落ち着いた。
※本記事は『ボート倶楽部』2023年7月号より抜粋。誌面では、筆者の視点により、より詳しい仕掛け、ポイント、釣り方などの解説が掲載しているので、気になる人は、バックナンバーや電子版、最新刊も、ぜひご覧ください。
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