2馬力ボート釣行記/琵琶湖でワカサギをねらってみた

2024.08.12

2馬力ボート釣行記、今回は日本一の面積を誇る琵琶湖で、最近増えてきたというワカサギをねらってみた。とはいえ、ボートで釣っているという前情報はなし。さて、どうなることやら。

※本記事の取材は『BoatCLUB』2024年5月号に掲載した記事を再編、2024年2月上旬に取材したものです


別の取材で琵琶湖に行く機会があり、せっかくだから2馬力ボートを積んでいき、若狭湾に寄って釣りをしてこようと思っていたのだが、時季は2月。日本海側へ向かう道が凍結していると聞き、海での釣りは断念。では、琵琶湖でボートを出すのはどうだろうと調べてみた。

琵琶湖は「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」(通称:琵琶湖ルール)というのがあって、プレジャーボートへの規制がある。ただ、2馬力ボートについては例外で、この規制対象外となるのだ。ということで、問題なく出せるのである。

出艇場所についても調べてみたところ、北東岸にある長浜港にはスロープと駐車場があり、出艇しやすそうなことがわかった。基本的には有料だが、7~8月以外の平日はスロープ利用料も駐車場も無料とのこと。

 

長浜港
料金がかかるのは7~8月の毎日と、3~6月、9~11月の土日祝日のみ。近くには公衆トイレもある。水道はないが、そもそも淡水なので、あまり必要としないだろう
●スロープ利用料:1,560円/日
●駐車場:1,180円/回(トレーラー付き)、590円/回(普通自動車)

 

あとは釣り物だが、ビワマス釣りは承認制で登録を受けた人しかできないので、釣ることはできない。ブラックバスのルアー釣りというのもなんなので、最近琵琶湖で増え続けているというワカサギを釣ってみようと考えた。しかし、琵琶湖でボートワカサギ釣りをしている情報はほとんどない。見かけるのはワカサギすくいである。

産卵期の1~3月になると、昼間、沖の深いところにいるワカサギの群れが、産卵のために夜、岸によってくる。そこを網ですくうのだそうだ。まるで富山のホタルイカすくいのようだ。

昼は沖にいるのだから、群れを見つければ釣れるはず。アンカリングしてエサを付けてのワカサギ釣りではなく、フラッシャー付きの空バリで群れを直撃して釣る方法でやってみようと思った。この釣り方は、群れの動きが速い芦ノ湖で行われている。

まずはインフレータブルボートの取り扱いが多い釣具店「フィッシングハウスOZATOYA(大郷屋)」にて情報収集。ただ、この店でインフレータブルボートを購入する人の多くは、日本海の海釣りを目的としており、琵琶湖でワカサギ釣りをする人はいないという。モロコ釣りならばする、ということで、いちおうモロコ釣りの仕掛けとエサのアカムシを購入した。

 

釣り具の販売からボート販売、ビワマス釣りのガイドなどもしている「フィッシングハウスOZATOYA」

 

店の2階にあるボート展示場にはジョイクラフトのインフレータブルボートが数艇展示されているほか、カスタムパーツなども豊富な品揃え

 

もともと琵琶湖にはワカサギは生息していなかったそうだが、琵琶湖の北にある小さな湖、余呉湖にはワカサギがいて、桟橋釣りができる。おそらく、余呉湖のワカサギが川から落ちて琵琶湖に入ったのだろう。20年前からワカサギが増えだしたのだという。

さて、広い駐車スペースを持つ長浜港で出艇準備をする。この日は晴れる予報だったが、朝からどんよりとした雲が広がっていて肌寒い。スロープはなだらかでエントリーしやすいのだが、すぐに深くなるので注意して出艇。

 

広いスロープから出艇する。傾斜は緩やかで短い距離で湖面になり出艇はしやすい

 

少し北にある姉川の河口を目指しつつ、魚探で群れを探しながら低速でボートを走らせる。群れを見つけたらすぐに仕掛けを投入できるように仕掛けの準備も万端だ

 

今回のワカサギタックルはトラウト用の軟らかいロッドに1000番のスピニングリール、ラインは1号でリーダーは4ポンド。M嬢のタックルはエリアトラウト用ロッドにアジング用スピニングリール。仕掛けはフラッシャー付きの10~15本バリで、オモリは9グラムを使用。

魚影を確認したら落とし込むだけの釣りだが、その魚影が見つからない。出艇間際に長浜港で見た漁船には、釣り上げたたくさんの小魚が積んであったし、その中にはワカサギも交じっていたのだが、魚影はない。やっと姉川の河口近くで魚影を見つけて仕掛けを落としてみたが、魚は掛からなかった。

 

長浜港のスロープの反対側は漁船の港になっていて、出艇前にちょうど戻ってきた漁船がいた。小魚をたくさん積んでいて、ワカサギもたくさん交じっていた

 

そうこうしているうちに北風が強く吹き出し、ボートがあっという間に流されてしまう。仕掛けが本当に魚影に届いているのかわからない状態である。そんなときM嬢のラインが船外機のプロペラに絡んだ。エンジンは中立にしていたのだが、風でボートが流されるときにプロペラが回ってしまっていたらしく、巻き付いてしまったようだ。ちょうど様子を見にきてくれた知人のボートがいたので、見守られながら船外機を船内に引き入れ、プロペラを外してラインを取り除き、エンジンをセットして一安心。ただ、風が強いこともあり、一度長浜港に戻ることに。

こわばった体をほぐして、再度出艇して今度は南側を探ってみたが、ワカサギの群れを見つけることはできなかった。この広い琵琶湖の中でワカサギの群れを探すのは難しいのがわかった。初めての場所はいろいろな経験をさせてくれるものだ。

 

休憩をはさみながらも釣りを続けたが、魚の群れを見つけることはできなかった

 

(まとめ・写真=BoatCLUB編集部/M嬢)

 

丸山 剛(まるやま・つよし)
1962年生まれ、神奈川県在住。海、山、川、湖とフィールドを選ばず全国を飛び回るプロのアウトドアカメラマン。可搬型のボートを各種乗り継ぎ、現在は2馬力ボートに落ち着いた。

 

※本記事は『BoatCLUB』2024年5月号より抜粋。誌面では、筆者の視点により、より詳しい仕掛け、ポイント、釣り方などの解説を掲載しているので、気になる人は、バックナンバー電子版最新刊も、ぜひご覧ください。


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