3月10日、ついに第36回アメリカズカップが開催された!
エミレーツ・チームニュージーランド1勝、ルナロッサ・プラダ・ピレリ1勝で開幕したAC初日を記念し、舵社主催にてWEB上で開催された「アメリカズカップ座談会」の動画を公開することにしました!
これは、月刊『Kazi』4月号のアメリカズカップ特集のために収録されたもの。記事が好評だったことを受けて、2時間弱の超ロング座談会を、ノーカットでお届けします。
参加してくれたアメリカズカップに関係の深い識者は4人。 鹿取正信さん、後藤浩紀さん、笠谷勇希さん、そして司会は永井 潤さん。
プロたちの目には、今回のアメリカズカップはどのように映ったのか。 技術者、そして現役セーラーが熱く語る、アメリカズカップのすべて。
ぜひご覧ください。
(トップ写真:photo by COR 36 / Studio Borlenghi)
movie by Aki Matsuayma / Kazi
※この座談会は2月8日(プラダカップ決勝前)に開催されたものです。
国内最速フォイラーにして、AC解説者
後藤浩紀さん
剛腕にして知的、SailGP現役グラインダー
笠谷勇希さん
ニッチャレに参加した博識のボートデザイナー
永井 潤さん
■採用艇の比較
前大会の採用艇、AC50(上)と今回のAC75を比較。AC50をブラッシュアップしたF50は、現在SailGPの採用艇として活躍。今回のAC75は大幅にサイズアップされ、レース中に50ktを記録したモンスターマシンだ
photo by COR 36 / Studio Borlenghi
イーグルとは、両方のフォイルを差して帆走する状態のこと。今のところ、イーグルは、タッキングやジャイビング時にしか見られない。「風が弱い時にはイーグルの逆、両方上げて走る展開もあるのかなと思いましたが、結果、片方しか使っていませんでしたね」(後藤さん)。「システム上、両方上げることができない、という話でしたね」(鹿取さん)
デッキスイーパーとブーム、そしてブームエンドの違いを議論。写真はエミレーツ・チームニュージーランド(左)と、ルナロッサ・プラダ・ピレリ(右)。エミレーツのデッキスイパーは実にタイト。フット部分のたるみも少ない。また、ブームはフルバテンのように湾曲でき、高さ位置もチームによってそれぞれ違う。エミレーツは、メインシートダンパーやアウトホールテークルなどのコントロールロープがむき出しだ
photo by COR 36 / Studio Borlenghi
横向きポジションを採用したイネオス・チームUKのグラインダー。「あれは効果的なの?」(後藤さん)。「横向きの効果というより、1人で回すと、各自が正回転になって20~30%効率が上がるようです。1人で回したほうが絶対に効率がいい。2人の場合、呼吸を合わせることが難しいし、逆回転を担当するほうは力を100%出せないことが多いです」(笠谷さん)
白熱したアメリカズカップ座談会。
3月10日から、アメリカズカップ本戦が開始する。銀杯を手にするのは、防衛者エミレーツ・チームニュージーランドか、挑戦者ルナロッサ・プラダ・ピレリか。
本戦終了後、再度座談会を開催する予定です。お楽しみに!
(文=Kazi編集部/中村剛司)
※関連記事は月刊『Kazi』2021年4月号にも掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ