カタマランを日本のセーラーに知らしめた、まさにカタマランの代名詞ともいえるラグーンシリーズ。
そのラグーン55が、Kazi YACHT AWARD 2023 マルチハル部門1位に輝いた。
最強に心地の良いフライブリッジに、憧れのバウトランポリン。「いつかはラグーン・・・」と夢想する日々。
4回目を迎えたKazi YACHT AWARD。月刊『Kazi』誌2023年3月号(2023年2/5発売)から、2024年2月号(本号、2024年1/5発売)に紹介したセールボートを対象とし、アワードを決定するものだ。(文=編集部 写真=松本和久)
MULTI-HULL
マルチハル部門
1位(189pt)
■全長:16.56m ■全幅:9.00m ■喫水:1.55m ■軽荷排水量:27.7t ■セール面積:メイン107m2、セルフタッキングジブ74m2 ■燃料タンク:1,100L ■清水タンク:960L ■エンジン:ヤンマー4JH80(80 馬力)×2 ■価格:問い合わせ
(輸入元)
ファーストマリーン
TEL: 046-879-2111
https://www.firstmarine.co.jp/
マルチハル部門リザルト
対象記事と選考方法
舵社発行の月刊誌『Kazi』2023年3月号から2024年2月号までに紹介した、艇紹介および、艇の性能を取材し分析した記事を加えた28艇が対象。上記4人の識者に加え、植村浩志(舵社社長)と、安藤 健(同営業部)、山岸重彦(同写真部)にKazi編集部員4人を加えた11人で選考。それぞれ1~10位を決め、1位30点、2位29点……10位11点を加点、識者と植村の5人以外は1位20点からスタートした。
セーリングカタマランの代名詞的存在であるラグーン。1987年の登場以来進化を重ね、第5世代であるラグーン55はセーリング性能も飛躍的に向上した
一般的な住居すら凌駕する居住空間と豪華なインテリア。「走る邸宅」とも呼ばれるラグジュアリーカタマランだ
Boat Review
西村一広さん(選考委員)
その巨大さにまずは驚かされる。そしてその、浮かぶ大邸宅が、素晴らしいセーリングを当たり前のように披露することに、さらに驚かされる。まさに人類のテクノロジーによる創造物だ。
Dealer’s Comment
藤本 伸さん(ファーストマリーン)
ラグーン55は、2024年春に日本2号艇が進水。ほか、国内では、ラグーンシリーズ(38~77ft)が通算80隻以上、進水しています。ロングクルージングに、パーティーに、ぜひお楽しみください。
ラグーン55の動画はコチラ!
西村一広さん
Kazu Nishimura
連載「Kazu Impression」などを執筆するプロセーラー
同時多発的に発生する地球規模の社会不安と、それらに影響される経済的インパクトの中で、2023年も日本に多くのセーリングヨットが輸入された。それらのうちの何隻かに試乗できたが、皆それぞれに魅力的なモデルだった。優秀な日本製キールヨットの復活も、願い続けています。
永井 潤さん
Jun Nagai
ボートデザイナー。日本ボート・オブ・ザ・イヤー選考委員
私は「自分の力で動かしている」と感じられるボートが好きだ。それも、ショートハンドで大海原を闊歩?疾走? するような……。そのようなテイストが感じられるボートを上位に選ばせてもらった。とはいえ、最近のプロダクションボートの完成度の高さには驚くばかりだ。
松本和久さん
Kazuhisa Matsumoto
数多くのセールボート紹介記事を担当する写真記者
クラシカルで気品あるデイセーラーは所有欲を刺激する。残念ながら実際に購入する機会はなさそうだが、所有したことを夢想しつつあれこれと想いを巡らすのは楽しい。ラグーン55はその対極の理想。極上の居住空間とともに海上を自在に行き来する贅沢は、凡人には想像することすら拒む頂点。
本吉夏樹さん
Natsuki Motoyoshi
連載「セールボートトライアル」を執筆するプロセーラー
選考艇の半数がデイセーラーと、国内でもこのジャンルのボートを多数見かけるようになってきた。セーリングを気軽に楽しむというスタイルが浸透してきたことは大変うれしいことだ。レースボートもミドルクラスからオフショアレーサーまで候補が出てきたことは、良いニュースと言える。
【選考委員会総評】
ベンテ28 のインパクト、そしてトフィノ8 の強襲
(文=Kazi編集部/中村剛司)
2023年10月号の「相棒は、デイセーラー」があったため、今回のノミネート28艇中、14艇がデイセーラーとなった。
全体を振り返ると、コロナ禍による輸入艇制限の影響を最も受けたのが2023年だったと感じる。
前回のノミネートは40艇、前々回は54艇あった。昨年のサフィア勢2連覇の記憶も新しく、今回同ジャンルであるデイセーラー優勢の選考かと思われたが、大賞はクルーザー/レーサーのベンテ28。まるで未来からやってきたような斬新なこの1艇のインパクトは非常に強かった。
しかし、11人の選者のなかで1位にベンテ28を選んだのは3人のみ。1番ではないが印象に残った、という選者が8人。そういった意味でも今回の選考は票が割れた。
2位は幻となったオリンピック外洋セーリング競技の採用艇候補、デヘラー30OD。3位に、マルチハルの代名詞、ラグーンの55ft。4位のベネトウ・ファースト27、5位のM.A.T.1220も印象深いレーサーだ。
乱戦となったデイセーラー部門を制したのは、トフィノ8(総合でも6位)。サフィア一強の牙城を見事に崩す形となった。今回の28艇はいずれも個性的な艇が多かった。各選者も選考に際し楽しくも苦戦したようだ。今年もハイレベルなアワードとなった。
(構成=中村剛司(Kazi編集部)、写真=松本和久)
※関連記事は、月刊『Kazi』2024年2月号にも掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ
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