「BMW ALPINA XB7」、アルピナのラインアップに、SUVのトップモデル、XB7が加わった。
間もなくBMWとの関係を見直すというアルピナの歴史は、大きな転機を迎える。純粋なアルピナ車を新車で乗ることができるのは、あと少しの期間だ。
アルピナの最新フルサイズSUV、BMWアルピナXB7を試乗する機会に恵まれる
これまで確実な機能性を発揮させつつも、その造形は常に端正なものに終始してきたアルピナ車。
このXB7も最初はそのボディーサイズの迫力に驚かされるものの、落ち着いてエクステリアのディテールを見ると、オプションの23インチ径ホイールが強いアイキャッチとなっていること(スタンダードは21インチ径)や、ALPINAのロゴをあしらった独自のフロントエプロンが装備されていること、またエグゾーストシステムが左右のツインテールパイプで、これも専用デザインのデフューザーフィン付きリアエプロンに変化していることなど、最小限の変化にして最大限の機能を生み出す伝統が継承されている。
室内全景を見る。最新のカーブドディスプレーを持つインスツルメントパネルやクリスタルガラス製のiDriveのダイヤル、シフトセレクターの高級感も圧巻だ
そのXB7のドライバーズシートに身を委ねると、明らかに何かが変わった。
それは世界の中からXB7のキャビンのみが切り取られた、とでも表現するべきなのか。素晴らしい高級感に包まれた空間だ。
シートは最高品質のメリノ・フルレザー。ヘッドレストにはオプションとなるが菱形のエンブレムがあしらわれ、パノラマ・サンルーフ・スカイラウンジがさらにキャビンを開放的な雰囲気に演出する。
ピアノブラックのインテリアトリム、アルカンタラのルーフライニング、ほかにもさまざまな高級オプションがその空間を彩るほか、スタンダードでもクリスタルのシフトノブやiDriveコントローラー、そしてパドルシフトなど、アルピナ独自の演出はまだまだ続く。
そしてその高級感は、XB7が特長とする3列目シートにおいても十分に感じることが可能なのだからうれしい。
最高出力621馬力を発揮する4.4リッターのV型8気筒ツインターボ。約2.5トンのXB7を軽々と加速する
キャビンで感じる走りも、また驚きに値するものだった。
そもそもXB7はBMWの最大SUV、X7をベースとしたもので、全長は5,165ミリメートル、全幅は2,000ミリメートル、そして車重は2,580キログラムもある重量級のモデルだ。搭載エンジンもX7と同様に4.4リッターのV型8気筒ツインターボを8速ATとの組み合わせで使用しているが、アルピナはその最高出力を621馬力にまで、また最大トルクを800Nmにまでチューニングアップしてきた。
それによって0→100km/h加速を4.2秒で、またアルピナの定義する最高巡航速度で290km/hを可能にするというのだから、その数字もまた衝撃的でさえある。
アイキャッチとなるオプションの23インチ径ホイール
そして実際の走りの中でとりわけ印象に残ったのは、そのフラットな乗り心地だ。
先も触れた通り、23インチ径というアルピナ史上最大サイズの専用タイヤ「ピレリPゼロ」を装着しているにもかかわらず、その突き上げ感は不快なものではなく、むしろスポーツカーらしい節度のあるタッチを感じさせるもの。
スポーツモードの選択時、もしくは車速が160km/hを超えた場合には(日本ではもちろん考えられない話だが)、XB7に装備されるエアサスペンションは自動的に車高を20ミリメートル低下。
さらに250km/hを超えると、さらに20ミリメートル自動的に低下するという。このエアサスペンションと可変ダンパー、そしてインテグレーテッドアクティブステアリング(後輪操舵)の組み合わせによる乗り心地と安定性は、このXB7にとって最大の魅力と評しても、それは間違いではないだろう。
サードシートへのアプローチが容易であることも、XB7の魅力の一つ。その高級感は前方の空間と変わらない
4本出しのエグゾーストシステム、オリジナルのバンパースポイラーでスポーティーにまとめられたリアビュー
BMW ALPINA XB7
○全長:5,180mm ○全幅:2,000mm ○全高:1,835mm ○車両重量:2,670kg
○エンジン形式:V型8気筒DOHC ○総排気量:4,394cm³
○最高出力:621ps(457kW)/5,500-6,500rpm ○最大トルク:81.6kgm(800Nm)/1,800-5,400rpm
○巡行最高速度:290km/h ○定員:7名 ○車両本体価格:28,700,000円
(問)ALPINA CALL
TEL:0120-866-250
alpina.co.jp/
※本記事は、大型ボートのライフスタイルマガジン『プレミアム・ボーティング』vol.13に掲載された記事を再構成したものです。
(文=山崎元裕 写真=村西一海 協力=リビエラシーボニアマリーナ)
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