通常より2カ月以上遅れて、愛知県・豊田自動織機 海陽ヨットハーバーで実施された、全日本学生ヨット個人選手権大会(11月27日~29日)。470級、スナイプ級ともに54艇がエントリーした。全日本学生シングルハンドレガッタも同時開催され、レーザーラジアル級は10艇が集まった。例年は夏の9月上旬に開催される同大会だが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響により延期されていた。
時折20ktのブローが入った蒲郡沖。「吹くと陸側が有利なのですが、そうならないように少し沖にレース海面を設定しました」とレースオフィサーの岡田 彰さん
冬の蒲郡らしい北西の強風が吹いた1日目。15〜17kt、最大20ktの中、予定していた4レースを実施。470級は、1-4-8-3とまとめた大石駿水/三浦 匠(同志社大学)、スナイプ級は松尾虎太郎/鶴岡由梨奈/川合大貴(早稲田大学)が9-1-1-4とし、それぞれトップに立った。強風のため、軽風クルーの鶴岡(早稲田大学|スナイプ級)はレースに出なかった。
2レースが予定されていた2日目は風が落ち、第5レースは5kt、第6レースは11ktで実施された。前日から順位を落とさず、470級は大石/三浦、スナイプ級は松尾/川合が優勝した。
互いに信頼を置く1年生スキッパー×3年生クルーの大石駿水/三浦 匠(同志社大学)
大石は湘南サニーサイドジュニアヨットクラブでヨットを始め、茨城県の霞ヶ浦高校から同志社大学へ。中学生までウインドサーフィンをしていたという三浦は、山口県立光高校から同志社大学へ進学。恩師の勧めもあって同志社大学への進学を決めたという大石は、「1年で優勝できてうれしいです。コミュニケーションを絶やさなかったことが勝因の一つです。関東の早稲田大学、慶應義塾大学、日本大学は意識してました」と話した。このペアの次なる目標は、2人で出るジュニアワールドでの入賞と、大石の個人戦4連覇だ。
スナイプ級優勝の松尾虎太郎/鶴岡由梨奈/川合大貴(早稲田大学)。トップ画像も同チーム
スナイプ級の松尾/川合は、第5レース終了時点で優勝を決めた。昨年、一昨年大会も制した松尾は、史上初の個人戦3連覇を達成。なぜ強いのか自己分析してもらうと、「当たり前のことしかしてないです。スタートは1列目から出ること、リフトを走ること」という。鶴岡は、そんな謙虚な松尾を「すごい人です。とてもストイックで、大学からヨットを始めた私にも丁寧に教えてくれます」と話した。
小3からOP級でヨットを始めたという西尾拓大(東京大学)
レーザーラジアル級は、オールトップで西尾拓大(東京大学)が優勝した。西尾も1年生で、「すごくいい風が吹いて、得意な海面でした」とレースを振り返った。今後はスナイプ級に乗る予定だという。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響で、北海道水域の小樽商科大学、北海道大学、四国水域の愛媛大学の出場がかなわなかった。出場できた中でも、例年の2割程度しか練習できなかったという大学もあれば、練習再開後は週6で練習したという大学もあり、今年は練習量に大きな差があった。出場権を持ちながら出場できなかった大学があること、水域予選にすら出られなかった大学もあることを、学生たちにはぜひ覚えておいてもらいたい。
◆470級 最終成績
◆スナイプ級 最終成績
◆レーザーラジアル級 最終成績
■2020年度 全日本学生ヨット個人選手権大会 2020年全日本学生シングルハンドレガッタ
https://www.ayf.jp/race/10422
(文・写真=Kazi編集部/森口史奈)