記録的な猛暑が続いた今年(2024年)の夏。10月も中ごろになったのだが、まだまだ日中は暑い日が続いている。
そんな日本の夏のマリンライフ、エアコンがあれば快適に過ごすことができるのは間違いない。
とはいえ、プレジャーボートのマリンエアコンといったら、「発電機や陸電がなければ使えない」「小型のボートでは、発電機も含めて設置場所がない」というイメージをお持ちの方が多いだろう。
そんなふうに愛艇へのエアコンの搭載をあきらめていた方に吉報! DTSマリンのマリンエアコン(DC12V仕様)はコンパクトで高性能。発電機や陸電設備に頼ることなく、涼しく快適なマリンライフが実現してしまうのだ。まさに「目からウロコ」の注目アイテムを、実際のユーザーの声も含めて紹介していくことにしよう。
(文=安藤 健/舵社 写真=松本和久)
※この記事は、月刊『Kazi』10月号および月刊『ボート倶楽部』10月号に掲載された記事をもとに再構成したものです。
今年8月某日。超快適なマリンエアコンを設置したオーナーがいると聞き、横浜ベイサイドマリーナに足を運んだ。まだ午前中の早い時間だというのに、桟橋を歩いているだけで流れる汗が止まらない。暑い・・・。
取材艇のオーナーは、緒方惠一郎さん。愛艇のパーカー760を横浜ベイサイドマリーナのBバースに係留している。
「私がボートを係留しているバースには陸電設備がなく、この方法しかありませんでした。自艇のバッテリー(200A/h)からの給電で稼働させることができ、とても快適に過ごせています」
緒方さんは2022年の進水当初から、DTSマリンのDC12V仕様のマリンエアコンを導入。これがすこぶる調子がよく、この夏も快適に過ごすことができているそうだ。
このDC12V仕様のマリンエアコンは、発電機の搭載は不要、陸電設備から給電をする必要もない。エンジンのオルタネーターからの給電だけでマリンエアコンが稼働する。本体もコンパクト設計で、水冷式だから室外機の設置も不要だ。
緒方さんは、自艇のハウス内後部座席の下のスペースに本体を設置している。チョイスしたのは「MA12000DC」(12,000BTU/DC12V仕様/海水ポンプ、リモコン付き/価格470,000円[工事費別])というモデル。小型ボートであっても、発電機を積まなくていいうえ、本体がこれだけコンパクトなので、快適エアコンライフが実現した。
DTSマリンでは、ほかにもDC24V仕様やAC115V仕様など、豊富なラインアップをそろえている。
工事は、本体、送風口、送風ダクトを取り付け、冷却水の給排水用のスルハルを二つ開けて海水ポンプを設置するという簡単なもの。本体もコンパクトだから、設置スペースに頭を悩ませる必要はない。また、緒方さんはバッテリーへの充電方法も工夫している。
「175Wのソーラーパネルを2枚設置し、全体の定格容量が350W。12V換算で、最大20~25Aくらいの電気を供給します。200A/hの一般的な鉛バッテリーを搭載していますが、晴天時なら2日で満充電になり、バッテリーだけで約5時間エアコンを使うことが可能です」
マリーナに係留中でも、エンジンを回す必要もなく、静かにエアコンが稼働している。クルージング先などで発電機を回して、周囲への音の心配をする必要もない。
外気温は36度を超えた取材当日、船内は静かで、そしてひんやりとした快適な空間となっていた。
「キャビン全体を冷やすというよりは、クルマのように、なるべく人に風が当たるような位置に送風口を設置しました(2カ所:タイトル写真参照)。もう一つバウキャビンにも設置していますが(上写真)、使わない送風口は閉めておけばOKです」
メインサロンにいるときと、バウキャビンにいるときとで、送風口をうまく使い分けている。確かに、バウキャビンで横になっているときに、ほかのエリアをわざわざ冷やす必要はない。
標準仕様で付属するリモコン。現在温度を確認したり、温度の設定ができる。家庭用と同じインバーター式のエアコンを採用しているので、設定温度に近づくにつれて風量が弱まり、省電力となる。
このエアコンはシンプルな構成も特徴だが、緒方さんはさらに給電システムを充実させ、三つの方法を切り替えて使っている。
「スイッチを設置して、給電方法を切り替えています。停泊中はバッテリーから、そして走行中はエンジンのオルタネーターから給電。加えて、陸電設備からAC115Vの電気をとり、インバーターを介してDC12Vに変換し、エアコンが使えるようにもしています」
緒方さんは電気工事士の資格を取るほどの知識があったとはいえ、いろいろな方法を採用していくことで、より使い勝手がよくなったという。
こちらはアクソパー28キャビンでの設置例。ご覧のように、エアコン本体(中央)とDC12Vのバッテリー(手前)というシンプルな構成で使えるのもポイントだ。(写真提供:DTSマリン)
こちらは全長30ftのヨットでの設置例。ふだん漁港に係留しているが、周囲の艇も、みなDTSマリンのDC12V仕様のエアコンを搭載し、快適な船上生活を実現しているそうだ。(写真提供:DTSマリン)
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「これまでに25ftクラスくらいのヨットから設置例があります。当然、発電機を積むようなスペースはありませんが、ヨット用のエンジンの小さなオルタネーターでも、十分エアコンを利用することが可能です。例えば、海に出て機走している間にエアコンでキャビンを冷やしておいて、泊地に帰ってきたらバッテリー駆動に切り替えつつ、冷えた船内でワイワイ楽しむなんていう具合に楽しんでいるお客さまが多いですね。設置工事も簡単です。弊社にて、全国各地の設置業者もご紹介します」(DTSマリン/河合宣道さん)
もちろん、冷房だけでなく暖房としても使える。来年の夏に向けて、いや今年の冬に向けてもキャビンライフが充実すること間違いなしのアイテムだ。
(問い合わせ)
DTSマリン
TEL: 03-6731-9382
https://www.dtsmarine.jp/
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