船上の緊急通信手段として、スマートフォン(スマホ)などの携帯電話を用いている人は多いだろう。118番やBAN、マリーナなどに連絡する手段としては有用だが、海の上では電波の圏外となってしまうことも少なくない。また、携帯電話が使えたとしても、たとえ目の前の船舶に「助けを求めたい」「通話したい」と思っても、相手の電話番号がわからなければ、どうすることもできないのはご存じの通り。
そこで役立つのが国際VHF無線だ。国際VHF無線は海上における船舶の世界共通の通信手段で、一定の大きさ以上の船舶や国際航行をする船舶には搭載とワッチ(常時16チャンネルを聴取すること)が義務付けられている。そのため、電波が届く範囲であれば、不特定多数に対する一斉同報が可能だし、知らない艇を呼び出すことも可能だ。
安全に寄与するのはもちろんのこと、釣り仲間と沖の様子をやり取りするのにも使える。出力5ワットまでのハンディー機と25ワットまでの据え置き機が一般的で、使用感や設置場所などで選ぶといいだろう。
なお、無線の運用には運用するための資格と、無線局の開局申請が必要なのでお忘れなく。資格は第三級海上特殊無線技士以上が必要で、三級だと5ワットまで、二級以上は25ワットが使用可能だ。また、無線機を搭載する船舶は無線局の申請が必要で、通信できるのは登録した無線従事者のみという制約もある。たとえば、海上特殊無線技士免許を持っているからといって、5ワットハンディー機を持ち歩いて、いろいろな船で使うということはNG。ルールとマナーを守って使おう。
アイコムの5ワットハンディー機「IC-M94DJ」。ハンディー機として世界で初めてAIS受信機能を搭載したモデルで、画面上で周囲にいるAIS搭載艇の動向を把握できる。また、緊急時には背面のDISTRESSボタンを押すと遭難信号が発せられるDSC機能も搭載(DSC機能の使用には、第二級海上特殊無線技士以上の資格が必要)。付近の船舶や海岸局に位置情報などを知らせることができる
アイコムIC-M94DJ
●サイズ:H145.8×W60.9×D43.8mm
●質量:約357g(バッテリーパック、アンテナ、ベルトクリップ含む)
●防水レベル:IPX7
●付属品:バッテリーパック、充電器スタンド+ACアダプター、アンテナ、ベルトクリップ、ハンドストラップ
●価格:38,830円(マリンショップ KAZIシープラザの場合)
25ワットの据え置きタイプ、アイコムの「IC-M510J」。最大の特徴は、スマホでの通話や聴取も可能な点。専用アプリ(無料)をダウンロードすれば、フネに設置した本体の操作と通話ができる(DSC機能全般の操作を除く。かつ使用には免許が必要)。なお、機器1台につき、最大3台までのスマホ連携が可能
アイコムIC-M510J
●サイズ:H110×W175×D53.6mm
●本体質量:約730g
●電源電圧:13.8V DC(11.7~15.9V DC)
●消費電流:送信(25W出力)5A以下、受信(最大音量時)4.0A以下
●防じん防水レベル:IP68
●付属品:スピーカーマイクロホン、マイクハンガー、DCケーブル、マウントブラケット
●価格:77,000円(マリンショップ KAZIシープラザの場合)
(文=舵社 用品事業部)
(掲載商品に関するお問い合わせ)
KAZIオンラインショップ シープラザ
TEL:03-3434-0941(平日9:30~17:30)
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