世界一周中のフランス人冒険家、グウェナエル・ブルトンさん(44歳)は、6月15日、神奈川県・三浦半島から太平洋横断をスタートさせた。なんと手漕ぎボートで……。
6月15日、三浦半島から出発するグウェンさんこと、グウェナエル・ブルトンさん。黒潮に乗れるポイントまで、モーターボートで曳航された
photo by Kazuhisa Matsumoto
この冒険は、2021月にフランス南西部のバイヨンヌを出発し、ユーラシア大陸はソーラー自転車〈トルネード〉で、ロシア・ウラジオストクまで横断。太平洋は手漕ぎボート〈ペガサス〉とともに進んでいる。目的地は9,000kmも離れたアメリカ・サンフランシスコだ。
グウェンさんは17歳でフランス陸軍の特殊部隊に入隊。2012年、任務中にヘリコプターから転落して重傷を負い、それ以降、障がいとともに生きていくことになった。自分と同じように、障がいやPTSDを抱える人たちに、高い目標に挑戦する姿を見せることで、勇気や希望を持ってもらいたいとの考えから、このような冒険に挑むのだと話す。
出発後、黒潮の強い潮流のため、東北沖まで北上・南下し、現在は順調に東へ進んでいる。
正面に見えるクッションがオールを漕ぐときに座るイスで、手前に見えるのは足置き。船首のキャビンドアに描かれている「Les Gueules Cassées(壊れた顔)」は、第一次世界大戦の戦傷者をサポートする目的で1921年に設立された財団。創立100周年事業のひとつとして、グウェンさんをサポートしている
photo by Gwénaël Breton
二つのキャビンには、生活用品や航海計器がずらりと並ぶ。4~5カ月もの間、グウェンさんは寝る時この中で過ごす
photos by Gwénaël Breton
出発直前のグウェンさんの表情は晴れやか。当初は韓国からスタート予定だったが、厳しい海況のため日本からのスタートに変更。およそ1年ぶりに太平洋横断の出発の日を迎えた
photo by Kazuhisa Matsumoto
グウェンさんの関東での生活を支えたのが、フランス人実業家のジャンさん(左)。リビエラシーボニアマリーナのスタッフやボートオーナーも、グウェンさんをサポートした
photo by Yoichi Yabe
8月4日時点のグウェンさんの現在地。公式サイトで確認できる。
※この記事は、『Sea Dream』36号に掲載された記事を再編集したものです。購入はこちらから。
(文=森口史奈/Sea Dream編集部 写真=矢部洋一、松本和久)
あわせて読みたい!
●7月24日発売!/『Sea Dream』36号「南海の楽園タヒチ」特集
●8/4発売、月刊『Kazi』9月号|特集は「ゆるクルの日々」
●寄港、どうでしょう?|『BoatCLUB』9月号は幅広いボート遊びを紹介!!