今度はたった一人での太平洋横断に挑戦!|全盲セーラー、岩本光弘さんの新たなる航海

2026.01.13

16歳のときに失明を宣告され、光を失った岩本光弘さん(HIROさん)。生きる希望すら失いつつあるなかで、再び前へと進むことを選択。やがてHIROさんはアメリカへと渡り、仕事を持ち、家族に恵まれ、そしてヨットで太平洋を渡るという夢を持つようになった。

2013年にはニュースキャスターの辛坊治郎さんと2人で太平洋横断に挑戦。しかし福島県いわき市を出港後ほどなく、クジラにぶつかって艇体放棄を余儀なくされ、救命いかだで漂流中に海上自衛隊に救助された。

それでも「太平洋を渡りたい」という、HIROさんの夢と目標はついえることがなかった。2019年にはパートナーのダグ・スミスさんとともに、再びダブルハンドでの太平洋横断に挑戦。サンディエゴから福島県いわき市まで、ブラインドセーラー(全盲セーラー)として世界初の太平洋横断を達成した。

 

その岩本さんが、2027年、新たなる航海に挑む。今度は単独(一人)での太平洋横断という、とてつもないチャレンジである。
「HIRO’s CHOICE」と名付けられたプロジェクトの公式サイトには、次のようなHIROさんのメッセージが載せられている。

それは記録を打ち立てるためではありません。娘のリーナ、そして彼女の世代へ向けた、ひとつのメッセージです。
限界は、他人が決めるものではない。それは信念と選択によって、乗り越えられるものだということ。
これは単なる一人旅ではありません。テクノロジー、決意、そして人とのつながりが、限界を越えられることを示す、“共有の旅”なのです。

 

目が見えないのに、一人でヨットを太平洋を渡ることなどできるのか──そんな疑問を誰もが持つことだろう。実際、ブラインドセーラーの単独太平洋横断は「不可能な冒険」と言われてきた。

しかし、現代ではさまざまなテクノロジーが進化し、私たちの生活を豊かで便利なものにしている。洋上においても、スターリンクによる常時通信や、高感度カメラ、音声で情報を伝える航海システム、陸上から見守るショアサポートセンターの存在が、不可能を少しずつ実現可能なものへと近づけている。

例えば、これまでに続いて航海をサポートする古野電気の最新のテクノロジー。各種センサーから航海計器に集められた情報は、同社が開発したアプリと船内のWi-Fi環境を通じて、リアルタイムで音声変換されてHIROさんの耳へと届けられる。また、スターリンク(衛星通信)によって、船上と陸上とは24時間つながれた状態になり、洋上で格闘するHIROさんの様子を全世界の人々が見たり、ときには音声で応援することも可能となる。ショアサポートチーム、そしてウェブでつながる全世界の目がHIROさんの航海をサポートするという、新しいセーリングの形ともいえそうだ。

 

 

プロジェクトの全貌は、公式サイトに詳しいので是非ご一読いただきたい。

 

サンディエゴからHIROさんの生まれ故郷である熊本・天草を目指す今航海では、辛坊さんとともに航海した〈エオラス〉と同じ、ブリストルチャネルカッター28が使われる。HIROさんにとっては、勝手知ったる相棒だ。艇は現在、サンディエゴで整備・改造が行われており、今春より実際のトレーニングをスタートする予定。このロードマップに沿って計画を進めていき、2027年2月の出港を目指す。

 

また、HIROさんが1月にスイスのダボスで行われる「World Economic Forum Annual Meeting  2026」(ダボス会議/世界経済フォーラムの年次総会)で、このプロジェクトについてのスピーチを行うことが発表された。グローバルな課題解決に向けた場として注目されるこの会議で、1月21日16時(現地時間)、HIROさんが世界に向けて「いかにしてこの選択をするに至ったのか?(=HIRO's CHOICE)」を熱く発信する。

 

(文=安藤 健/舵社 写真=HIRO’s CHOICE)

 


HIRO's CHOICE

●公式サイト:
https://hiros-choice.com/ja/
●公式フェイスブックページ
https://www.facebook.com/hiros.choice/
●公式Instagram
https://www.instagram.com/hiros_choice/
●公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@HIROsCHOICE

 


 

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