ホンダ船外機の200万台&次世代の電動推進機

2021.11.23

ホンダの船外機の世界累計生産台数が200万台を達成した。併せて細江船外機工場(静岡県浜松市)が開設して20周年。「200」&「20」で記念すべき年となったわけだ。

 

ホンダ初の船外機「GB30」(4ストローク5馬力)が発売されたのは1964年のこと。当時、2ストロークが主流だった船外機の市場に4ストロークで打って出たのは、そのコンセプトが創業者・本田宗一郎の「水上を走るもの、水を汚すべからず」という信念に基づいていたからだ。排気にオイルが混じってしまう2ストロークを避け、重量やコストでは不利になるが排気がクリーンな4ストロークをあえて採用したのである。
以来、ホンダの船外機はすべて4ストローク。近年は多くの船外機が4ストロークになっているが、まさにその時代の流れをホンダがリードしたといえる。

 

さて、今回、そのホンダ船外機が迎えた「200」と「20」に合わせて、メディア向けの細江船外機工場の取材会が開催された。工場見学やホンダ船外機搭載艇の試乗のほか、未来を見据えた電動推進機のコンセプトモデルも展示。当日の模様を簡単に紹介しよう。

 

細江船外機工場では、8馬力から250馬力までの船外機を製造している。生産能力は約200台/日、約4,000台/月。現在、世界的なプレジャーボート需要の高まりもあり、フル稼働しているとのこと。なお、2馬力から6馬力のモデルは中国の工場で生産されている。

 

生産ラインは1本。生産スケジュールに合わせて8馬力から250馬力まで、いずれかのモデルをこのラインで製造する。取材時には3気筒の「BF50」と「BF60」が流れていた。

 

初公開となった電動推進機がこちら。さまざまな形態での展開を考えているため、船外機という呼称は避けたそうだ。出力は5~6馬力相当。2基の「モバイルパワーパック」(後述)で約40分の走行が可能。コンセプトモデルではあるが、市販を見据えた開発が行われているのは間違いない。
向かって左側がホンダのマリン事業を統括する本田技研工業ライフクリエーション事業本部長の加藤 稔さん。右側は電動推進機の開発を統括する本田技術研究所ライフクリエーションセンター長の板井義春さん。

 

モバイルパワーパック」は、バイクなどの小型モビリティーを含む各種電動機器の動力源となるリチウムイオンバッテリーで、すでにビジネス用バイクで実用化されている。他メーカーの機器での使用、家庭用電力のストレージとしての利用など、さまざまな活用法が検討されている。

 

ホンダの4ストローク船外機「BFシリーズ」が勢ぞろい。現在、国内向けは2馬力から250馬力まで23モデルがラインアップされている。9月に欧州で発表され、国内発売も近い新型「BF150/135/115」も展示されていた。

 

ホンダは、2040年までにすべての4輪車をEVまたはFCVにして、2050年までに全製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを目指すと発表している。はたして船外機では、どんなテクノロジーによってカーボンニュートラルを実現するのか。その挑戦が続く。

 

さて、今回の取材会に集まったメディアは、全国紙をはじめとする一般マスコミがほとんどだった。各社の記者は、ホンダが所有する4種のボートに乗ってミニクルージングを体験。好天で穏やかな日だったので、よい印象を持たれたのではないかと思う。記者のみなさんがマリンの楽しさを発信してくれるといいのだけど。写真は浜名湖に接して建つ細江船外機工場にある専用マリーナの桟橋。

 

最後におまけ。工場内の芝生エリアでは、ホンダのロボット芝刈り機「Miimo」が働いていた。最近の家庭用ロボット掃除機と同じく、バッテリー残量が少なくなると自分でステーションに戻って充電する健気なヤツ。これもBF船外機と同じライフクリエーション事業本部の製品である。

 

(文・写真=舵社/クボタヒデヤ)

 

 

あわせて読みたい!

●フネ遊びの素朴なギモン③/維持費はどれくらいかかる?

●11月15日発売!/プレミアムボーティング vol.9

●ボートの安全航行について/帰港時に気をつけたいこと

 


トピックス

トピックス の記事をもっと読む