EメールやLINEなどSNSでのやりとりが主流になった昨今──久しぶりに筆をしたためて手紙を出したくなるようなモノを発見。
日本郵便では、3月12日(金)から「海図150年」を記念する特殊切手を発売中です。
ヨットやボートを楽しむ人にとっては身近な「海図」。大昔から、もちろんそれに近いものはあったわけですが、わが国で初めて近代的な技術をもって海図の制作が始まったのは、1871年(明治4年)のこと。測量艦〈春日〉の艦長となった柳 楢悦(やなぎ・ならよし)は、北海道、東北地方の各港の測量を開始。その翌年、わが国最初の海図である「陸中国釜石港之図」が、海軍省水路局から刊行されました。
海洋調査から海図作製までを一貫して行う、本格的な水路業務が始まってから、2021年は150年の節目の年。それを記念して、特殊切手が発売されたわけです。
84円切手×10枚で1シート。海図にちなんだ全5柄が採用されています。
歴史的な海図第1号「陸中国釜石港之図(りくちゅうのくにかまいしこうのず)」と測量艦〈春日〉。今の海図とさして変わらないようにも見えます。
こちらは「船舶によるマルチビーム測深調査」の図。船底から海底に向けて音波ビームを発射し、その往復時間により水深を計測するものです。複数のビームを出すことにより、1回で多数のデータが得られるようになりました。1983年(昭和58年)に、日本では初めて導入されています。
「道具(六分儀、測鉛、三杆[さんかん])。ナビゲーションには必須だった、レガシーなアイテムたち。六分儀は自分の位置を把握するもの。測鉛は水深や底質を調べるもの。三杆は、六分儀で測った角度を用いて、自船位置を海図上に記入するためのものです。
「航空機によるレーザー測深調査」。レーザー光を利用した航空機による測深調査の様子が示されています。船舶の航行が困難なエリアの測量も実現し、またスピーディーに作業が進められるようになりました。日本では2003年(平成15年)に初めて導入された、比較的新しいテクノロジーです。
「現在の海図『釜石港』と大型測量船〈平洋〉」。2020年に刊行された、釜石港の海図の一部。「陸中国釜石港之図」と比べると、やっぱり違いが明確ですね。下は、海図作製機関である海上保安庁の最新大型測量船〈平洋〉。2020年に就役しました。
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海好き、船好きなら、こんな切手が貼られた手紙が届いたら、ちょっとうれしいですよね。もちろん、コレクションしておきたい逸品でもあります。
発行枚数は、全国で50万シート。ワタクシ、3月23日に会社近くの郵便局に行ったら、まだ在庫がありました。ぜひお近くの郵便局へ。ネットショップでの購入も可能となっています。
(文・写真=舵社/安藤 健)
(問い合わせ)
日本郵便
https://www.post.japanpost.jp/kitte/collection/archive/2020/0312_01/
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