ライフジャケット落水体験会/ラグナマリーナで開催!

2021.07.27

愛知県・三河湾のラグナマリーナをベースに活動する、ラグナマリーナヨットクラブ

同クラブでは定例イベント「帆走技術講習会」を開催しており、その一環として、今夏7月11日に開催された「ライフジャケット落水体験会」のレポート動画が発表され、耳目を集めている。 ウエスト型(腰巻型)の膨張式ライフジャケットを使用していたユーザーによる不幸な事故が発生したことを受け、急遽企画されたものだという。

「ライフジャケット落水体験会」では、座学と実地によって落水時のライフジャケットの造作を確認体験し、参加したセーラーが多くの知見を得ることができた。

今回、多くのセーラーにこの結果を共有してほしいと考えるラグナマリーナヨットクラブの好意により、貴重な動画と、同クラブの広報担当である神野富三さんのレポートを紹介させていただきます(Kazi編集部/中村剛司)。

 

(記事タイトル写真=ショルダー型自動膨張式ライフジャケットによる膨張体験のようす)


 

●落水実体験会~ラグナマリーナヨットクラブ帆走技術講習会2021

新型コロナ渦がまだまだ続き、三密を避けるためショートハンドでのセーリングも増えているように思います。そのため自分の命は自分で守る重要性がますます高まっているのですが、そんななか、最近私たちの身近なところでライフジャケットが生死を分けたかも知れない海難事故が相次ぎました。

そこでラグナマリーナヨットクラブでは、会員のセーリング、クルージングでの安全装備の重要性をいまいちど再認識してもらうために、JSAF外洋東海 安全委員長・川合紀行氏をお招きして、氏が過去の外洋レースで数多く見聞きしてきた、ライフジャケットと海難事故の実情と背景、ライフジャケット機能を維持するための点検法などのお話をいただいた後、場所を桟橋に場所を移し、さまざまなタイプのライフジャケットの実際の展開を見学しました。

少々年配の会員も海への飛び込みを申し出たため、当クラブ在籍の医師に待機してもらいながら、安全確保を最優先に次々に海に飛び込み、さまざまなタイプのライフジャケットに固有の浮力体展開の様子を見学。自分のセーリングライフに合わせた、適切なタイプのライフジャケットを装備すること。そして、その機能をきちんと理解していることが重要であることがわかった体験会になりました。

 

(文=ラグナマリーナヨットクラブ広報担当/神野富三、写真=ラグナマリーナヨットクラブ) 


 

ウエスト型 膨張式ライフジャケット(U字型、手動膨張)

ウエスト型=腰巻タイプによる体験。浮力体部分を腰の後ろに装着して実験した

 

 

腰の後ろで膨張したため、体験者がうつぶせになるシーンがあった。しかし、すぐに仰向けになることができた

 

 

ウエスト型膨張式ライフジャケットの2人。左が先ほどのU字型手動膨張タイプ。右はO字型膨張タイプ。O字型膨張のほうが楽そうではあった。U字型を体験したセーラーは「腰にきつく締めていると、さっきのようにうつぶせになりやすいかも。やや緩く締める、膨張部分を体の前にするとよいと感じた。また海が荒れていたら、少し手間取ってしまうかも」とも。ウエスト型が危険ということはないが、どのような造作で膨張するのかは一度体験すべきであると痛感した

 

 

ウエスト型、U字型 膨張式ライフジャケットの膨張状態

 

 

ウエスト型、O字型 膨張式ライフジャケットの膨張状態。自身が使用するライフジャケットがどのタイプか、しっかりと知ることが重要だ

 

固形式ライフジャケット(浮力50N)

ディンギーセーラーやレーサーが使用する固形式ライフジャケット。最初から浮力があるのでうつぶせになりにくいし、落水後ほぼ沈まず浮いてくる。あえてうつぶせになる実験も行ったが、うつぶせになることが困難なほどの浮力があった

 

 

ショルダー型 膨張式ライフジャケット(手動膨張、股紐なし)

もっとも普及しているタイプだろうか。深く沈んだあと、体の浮力で浮上し、手動によって膨張。股紐がないタイプなので、体がやや沈んでいるように見える。自力でうつぶせになることは、困難だった。

 

 

ショルダー型 膨張式ライフジャケット(自動膨張、股紐あり)

現在、最強スペックをほこるライフジャケットのひとつであるスピンロック製。浮力は170N。自動膨張であり、股紐がある。また、自己点灯ライト、スプレーフード、テザーカッターなど、想定されるあらゆる装備が付く。170Nの浮力と股紐により、上半身がかなり水上に出ている。頭の位置が高いことが分かるだろう

 

 

外洋特別規定のサバイバル訓練の一つを体験。一人を囲むように輪を作り、中心の人の体温を維持する。中心になる人は随時交代し、低体温症へ対応する

 

 

ラグナマリーナの桟橋で行われた今回の体験会。多くのセーラーが集まり、さまざまな実験から多くの知見を得た

 

 

座学の様子。JSAF外洋東海 安全委員長・川合紀行氏を講師に招き、実際のライフジャケットも用いて、それぞれの特性について学んだ

 

ライフジャケット落水体験会レポート動画はコチラ

movie by Laguna Marina Yacht Club

↓↓↓

 

ラグナマリーナヨットクラブ

 


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