月刊『BoatCLUB』で連載中の「突撃! マリーナレポート」は、全国のマリーナを巡り、その特徴や素晴らしさを読者諸氏にお伝えする連載。舵オンラインでも、その一部をご紹介しよう!!
今回紹介するのは、静岡県浜松市の富士マリーナです。
※掲載情報は、取材当時(2022年2月)のものです。
静岡県浜松市
富士マリーナ
浜名湖の中でも、風光明媚な舘山寺エリアの内浦に面した富士マリーナ。湖内で、外海で、釣りに、トーイングに、ボート海水浴に、のんびりアンカリングと多彩なボート遊びが楽しめる。また、周辺には行楽施設がひしめき合い、アフターボーティングや旅のついでに立ち寄って陸も水上も楽しめる立地。そこはのんびりのマイペースにフネ遊びを楽しむオーナーの姿が多く見られた。
(トップ写真説明)
所狭しと、でも整然と置かれたプレジャーボート。奥に見える事務所の2階は、かつては宿泊施設だったが、現在は倉庫になっているそうだ
静岡県西部にある複雑な形をした浜名湖、その北東部に位置する内浦に富士マリーナはある。創業は1970年で、現代表の安間照好さんのお父さんが「フネを扱ったら楽しいかな」と始めたそうだ。セールボートが好きだったようで、照好さんも小さいころからディンギーなどに乗って遊んでいたという。
そうした側面もあって、当時は保管艇のほとんどはセールボートだったそうだが、現在はモーターボートのほうが増えていて、20~42フィートまで多種多様なボートが置かれている。そのほか、PWCの保管も請け負っている。
オーナーのほとんどは地元在住だが、県外在住者もいて、東京や神奈川に住み、マリーナそばにマンションを借り、金曜日の夜にクルマで来てフネ遊びを楽しみ、日曜日に帰っていく、という遊び方をしている人もいるのだとか。
レンタルボートもヤマハマリンクラブ・シースタイルのホームマリーナの一つとして、4艇のクラブ艇を配備している。中にはボートを購入予定の人が、フネが来るまで利用する、という例もあって、そういう場合は、スタッフが一緒乗って遊び方や操船を教えることもある。
免許のスクールについては、「あえてやっていません」とのこと。近隣にヤマハやスズキの直営マリーナがあるため、そちらに案内して、フォローだけしているのだという。マリーナ周辺には舘山寺温泉や浜松市動物園、はままつフラワーパーク、遊園地の浜名湖パルパルなど、行楽施設がめじろ押しで、にぎやかな立地である。
気持ちのいい雰囲気のマリーナ事務所内。アフターボーティングにおしゃべりしていくオーナーも少ないのだとか
12トンのホイストクレーンがそそり立つ、その奥には5トンクレーンも見えている。上下架施設はこの二つ
かつてディンギーの保管もしていた経緯から、スロープもある。PWCのオーナーなどは、ここから自分で出艇させることもあるそうだ
ボートでの遊び方は、2割程度がガッツリ釣り。そういう人は毎週のように外海へ出て釣りをしているという。
釣りものとしては、外海では、根魚やマダイ、青ものなどの一般的な魚種から、アマダイやアカムツなどの深いところの釣りも可能なうえ、最近ではキハダマグロなども回ってきていて、多彩な釣りが楽しめる。
また、浜名湖は汽水湖のため、湖内でも釣りものは豊富。アジはオールシーズンねらえ、ハゼ、シロギス、カワハギ、カマス、ヒラメなどは時季に合わせてねらえる。また、キビレ(キチヌ)やクロダイ、シーバス(スズキ)といったルアーターゲットも多く、エサもルアーも人気のようだ。そして夏になればマダコが最盛期。中には、タコ釣りだけのためにボートを持っている人もいるようだ。
ただし、富士マリーナにボートを保管するオーナーのほとんどは、釣りはほどほど、あとはアンカリングして浮かんでいたり、ボート海水浴をしたり、花火を見に行ったりするのを楽しんでいる。浜名湖でボートといえば、トーイングも忘れてはならない。水遊びの延長からプロまで、さまざまな人がそれぞれのペースで楽しんでいる。
コロナ前は、下架したボートで、オーナー同士が10人くらいで泊まって飲み会などもしていたそうだが、最近はそうした姿も見かけなくなったようだ。今後は復活していくのだろうか。この目の前の桟橋に浮かべた無数のボートから、明かりと笑い声が漏れてくる様を想像したら、とてもすてきだなと思ったのだった。
大きな桟橋だが、夏になるとさらに増設するそうで、朝マヅメをねらった釣りや、朝一の穏やかな水面をねらったトーイングを目的に、ボートでいっぱいになるという
湖畔に面した休憩スペース。飲食可なので、ボート遊びで疲れた体を休めつつ、ここで食事というのも気持ちがいいだろう
取材時は船外機を整備中だった事務所の隣の工場。メンテナンスや修理にもしっかりと対応してくれる
富士マリーナ
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(文・写真=茂木春菜/『BoatCLUB』編集部)
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