ウキ釣りでマダイをねらう/沼津・海星

2024.09.27

今回は、孤高の釣り人Mr.ツリックが、静岡県・沼津にある、イケスに掛かり釣りができる貸しボート店、海星を訪問。ややこしい計算をしながら、ウキ釣りの仕掛けをセッティングし、いざマダイをねらいます。(舵オンライン編集部)

 


たくさん釣れたら・・・

みなさま、こんにちはMr.ツリックです。

今回は、沼津でイケス周りのマダイねらいですが、チョイト目先を変えてウキ仕掛けでチャレンジしてみました。水温の高い時季は青ものなどがヒットしてしまうため、狭いイケス周りの釣りでは収拾がつかなくなるが、ゲストの少ないこの厳寒期ならウキ釣りでも落ち着いて釣ることができる。と、予想したのでしたが、落ち着きすぎてしまいましたナ。

それでも、朝イチはウキがイケスに沿って流れて、釣れそうな気配ムンムンだったのですヨ。まぁ、朝イチだけでしたが。その後は、潮が止まり風もなく、湖面のような海上でぼうぜんとする。こうなると、ウキ釣りはお手上げ。潮あるいは風に流されてエサが横移動するところを、ブレーキをかけて上下移動に変えることがウキ釣りでの唯一の誘いになるのですヨ。なので、ウキが流れないと勝負にならない。

 

当日は微風でこの上ないレンタルボート釣り日和となった。すがすがしく朝日を浴びた富士山と、かなりくたびれているオイラとの対比が素晴らしいですナ

 

関東近郊ではほとんどの場所でイケスへの直接係留は禁止されているが、ここではボート店と経営が同じなので係留が許可されているありがたい釣り場なのである

 

今回の仕掛けたち。小さなウキが登場する機会はありませんでした。大きなウキのオモリ負荷は50号。そして、プラカゴは40号。テンビンもそれなりの重さがあるからネ

 

ラインのタナになる位置にウキ止めイトとシモリ玉を介した遊動式のウキ釣り仕掛け。ざっとこんな感じになります。深いタナでのウキ止めの装着法は本文で

 

今回の釣行マップ(静岡県伊東市)

海釣図V」(マップル・オンより転載)

 

ウキカゴ釣り

ちなみに、イケス周りのウキ釣りには2種類の釣り方がある。一つは、今回のように浮力のあるウキに片テンビンのプラカゴを付けて長めのハリスでねらう方法。そして、もう一つは一般的なコマセマダイ仕掛けで釣っている脇で、ウキに1本バリで付けエサだけを流す方法。そうですナ、ウキカゴ釣りとウキフカセ釣りと思えばいい。

カゴ釣りのほうは、タナさえ合っていれば比較的簡単で、通常のコマセマダイ釣りより広い範囲を探ることができるのが利点になる。ハリスの長さは5メートルあれば十分。あまり長いと狭いイケス周りではヒットしたあとの取り込みが大変。逆に短すぎるとエサ取りの餌食になってしまう。

釣り方は、タナまでカゴが落ちてウキが立ったらそこでコマセを振ってそのままウキを流す。ボートの真下でコマセを振らないとコマセの流れる範囲がどんどん長くなってしまい獲物が散ってしまうからだ。そして、ウキが流れる間にたまにウキを止めてサソイをかける。

あと、水深30メートルにもなるイケス周りではラインにウキ止めイトを付けるのもひと苦労。そんなときは、ロッドにリールをセットしたあと、ラインにウキ止めイトを通し(イト通しの付いたワンタッチ式のウキ止めイトを使用。イト通しからウキ止めイトを外さないでおく。一つだけではウキ止めイトが滑るので二つ使う)、シモリ玉とウキもラインに通し片テンビンに結ぶ。

そして、イト通しを持ったままゆっくりタナまで下ろして、タナが決まったらイト通しを取ってウキ止めイトを結べば簡単。

 

朝イチではイイ感じで流れていたウキ。潮で流れていれば申し分ないが、風で流されていてもウキが動かないよりはイイ。サソイはストップ&ゴーをライン操作で

 

終始、強烈なエサ取り攻撃に見舞われる。通常ならエサ取りがタナ取りの目安になるが、イケス周りではアテにならない。エサの取られ方を見るとかなり小さなジャミのようだ

 

Y男がアミコマセを模したワームで遊んでいたらいきなりヒット。すごいファイトだと大騒ぎしてランディングしたのは、丸まると太ったマフグ(たぶん)でした

 

潮が止まり風もなくウキが動かなくなったので、沖のワラサ根に移動した。当然、ウキは外されています。水深30~40メートルあたりをドテラで流す

 

撒きエサにはアミコマセを使用

 

ウキフカセ釣り

一方、フカセ釣りのほうは脇のコマセマダイ仕掛けから流れ出るコマセの帯に付けエサをシンクロさせるのが最大のポイントになる。要するにタナ取りが難しい。なので、コマセマダイ仕掛けは通常のタナより高めに設定すること。そして、コマセの外側から遠巻きに様子をうかがっている獲物をダイレクトにねらうこともできる。よって、コチラもウキが流れていないと釣りにならない。コマセが真下に落ちている状況では望み薄だ。

カゴ釣りの場合は風のみでウキが流れていてもなんとかなるが、フカセ仕掛けでは潮が効いていないと非常にキビシイ。それと、風と潮が同じ方向に流れているときは無敵ですが、違う方向へ流れているときはヤッカイ。状況によってはウキを遠投するコトもある。

使用するウキは5~10号負荷の発泡ウキでオモリは5~8号程度。風の影響を受けないよう、できるだけ海面から出るウキの部分を少なくする。ハリスの長さは1.5~2メートル。

タックルは、カゴ釣りならコマセマダイ釣りセットの流用でいい。フカセ釣りのほうは、2号4.5メートルの磯ザオがベスト。磯ザオがなければジギングロッド。リールはベイト、スピニングどちらでもOK。ラインはPEの1~2号。遊動式のためリーダーは付けない。

とまぁ、こんなヌル~イ感じのウキ釣りですが興味のある方はマネしてくだされ。もちろん、イケス周り以外に根周りや魚礁周りでもできる釣り方です。しかし、関東近郊のレンタルボートではアンカリングのできるスポットは少ないのだ。

うってつけなのはマイボートですナ。ワタクシメを乗せていただけるボートがあれば拒みませんよー。

 

毎回、仕掛けを下ろすたびに付けエサの行方を確認。変な動きで沈んだらその時点で回収。無駄な時間はさけたいからネ

 

プラカゴを回収したらコマセを詰め替えてからハリスを手繰ってエサを付ける。それから、エサとハリスを流したあとにプラカゴを沈める。乗合船では迷惑な手順だがラクチン

 

タナを取った直後にコツコツと当たったので、間をおいて合わせたがちっとも引かない。フグかと思ったら小さなオオモンハタ。今や沼津名物ともいえるゲストは即リリース

 

潮が効いていたのは朝の短い時間だけだった。風も波もなくいわゆるひとつの凪倒れでしたナ。ま、時季的にもキビシイ季節だし、仕方ないネ~

 

須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを紹介している。

 

(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=幸野庸平/舵社)

 


今回お世話になった貸しボート店

本連載で過去にも訪れたことのある、釣り好きの漁師さんたちが運営する沼津の貸しボート店。その漁師さんが所有するイケスで掛かり釣りをすることができるのだ。今回借りた〈海星2〉(15馬力船外機搭載)は、最大乗船人数3名で平日なら10,000円でレンタル可能。

海星
[住 所]静岡県沼津市西浦平沢 平沢港内
[料 金]10,000円~
[定休日]年中無休

 

月刊『BoatCLUB』の奇数月号で連載している「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、料理上手な釣り人Mr.ツリックが、関東を中心に全国の貸しボート店を巡り、その地、その季節に合った釣りを楽しむ様子をお届けしています。

今回は、『BoatCLUB』2024年5月号に掲載された「旬のカワハギをねらうゾ」を一部再編集したダイジェスト版をお届けしました。

 

※取材は2024年3月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。


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