アジロボートでカワハギねらい! でも釣れたのはイカばかり!?

2024.07.21

今回は、孤高の釣り人Mr.ツリックが、千葉県館山市のアジロボートさんを訪問。早秋の館山湾でカワハギをねらいにきたのに、なぜか終わってみればコウイカとアオリイカのイカ祭り。本命のカワハギは釣れなかったけど、楽しい釣行となりました。(舵オンライン編集部)


恒例の昔話

みなさま、こんにちはMr.ツリックです。

さて、今回は久々のカワハギ釣り。どちらかといえば小物釣りが好きな小物なワタクシメ。当然、カワハギは得意とするターゲットの一つです。ただし、2023年はまだ一度もカワハギ釣りをしていない。その前の年も一度だけだ。やっぱウデが相当さびついていると思われますナ。

とはいえ、カワハギ釣りなんて簡単だから、釣果ゼロなんてこたぁ絶対にありえないだろう。まぁ、いつものことですが、のほほんと能天気にすべて編集担当のY男まかせ。釣り場は千葉県・館山のアジロボートさんです。

とにかくレンタルボートでの釣りは、天候判断はボート店がするし、可搬艇を砂浜からエントリーするときみたいに潮位の心配もしないので潮まわりもあまり気にせず釣りに行く。しかも、ボートの準備も片付けもしてくれる。ほんま、お気軽な釣りですナ。あとは、Y男が釣り場までの送迎をしてくれるともっとウレシイけどナ。

アジロボートさんはこのところ足が遠のいていた。多分3年ぶりくらいですかネ。かつては船外機よりも手漕ぎボートが主流だったので、年に2~3度は通っていた。その後、2馬力ボートのレンタルを始め、さらに訪問回数は増えた。しかし、次第に手漕ぎも2馬力もなくなり、今では船外機付きボートのみのレンタルになっている。

手漕ぎが主流のころは、今のような整備された港ではなくて、小さな防波堤が1本だけあるこぢんまりとしたのどかな港でした。埋め立てもされておらず、今のスロープの場所は広い砂浜だった。ボート置き場の脇には大きなテントが張ってあり、スタッフのオジサンや先代の店主といろいろな話をした記憶がある。

そのころのターゲットは、夏からのシロギスがメインで、マゴチ、アオリイカにクロダイもねらっていた。あとは、真夏のウキ仕掛けでのペンペン(シイラの若魚)釣りがけっこう面白かったかな。真冬はあまり行かなかった。内房周辺の手漕ぎボート店はみな冬季休業で、館山のアジロボートだけが営業していたため、冬に貴重なゲレンデだった。でも、浜田海岸は北向きの海岸。冷たい北風が吹く冬場はほとんど訪れていなかった。

北向きといえば、浜田港がまだ砂浜だったころ。砂浜に立っていると海に向かって右手から太陽が上がり、左手に沈んでいくのが相模湾育ちのワガハイにとってはものすごい違和感だった。でも、砂浜がなくなった今ではなんも感じませんナ。

 

受付はスロープの前にある小屋。そこで名簿に記入し、ボート代金の支払いとイラストマップで進入禁止エリアや釣り場などのレクチャーを受ける

 

出船。乗船後にマップアプリの「海釣図V」を起動する。そしてその後、あろうことか2日間も停止するのを忘れていた。最悪ですな?。マップには2日間分のオイラの移動のあとがくっきりと

 

借りたボートは4人乗り、9.9馬力の船外機艇で、魚探、イケス、シーアンカーが装備されていた。乗り心地はまずまず。アンカリング禁止なので、シーアンカーを使う

 

オイラが用意したカワハギ釣りの基本タックルとエサ。ほかに、大量の替えバリと、エサは3パックだけでは不安だから常温保存ができるアサリエサも予備として持ってきている

 

シーズン的にもベストということで、一応エギも持ってきた。もちろん、エギング用タックルもしっかり忍ばせている。ティップラン用のエギを持っていなかったので、Y男のマスクシンカーを借りた

 

近年のカワハギ釣り

さて、恒例の昔話終了。受け付けを済ませて沖に出ると予想よりも風が強い。しかし、この風は弱まる予報になっているので問題ナシ。タイヤ魚礁をかすめるライン取りでシーアンカーを投入して釣り始める。

ところが、水深20メートルなのに30号オモリでやっと底立ちが取れる状況。風が強いが潮も速い。そういえば、港を出たときに見えた富士山の横には大きな満月が浮いていた。そうかぁ、しまった大潮なのか。フィッシュイーターをねらうにはいいが、小物釣りには向いていない潮まわりだ。大潮でのボート釣りでいい思いをしたことはあまりない。

オモリが着底直後に一度だけならタタキ釣りができた。はわせ釣りは中オモリが上ずってしまいハナから不可能。そんな状況なのでじっくりとカワハギ釣りをすることができず、エサもいっこうに取られない。3回投入してもエサに変化がなければ移動するのがセオリーだけれど、移動する場所がない。とりあえず、風が収まるまでここで我慢。収まったら水深40メートルのカケアガリを流すことにする。

ちなみに、近年のオイラのカワハギ釣りは、はわせないたたかないカラアワセしないから進化して、今では胴調子ザオを使う釣りになっている。中オモリや集寄板は使わずリーダーに直接カワハギ仕掛けを結ぶ。オモリも水深によるけれど15~30号の軽めを使用。オモリが着底したら静かに誘って、コツンとアタリが出たら軽く合わせて巻き上げる。

攻めの釣りではないので数は出ないが1尾ずつ大事に釣る感じかな。胴調子ザオを使えば大物のバラシも少ない。そして、集寄板や中オモリを省くとはわせ釣りはできませんが、エサとラインとの間に余計なものがないので小さなアタリも敏感にキャッチできる。

 

カワハギのアタリはまったく出ず、最初にヒットしたゲストはお約束のエソ。しかも、小さくて食用にならないリリースサイズ。まぁ、大きくても滅多に持ち帰りはしませんがネ

 

魚探は操船者からしか見えない位置にあるためポイント選びも流すラインもほぼほぼY男まかせ。彼もずいぶんと成長した。あとはタンマリ釣らせてくれれば文句ナシなんだが

 

エギングをしていたY男が釣った2ハイ目のコウイカ。1パイ目は船中にゴボウ抜きで取り込もうとした際に、期待通りに海へポチャン。ジェット噴射で海面にスミの痕跡を残し去っていった

 

タイヤ魚礁で釣れたチビカサゴ。タイヤ魚礁は高低差が大きくて近づきすぎると根掛かり連発。かといって、遠ざかれば生体反応ナシ。当日はカワハギ釣りにはキビシイ状況だった

 

魚礁から離れると海底は砂地で、エソとキタマクラしか食いつかない。エサは取られないし、カワハギのコツンというアタリもない

 

Y男の好釣ぶりを見せつけられ、いたたまれなくなりエギを投げる。もちろん、エギもエギングロッドも用意してきた。あと、ジギングタックルもね

 

600~700グラムはありそうなアオリイカ。このくらいのサイズの一夜干しは最高ですゾ。一度お試しあれ

 

最後に釣れた

ま、そんな感じでのんびりしたカワハギ釣りを楽しんでいたのですが、今回は久々なので一般的な道具立てにカワハギ専用ザオでゴリゴリなカワハギ釣りをするつもりでいた。

それにしても、いつまでも風が落ちずに潮も速いとホントにもうマトモな釣りにならない。エンジン流しをしたいが、この風とこのボートではトモ流しでも無理だろう。というワケで、エギングに切り替える。こういうこともあろうかと、エギングとジギングのタックルは用意してある。

なんなら、胴調子ザオにそれなりのハリとイトがあるから、カワハギ仕掛けにクラカケトラギスでもかかれば、泳がせ釣りでマゴチやヒラメをねらうことも可能である。さすがに、コマセ釣りタックルまでは持って来なかったけれど、何でもアリがボート釣りの真骨頂である。節操ナシともいうけどネ。

ところが、浮気したエギングも芳しくない。たまにはイカパンチとか感じてみたいのにウンともスンとも。これでは、カワハギ釣りと変わらない。いっそ、カワハギ釣りを通したほうが潔かったなぁ。なんて思っていたら最後の流しにズシン! と乗った。

ラストチャンスでなんとかコウイカを確保したが、肝心のカワハギはアタリすら1度もなく今回も本命釣果ゼロ。いやはや、カワハギ釣りでオデコを食らうとは予想すらしていませんでしたヨ。参りました、完敗です。したがって、料理のページはカワハギからコウイカに変更ですナ。

次回はなんとか結果を出したい。しかし、ベストシーズンのカワハギ釣りで釣果ゼロの人が、果たして釣りものが少ない冬にいい結果を出すことができるのか。コリャまた、釣果ゼロの可能性が濃厚ですかネ。

最後に、この釣行は10月末でしたが、その3日後にアジロボートへ行った知り合いは3人で20~25センチのカワハギを15尾キープしたらしい。ポイントは水深20メートルでわれわれとほぼ同じ場所。イイ凪だったとか。

 

エギにヒットした約1メートルのアカヤガラ。飲み込まれたエギは解体しないと回収不能。昔、飲み込まれた口の中の生きエサのアジと目が合ったときはエグかったのぉ

 

本日唯一の見せ場。ラストの1投げでヒットしたコウイカ。カワハギ釣りをしに来たはずなのにねー。変わり身の早さがボートアングラーの特技

 

もちろん、ゴボウ抜きなんて無謀はせず慎重にランディング。海中から上げたらとりあえず、ジェット噴射に備えてコウイカの腹側はY男のほうに向けておく

 

戦慄(せんりつ)の撮影タイム。Y男よ、もたもたしないで早く撮ってくれ。そんなに時間をかけているのはまさかワザとではないよな

 

少しでもイカのスミを減らそうと、イケスの中のイカを刺激してスミを吐かせていたら、見事に逆襲のジェットを食らい、自分もフネも洗うハメに

 

今回の釣行マップ(千葉県館山市)

海釣図V」(マップル・オンより転載)

 

須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを紹介している。

 

(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=幸野庸平/舵社)

 

今回お世話になった貸しボート店「アジロボート」

魚影濃い館山湾で釣りが楽しめる貸しボート店。今回借りたのは4人乗りの9.9馬力船外機付きのボートだが、ほかに5人乗り15馬力、7人乗り40馬力など計6艇のボートをラインアップ。ポイントについてはていねいに教えてくれるので初めてでも心配無用。

アジロボート
[住 所]千葉県館山市浜田148
[連絡先]090-5213-0025
[料 金]15,000円~
[定休日]火曜日

 

月刊『BoatCLUB』の奇数月号で連載している「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、料理上手な釣り人Mr.ツリックが、関東を中心に全国の貸しボート店を巡り、その地、その季節に合った釣りを楽しむ様子をお届けしています。

今回は、『BoatCLUB』2024年1月号に掲載された「旬のカワハギをねらうゾ」を一部再編集したダイジェスト版をお届けしました。

※取材は2023年10月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。


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