貸しボート店探訪記／⑦ヒット三浦海岸でシロギスねらい
2023.04.21月刊『BoatCLUB』の奇数月号で連載している「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、料理上手な釣り人Mr.ツリックが、関東を中心に全国の貸しボート店を巡り、その地、その季節に合った釣りを楽しむ様子をお届けしています。
今回は、『BoatCLUB』2022年7月号に掲載された「シロギス、メゴチはどこ行った!?」を一部再編集したダイジェスト版をお届けします。
※取材は2022年4月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。
旬なシロギスねらい
みなさま、こんにちはMr.ツリックです。
さて、今回は三浦半島の金田湾にあるヒット三浦海岸さんにオジャマしてきました。
都心からクルマを利用すると1時間チョイで到着する好アクセス。さらに、駐車場、受付、トイレ、ボート乗り場のすべてが隣接しており、おまけに国道の向かい側にはコンビニもあるという、超お手軽な貸しボート店です。もちろん、ボート釣り自体はドコで浮かんでも決してお手軽ではないことは、みなさまご存じですよネ。
レンタルボートは2馬力、9.9馬力、15馬力をラインアップ。初めての方は店のウェブサイトを見て指示に従って予約をする感じですネ。今回は、編集Y男とのコンビで2馬力ボートをお借りしました。
離岸シーン。スタッフは腰まで海に入ってアシストしてくれる。マーキュリーの2馬力は長く愛用していたので操作はオテノモノですが、ちゃんと事前にお店の動画は見てきましたヨ
その動画にある旗の間の航路を抜けてポイントへ向かう。ちなみに、旗は時季によって1組だったり2組だったり。この旗の外側は、航行も釣りも禁止である
え～っと、肝心のターゲットですが、この時季テッパンのシロギスにしてみました。なんせ、いつも釣果がパッとしない釣行ばかりなので、ココイラで一発ガツンと本命をバカスカと釣らないとカッコが付かないのですヨ。
コツンと小さなアタリのあとにキュンキュンと、小魚の割にはシャープでインパクトのあるヒキを披露してくれるシロギスのファイト。コツンのあとにブルブルと手ごたえが伝わってきたときは、アワセのタイミングが悪くて食い逃げをされたときですナ。
さらには、27センチを超すようなジャンボギスの場合、ガツガツ、ギュ～ンとシロギスとは思えないまったく別物の強い抵抗をみせてくれる。
あ～、巨ギスなんて何年もお目にかかってないなぁ～。最後はふた昔以上前かな。
たしか、館山の波左間の手漕ぎボートで27センチくらいだっけ。尺ギスとなると忘却のかなただナ。今までに釣れたのは3尾だと記憶する。最初は中学1年のときだ。西湘海岸の波打ち際を腰まで立ち込んで釣る、ボラのウキ釣りのゲストとして得た。そういえば、そんなころから変なウキ釣りをしていたのか。おっと結局、昔話をしておるではないか。ハナシを戻す。
忘れずに持ってきた、シロギス釣りには必須アイテムであるシーアンカーの現場2号改。しばらく使っていなかったためロープがコンガラカル
アオイソメならボート店で販売しているが（ないときもあるので要チェック）、ジャリメ（イソゴカイ）はないので、ジャリメが必要ならば前もって購入してくるベシ
シロギス仕掛けも店で扱ってはいるが、種類は限られているため事前に用意してきたほうが無難である。使用するオモリは8～12号くらいだ
シロギス釣りのセオリー通りに小さく切ってハリに刺す。それでもジャリメよりかなり大きいですナ。きっと大きなシロギスが釣れてしまうでしょう
３年前から絶不調
そんなテッパンであるハズのシロギスの釣果が、3年前から絶不調に陥っているのであります。好釣なときなら、目をつぶっていても20～30尾、チョイとヤル気になれば半束、本気を出せば1束は釣ってしまう。小物に小物を釣らせたら日本一といわれた（自称）ワガハイである。
それが、3年前のシーズンは、デコギリの釣果が続いたりした。昨年はチョイと復調の兆しが見えたのだが、今期はドーなることやら。いつものパターンなら遅くとも4月の後半には最初のピークを迎えている。開幕当初は良型が交じって楽しい釣りになってアタリマエなのだが。
今回の釣行マップ（静岡県伊東市）
「海釣図V」（マップル・オンより転載）
最初のポイントは、航路真沖の水深9メートル。オモリは8号をチョイス。遠投用と、ボート下ねらいの置きザオに、マゴチ用の生きエサ仕掛けのサオも準備する
やっと出たアタリはあきらかにシロギスのソレではない。このヒキのヌシはわかりやすい、魚なのに派手な扇子と6本の脚を持っている艶っぽいヤツだろう
シロギスがゼロ!?
その辺をふまえ、お察しの通り今回も本命オデコでございました。ええ、すがすがしいほどにゼロ。アタリすらなくお友だちのメゴチ（ネズッポ科の総称）も1尾たりとも姿を見せませんでした。5月に入れば少しは好転するのかしら。個体数が減ればベストシーズンは短くなる。もしくは、ベストシーズンそのものがなくなる。もう少し水温が上がれば復調してくれるのではないか。いや、ぜひともそうなってくれないと困るなぁ。
貸しボート釣り場からシロギスがいなくなるとシャレになりませんわな。多くの釣り場がシロギスをメインターゲットにしていますもんねぇ。メインの釣りモノがメゴチなんて展開は回避したい。まぁ、メゴチも20センチオーバーが釣れるのなら文句ありませんが、仕掛けにダブルヒットで数センチの小メゴチが風になびくなんてシチュエーションは想像したくない。
そして、シロギスがいなくなれば、それをエサにしているフィッシュイーターのマゴチ、ヒラメ、アオリイカなども、どこかほかの場所へ移動してしまう。そうなればお手上げ。なんとか早く回復してほしいですナ。
ホウボウは、姿ばかりでなく味もイイのである。しかし、コイツを専門にねらうのは、なかなか難しい魚なのですヨ
体表にある虫が食ったような斑点が特徴のムシガレイ。30センチ超えの良型になると、肉厚でヒキも食べごたえも十分
ボート内を汚さないようにバケツの中で血抜きをする。もちろん、バケツの底にキズを付けないよう慎重に。木の板とか何か下敷きになるものがあるといい
ムシガレイのアタリは、マコガレイよりもハッキリしていて、ファイトは激しいが重量感に欠けるかな。同じカレイ科の仲間でも、まったく違うアタリとヒキをするのですナ
難しいポイント選び
実は、ヒット三浦海岸さんのメインターゲットは、シロギスではなくマダイである。マダイのほかに、クロダイ、イトヨリダイ、スズキ、アジ、ヒラメ、マゴチなどが釣れる。いわゆるマダイ五目ですナ。そのマダイ人気が高すぎるため、シロギスをねらう人は少ない。しかし、ねらう人が少ないのはシロギスがいないワケではなく、本来この周辺はシロギスがよく釣れるエリアなのである。
かつて、インフレータブルボートでここより少し北側をウロウロしてシロギスを釣っていたことがある。そのころの感じとして、シロギスはポイントに均等に散らばっているのではなく、群れを形成していて、釣れる場所とそうでないところの差が大きくてポイント選びに苦労する、テナ感じの記憶だ。
となれば、今回の釣行でも久々に訪れた場所でもあるし、ポイント探しが最大の難関になるとは予想していたが。まさかねぇ。かすりもしないとは。ガッカリダヨ。
東京湾湾口にある金田湾は、ゆるい弧を描いた広く南北に延びた湾なので風を受けやすい。さらに、ヒット三浦海岸さんがあるのは湾の中央付近で背後に高い山があるワケでもなく、風裏になることもない。ようするに、風に弱いということですナ。ま、天候状況による出船の判断はボート店がするから、荒天のためにボートが出せないとなれば従うよりほかにテはないのですが、問題は予期せぬ急変ですナ。
この釣り場は、岸近くが釣り禁止エリアになっているために、ボート乗り場近くで釣りをして急変に備えるというテが使えない。その点も踏まえて天候があやしい日も休業になるだろう。天気の悪い中、釣りをしていても楽しくないからねぇ。撮影当日はじつに穏やかな釣り日和であった。ヤッパ、釣行はピーカンベタナギに限りますナ。
着岸時もスタッフが海に入ってアシストしてくれるので安心。2馬力ボートの場合は、沖から全速で砂浜に対して直角に突っ込むのがコツ。そしてエンジン停止スイッチのピンを抜く
シロギスオデコの釣果写真。これにせめてシーバスが加わっていれば写真映えはしていたなぁ。今からでも本命をムシガレイに変更はできんかのぉ。まあ、オデコをくらわなかっただけでもヨシか
須藤恭介（すとう・きょうすけ）
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを紹介している。
（文＝須藤恭介［Mr.ツリック］ 写真＝幸野庸平／舵社）
【今回お世話になった貸しボート店】
三浦海岸の中央付近に位置する貸しボート店。ボートは2馬力、9.9馬力、15馬力艇がある。ウェブサイトには、出航時の注意点や沖での動き方などを説明する動画が充実しており、初めての利用でも安心だ。釣行当日も、わからないことがあればスタッフがていねいに説明してくれる。
ヒット三浦海岸
［住 所］神奈川県三浦市南下浦町上宮田
［連絡先］090-8491-0890
［料 金］7,500円～
［定休日］不定休（ウェブサイトのカレンダー参照）
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