月刊『BoatCLUB』の奇数月号で連載している「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、料理上手な釣り人Mr.ツリックが、関東を中心に全国の貸しボート店を巡り、その地、その季節に合った釣りを楽しむ様子をお届けしています。
今回は、『BoatCLUB』2022年5月号に掲載された「魚影濃い伊東でキダイねらい」を一部再編集したダイジェスト版をお届けします。
※取材は2022年2月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。
とりあえず伊東へ
みなさま、こんにちはMr.ツリックです。
前回の記事の締めくくりに、「次回はクロダイでも釣りたいですナ」、なんてぇたわ言をほざいておりましたワタクシメであります。言うまでもなく、ハードルの高いターゲットです。しかしそろそろ、なにがなんでも本命を釣らねばならぬ。釣り場を選ぶのにも気合いが入りますナ。
釣行予定は3月。乗っ込みにはチト早いかもしれませんが、最近のクロダイの乗っ込みは以前のように明確に通常時と区別することが難しくなり、いつの間にか始まり、いつの間にか終わっている感じ。ならば、なんとかなるのではないか。などと釣行のタイミングに関しては、なんの根拠もなくユル~イ考えでおりました。
希望の釣り方はウキフカセ釣り。となれば、当然掛かり釣りになりますナ。掛かり釣りはなにげに気を使う。アンカリング不可のエリアが結構あるし、有望な磯際は釣り人がいたりする。まさか磯釣りしている人の目の前で掛かり釣りをするワケにもいくまい。
いっそのこと、チニングのほうが手っ取り早いのではないか。イヤイヤ深場でウイリーですかネ。アレコレ悩んでいたら、編集Y男が「オデコ臭漂うクロダイよりも、もしかしたらマダイのほうがシーズン的にヨロシイかも」と横やりをいれてきた。まぁ、この号は5月号だから、彼の言っていることに間違いはないのだが。
3月のマダイにしてもそう簡単に釣れるシロモノではない。乗合船ならば、まだまだ深場を攻めている時季である。少しでも水温の高い温暖な地域で釣りたいところだ。しかし、このご時世であまり遠くに移動することもままならない。そこで、首都圏からそれほど遠くない静岡県・伊東をチョイス。東京の南に位置する東伊豆にあり、レンタルボートで水深数十メートルを流すことができる魅力的なエリアなのです。
店の前からフィッシングエリアが見渡せるのでポイントを教えてもらう。道路の反対側に出船場所となる港があり、トイレと駐車場が隣接している
借りたボートは漁船タイプの18フィートくらいですかね。魚探は装備されています。港のスロープに上げやすい平底なのか、よく揺れるので船上での移動は慎重に。
ボートへは護岸からハシゴでのエントリーになる。帰着時に迷わないように、護岸の接岸場所と港の出入り口は、出船時にしっかりと確認しておこう。
基本的なコマセダイの仕掛け。ボートから釣るなら仕掛けの長さは数メートルあれば十分だと思う。ただ、スレきった大ダイをねらうなら、ヤッパ潮になじむ1本バリがイイかしら。
早朝の出発時に都内で買って車内に放置していたコマセですが、まったく解けていないのでボートのイケスに浮かせて解凍。それでも、昼すぎても全解凍にはならなかった。
現場でターゲット変更
ところが、釣りモノと場所が決まった途端に問題発生。予定の3月にオラの都合で釣りに行けず、なんと1カ月も前倒しの2月早々の取材となりました。
またしても、厳寒期に訪れることとなった伊東。真冬でもそれなりの釣果が見込まれるので、冬季のキープ釣り場みたいになっていますナ。前回は、みごとに1キロの本命オニカサゴをゲットしました。まぁ、釣ったのはオイラではないですけれどネ。その前も、カサゴ類とカワハギをけっこう釣ったハズです。
そんな冬でも期待できる伊東ですが、もちろんベストシーズンは春と秋。シロギスをはじめ、マルイカ(ケンサキイカ)、マダイ、アジ、サバ、ワラサ(ブリの若魚)、カワハギ、ヒラメ、アマダイ、カイワリ、カサゴなどターゲットは多彩。そのころに来てみたいとは思うのですが、ベストシーズンはそのころにしか釣れないゲレンデが多くて、ついついそちらを優先してしまうのですヨ。
さて当日、ゆるゆると7時に集合。現地の井上丸さんで釣況を聞くと、やはりマダイにはいささか早い様子。そこで、急きょターゲットをキダイに変更。キダイならばマダイタックルで対応できる。できれば、コマセカゴなしのオモリだけの片テンビン仕掛けで釣りたいが、プラカゴしか用意してないので、プラカゴを使う。ならば、コマセも使いたい。そうなると、もはやキダイ釣りというよりマダイ五目釣りですナ。でもまぁ、そのへんは、なんとかウヤムヤにしていただきたい。
湾の東沖にそびえる手石島が伊東のランドマーク。いつもは、その周辺を攻めるのですが、今回は港の真沖にあるキダイポイントへ。その途中、われわれに先行してエントリーした手漕ぎボートが魚礁でマダイをねらっているのが見える。朝イチのマグレねらいで魚礁周りを2~3回流してから、沖のキダイポイントへ向かうのも悪くない。なんつったってコマセ釣りだから一人でもコマセ撒きは多いほうがイイだろう。
そんな邪念にとらわれかけたが、グッと我慢の初志貫徹。手漕ぎボートを横目に水深60メートルのキダイポイントへバウを向ける。
真冬なので丸々な寒サバを期待したけれども、上がってきたのは細ヒョロ。すぐにリリースしたのではっきりしないが、コイツは多分マサバ気取りの、なんちゃってゴマサバだろう
3.3メートルのマダイザオを振り回すのは10年ぶりくらいかな。狭いボートではマジで扱いにくい。乾舷が低いのでロッドホルダーとか使ったらサオの半分は水没しそうだ。
今回の釣行マップ(静岡県伊東市)
「海釣図V」(マップル・オンより転載)
当日はウネリがありけっこう揺れた。座って釣るとロッドティップが水没して見えない。立って揺れに対応して釣るにはセンターコンソールに体を預けるしかない
二兎を追わず本命ゲット
結論からいうと、この判断が大正解。朝イチでマダイをねらって釣れればいいが、釣れる可能性はかなり低く、朝から午後まで粘った手漕ぎボートも釣果ゼロだった。その後に沖のキダイポイントに移動しても朝のゴールデンタイムは終了しており、すぐに風が吹いてきて底ダチもままならず、二兎追う者の常でむなしく終了している可能性が濃厚であった。
それにしても、なんとか本命をゲットできてヤレヤレですナ。深い場所はフグが少なくて釣りやすかった。もう少しアタリがあったらもっと楽しかったのですがネ。まぁ、厳寒期の釣りなのでワガママ言ってもしようがない。オノレのウデをわきまえろってぇの。
それと、ここの釣りエリアは範囲が広い。よって、まだまだ攻略してみたいポイントがいくつかある。当然、年に一度の釣行ではまったくオハナシになりません。いっそのこと、定点釣り場として通い詰めたいと思うのですが、伊豆半島にはほかにも魅惑的なエリアが何カ所かあり、そちらも釣査してみたいのですヨ。
ヒットしたので、慎重に仕掛けを手繰り寄せる。ちなみに長ハリスのコマセダイ仕掛けに手前マツリは付きもの。当日は太いハリスの市販品を使っていたので解きやすかった。乗合船でお隣のサバと濃厚接触なんてぇのはイヤですナ。
本命ゲット。え、マダイに見えないって? コマセダイ仕掛けを使っているからって、本命がマダイとは限りません。マダイ五目釣りって逃げ道もあるしネ。
まぁまぁサイズのキダイ。マダイならば、このサイズはリリースだね。この日は水深60~70メートルの間でヒットした。エサ取りやフグが少なくて釣りやすかったかナ。
キダイは黄色っぽい魚体と顔つきで、ほかのタイ3兄弟とすぐに見分けがつきます。20センチ前後のマダイは脂パサパサですが、キダイなら脂しっとりで食べ応え十分。
貸しボート店の減少
しかしながら、気になるエリアにレンタルボート店が残っているのかが問題。以前は、西伊豆まで日帰りで手漕ぎボート釣りに通っていたのですが、次第に足が遠のき、今ではマイナーな釣り場は現状を把握できていない。
もろもろの事情でいたし方ないのかもしれないが、レンタルボート店(マリーナ系を除く)は減少の一途だ。昔はちょっとした湾には必ずといっていいほど貸しボートが浮いていたのになぁ。寂しい限りであります。
ちなみに東伊豆なら、熱海の多賀、網代、伊東、川奈にレンタルボート店がある。しかし、川奈の先はドーなのかな。昔は下田とその手前にある外浦の民宿で手漕ぎボートをレンタルしてくれていたが、今も貸してくれるか、ググってみてもそれらしき記事が出てこないので詳細不明。
一方、西伊豆から南伊豆は、沼津、戸田、田子、妻良には、いまだ営業している店やボートを貸してくれる民宿があるが、安良里と石部は廃業した。あと、かつて貸しボート店のあった宇久須、大田子、松崎、岩地はドーなっているのでしょうか。
以前、もう10年以上前になるかな。2泊3日かけて伊豆半島一周のレンタルボート店めぐりをしたことがあった。やはりココは一発、再び貸しボートを探す旅に出なければならないですかネ。でも1人ではなんともシンドイ。〝旅は道連れ〟ですよね~、編集長。
カメラマンがソコイトヨリを釣る。マダイ釣りゲストの常連ですナ。そのサイズならば、どのような料理を作ってもおいしくいただけるでしょう
カメラマンはベタ底を重点的に攻めているようである。今度は小型のアマダイを釣り上げるが、ハリをのまれておりリリースならず。片開き干しにするといいでしょう
もたもたしているとサバの猛攻に遭う。そもそも、キダイ釣りなのでコマセは必要ない。コマセがなければサバのヒット率は下がる。でも使えばよりよい魚が釣れる気がする
直前のターゲット変更で本命ゲット。もうチョイと数を釣りたかった感じですが、このくらいでちょうどいいのかもしれない。厳寒期の2月にオデコをくらわなかっただけでもヨシ。
須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを弟子に教えている。
(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=舵社/宮崎克彦)
今回お世話になった貸しボート店
毎年のように訪れている伊東港は、年間を通してさまざまな釣りものが楽しめる魚影の濃い海。今回利用した船外機付きボートのほかに、井上丸では手漕ぎボートのレンタルと仕立船のサービスがある。ポイントはスタッフがていねいに教えてくれるので初めての人でも安心だ。
井上丸
[住 所]静岡県伊東市東松原町2-10
[連絡先]0557-37-3525
[料 金]3,500円~
[定休日]年中無休
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