トルコ・イスタンブールに吹く新たな風 vol.1

2022.02.26

2021年10月末、コロナ禍の合間を縫って、東ヨーロッパと西アジアをまたぐトルコ共和国へ取材に行く機会を得た。メインはイスタンブールで実施された「大統領府国際ヨットレース」。2020年に始まったばかりのこの新しいレースと、イスタンブールのヨット文化を取材した。その模様を、舵オンラインでは前後編でお届けする。

 


 

■2ステージ制で四つのカップを競う

トルコと聞くとセーラーが真っ先に思い浮かべるのは、南西部に面した美しいクルージングゲレンデのエーゲ海ではないだろうか。チャーターヨットが充実しており、日本からチャータークルージングに出かける方もいる。

今回、そのエーゲ海でのレースを第1ステージ、イスタンブールでのレースを第2ステージとした「大統領府国際ヨットレース」を取材した。2020年に誕生したばかりで、昨年で2回目の実施となるこのレースは、イスタンブールオフショアヨットレーシングクラブが主催するもの。同クラブは設立が2014年とまだ日は浅いが、DHLなど複数の大企業をスポンサーにつけて、第1回大会から盛大に開催している。

レースは前述の通り二つのステージに分かれる。第1ステージの「ハリカルナス杯」は6月下旬に実施された。トルコ南西部のムーラ県・マルマリスをスタートし、湾内の三つのブイを回ったあとに湾外へ出る。約110マイル先のボドルムでフィニッシュするディスタンスレースだ。

第2ステージは10月末に実施。イスタンブールを東西に分けるボスポラス海峡や、黒海とエーゲ海の間にあるマルマラ海北部をレースエリアとし、3日間でそれぞれ「ジュムフリエットカップ(共和国杯)」「マヴィヴァタンカップ」「バルバロスハイレッティンパシャカップ」と名前が付けられている。取材したのが、この第2ステージだ。

 


イスタンブールの観光名所であるガラタ塔から、ボスポラス海峡(写真左奥)と南の旧市街側を見る。手前を流れるのは金角湾。橋には釣り人がたくさんいて印象的だった

 

2020年、コロナ禍にありながら誕生したヨットレースだが、海外からの参加もあって非常ににぎわっていた

 


ボスポラス海峡でのレースの様子。プレスボートに気付き、手を上げるクルー

 

■トルコ周辺の6カ国から合わせて67艇が参加

イスタンブールは、首都アンカラの3倍弱の人口(約1,500万人)を擁する、トルコ最大の都市である。南北に走るボスポラス海峡が、アジア側とヨーロッパ側を隔てている。

10月29日の第2ステージ初日のジュムフリエットカップは、幅が約1kmと細いボスポラス海峡をレースエリアに設定。IRCクラスとORCクラスに59艇、スポーツボートクラスに8艇が出場した。この日はトルコの共和国建国記念日であり、街中に巨大な国旗がはためくお祝いムードであった。

レースはボスポラス海峡の南から北まで走り、ブイを回ってアタキョイマリーナ沖を目指すというもの。ボスポラス海峡を南端まで走り終えた先にはオールドタウンがあり、イスタンブールのシンボル的建築物のアヤソフィアやスルタン・アフメト・ジャーミィ(愛称ブルーモスク)の前をレース艇が駆け抜ける。

艇は日本でいうところのミドルボートクラスが多く見られたが、その他、60ft程度の艇からクラシカルな木造艇まで勢ぞろいのオープンレース。トルコ以外にはウクライナ、ルーマニア、ブルガリア、ロシア、オランダからセーラーが集まった。

2日目のマヴィヴァタンカップは、アタキョイマリーナ沖で上下のコースで2レース。3日目はバルバロスハイレッティンパシャカップで、マルマラ海での島回りレースとなっていた。

 


ボスポラス海峡を縦断するコースが設定された10月29日はトルコ共和国建国記念日であり、街中に国旗がはためく

 


イスタンブールを象徴する歴史的建造物のアヤソフィア。イスタンブールといえば、アヤソフィアやブルーモスクことスルタン・アフメト・ジャーミィ。それらの歴史的建造物を眺めながらのレースは格別

 

■日本から参加する場合はチャーターかスポットで

日本のチームが参加する手段としては「イスタンブールか、第1ステージのムーラ県で、レース艇をチャーターするのがベストです」とレース委員長のエクレム・イェムリハオール氏(イスタンブールオフショアヨットレーシングクラブの会長)はいう。また、レース委員会に連絡をもらえれば、地元のチームにスポットのクルーとして参加も可能とのこと。今年のレース日程はすでに決定しており、レース公示は3月1日に公開される予定である。興味のある方は、ぜひ下記ウェブサイトをチェック!(vol.2に続く)

 


イスタンブールのアタキョイマリーナは1989年に開業。海上面積167,000平米を誇る広いマリーナだ

 

第3回 大統領府国際ヨットレース
[第1ステージ]
ハリカルナス杯
●開催地:トルコ・マルマリス~ボドルム
開催日:2022年5月25~27日

[第2ステージ]
ジュムフリエットカップ(共和国杯)
マヴィヴァタンカップ
バルバロスハイレッティンパシャカップ
開催地:トルコ・イスタンブール
開催日:2022年10月28~30日

 

■公式サイト:https://sailturkey.racing/
■公式YouTube:Sail Turkey Racing
■公式インスタグラム:sailturkeyracing

 

この記事は2022年3月号の月刊『Kazi』より、「イスタンブールに吹く新たな風 盛り上がる国際レースとセーラーたち」を加筆・再編集したものです。本誌のご購入はこちらからどうぞ。

 

(文=森口史奈/Kazi編集部 写真=矢部洋一 協力=トルコ観光広報・開発庁)

 


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