戻ってきた日常/ロレックス・カプリ・セーリングウイーク

2021.05.25

昨年来、世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス禍。日本では現在も緊急事態宣言下にある地域も多く、セーリング界では、5月17日には伝統のオフショアレース「パールレース」が、そして5月21日には東京五輪プレ大会「ワールドイズワン 江の島セーリングカップ2021」と、ビッグイベントの中止が相次いで発表されている。

しかし、今年に入ってから欧米ではワクチンの接種が進みつつある現状もあって、セーリングの世界にも、少しずつ日常が戻ってきているようだ。

 

この5月10日~20日には、イタリア南部、ナポリの沖に浮かぶカプリ島を舞台に、「ロレックス・カプリ・セーリングウイーク2021(Rolex Capri Sailing Week 2021)」が開催された。

この大会は、「MAXI YACHT CAPRI TROPHY」、そして66回目を迎える伝統のオフショアレース「REGATTA DEI TRE GOLFI」(155マイル)、さらに今回は「ORC EUROPEAN CHAMPIONSHIP(ORC欧州選手権)2021」と、三つのレガッタから構成される大規模なイベントだ。

特に「REGATTA DEI TRE GOLFI」ではORCクラスに96艇(ほかにMAXIクラスに13艇、CLASSICAクラスに2艇)、続く日程で実施されたORC欧州選手権には63艇と、イタリアを中心にかなりの数の艇が集まった。本大会では、参加選手や運営スタッフなどに、大会直前にPCR検査の受診を義務付けるなど、万全のコロナ対策がとられたほか、表彰式なども多数の人が集まらない工夫が施されたようだ。

 

一般のセーラーも参加するこのような大会(特に8~10人以上が乗り込むクルーザーレース)が、これだけの数の艇を集めて開催されたことはうれしいニュースである。イタリアでは、コロナ初期に大変な事態になっていたことを思えば、厳しい状況は着実に好転しているとはいえなくはないだろうか。

美しいナポリ湾をセーリングするレーサーたちをとらえた写真を以下に掲載する。

 

●ROLEX CAPRI SAILING WEEK 2021

https://www.rolexcaprisailingweek.com/en

 

(文=舵社/安藤 健 写真=ROLEX / STUDIO BORLENGHI)

 


シリーズの皮切りに実施されたのは、MAXI YACHT CAPRI TROPHY。全12艇がエントリーし、4レースが実施された

 

岩の間からのぞき見る美しい光景。カプリ島には、有名な「青の洞窟」がある

 

高級リゾート地として有名なカプリ島。観光が重要な産業となっているこの島では、住民15,000人のうちの約8割が5月初旬までに1回目のワクチン接種を済ませているという

 

10日間を超える大きなイベントの拠点となったカプリマリーナ。スペースに限りがあるため、MAXI YACHT CAPRI TROPHYとORC欧州選手権の日程がかぶらないようなスケジュールが組まれた。イベントの開催に際しては、感染症対策に万全の体制がとられた

 

レースのスタート海面は、マリーナから4マイルほどの海面。海沿いの道路には、見物客の姿も見える

 

ナポリ湾には、カプリ島のほか、イスキア島、プローチダ島といった大きな島のほか、火山が生んだ険しい岩でできた島々が点在する

 

切り立った島のキワを走るレース艇

 

昨年の大会がコロナ禍で延期となったORC欧州選手権が1年越しの開催を実現した

 

1-2-1-1-2-(3)-2という成績で、ORC欧州選手権クラスCを制した〈SCUGNIZZA〉(IY11.98)。2位にも同型艇が続いた

 

 

ORC欧州選手権クラスAを制した〈XIO〉(TP52)

 

 


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