SailGP艇に乗った日本人女性（1）｜梶本和歌子　舵オンライン │ 船遊びの情報サイト

SailGP艇に乗った日本人女性（1）｜梶本和歌子

カタマラン

フォイリング

SailGP

世界のヨットレース

2021.11.27

フォイリングカタマランF50による世界最速サーキット、SailGP。10月に開催されたスペイン大会から、ウィメンズ・パスウェイ・プログラムによって、女性クルー1人の乗艇が義務付けられた。

日本チームには、厳正なトライアルを経て、梶本和歌子選手と高野芹奈選手がジョイン。そんな2人から、貴重な手記が届いた。月刊『Kazi』12月号に掲載された記事を、完全版でお届け。第1回は、梶本和歌子選手の原稿を紹介します。

（タイトル写真＝photo by Yuki Watanabe for SailGP／チェイスボート上の梶本和歌子選手（左）と高野芹奈選手）

photo by Yuki Watanabe for SailGP

Wakako Kajimoto

女性セーラーの世界での動き、これから目指すべきこと

フライトコントローラーへの道

日本チームはセーラー、ショアクルーを含めて国籍がさまざまなので、コミュニケーションは基本英語です。チームに初めて参加したバミューダ大会の時は、英語での会話がとても大変でした。今も勉強中ですが、国際チームに参加するということを改めて認識しました。チームにネイサン・アウタリッジ、クリス・ドレイパー、フランチェスコ・ブルーニと、アメリカズカップやオリンピックメダリストがいて、セーラーズミーティング、デイブリーフィングでは毎回多くのことを学んでいます。

バミューダではアメリカチームとぶつかってしまい、その後のミーティングで次に同じミスを起こさないようにするためにはどうしたらいいかを、ディスカッションして解決しました。その次の大会であったターラント大会の優勝は、プロ意識の高さ、仲間の信頼、そして何よりセーリングを楽しむことを同じチームにいてとても感じましたし、興奮、感動を味わいました。表彰式のシャンパンファイトの光景は、忘れられない思い出となりました。

今シーズンから世界の女性トップセーラーがSailGPに参加しています。各チームでF50について学び、来シーズンから各チーム女性セーラーがレースに出場するためにトレーニングしています。まだまだプロリーグで活躍するポジションが少ない中、SailGPでは積極的に女性セーラーを起用しようとしています。アメリカズカップも女性チームを作ろうとしていますし、これからどんどん活躍する場が増えてくると期待しています。

また、SailGPでは、環境に配慮した活動を行っています。飲み物を飲む時にはマイカップ、マイボトル、１度きりのプラスチックで包装されたものをなるべく使わない、買わないなどさまざまな取り組みを行っています。一人のセーラーとして、自然を相手に競技するものとして環境を守っていくために少しずつですが、行動していきたいと思います。

私は日本チームに参加できたことはとても光栄ですし、若いセーラーが今後活躍できるように、自分自身に責任を持ちながら活動していきたいと思います。

＊

今後は、来シーズンのSailGPでフライトコントローラーとして乗艇できるように、努力していきたいです。また、アメリカズカップ女性チームでヘルムを持つことが、私の夢であり目標です。

（文＝梶本和歌子）

梶本和歌子：2012 年ロンドン五輪女子470 級日本代表。ナクラ17 級、東京五輪最終代表選考進出。