
衣はカリッと、中はクリーミーな
揚げ出しイナダ豆腐
暑い季節に釣れた小さめのイナダは、困ってしまうほど脂がのっていないですナ。脂のノリノリの魚があまり好きではないオイラでもチョイト食べづらい。脂が少ないと火を通す料理には向かない。短絡的に、脂がなければ揚げ料理と考え、ノーマルなフライや唐揚げにすると余計パサつき感が引き立ってしまうのだ。焼き物や煮物はもっとひどい状況になる。なので、普段は刺身やなめろう、さんが焼きなどにして食べることが多い。
火を通す料理でオススメなのは、揚げ浸し、カツ煮、唐揚げにしてからの卵とじか南蛮漬け。そして、今回の揚げだしイナダ豆腐は、衣はカリッと中はクリーミーでほんのりと口の中に広がるイナダ感、といった食感の一品です。揚げたてアツアツのイナダ豆腐に温かいだし汁は冷たいビールにベストマッチ。当然、冷やし揚げだしイナダ豆腐にしてもおいしいデス。その場合、だし汁はとろみを付けずに冷たくして提供するのがおすすめ。
【材料】(2人分)
●木綿豆腐 200g ●イナダ 180g ●かたくり粉 大さじ4 ●水 200ml ●しょうゆ 大さじ1.5 ●砂糖 大さじ1 ●酒 大さじ1 ●だしの素(顆粒) 小さじ1 ●チンゲンサイ 2葉 ●塩 適量 ●揚げ油 適量

①200グラムの木綿豆腐をキッチンペーパー2枚で包み電子レンジ500ワットで1分半加熱。さらに、ペーパーを取り換えて豆腐に重しをし、斜めにしたまな板などの上にしばらく置いておく。ちゃんと水抜きができれば、豆腐の重さがイナダの切り身と同じ180グラム程度になる

②イナダは、三枚におろしてから皮とすべての骨と血合い肉を取る。切り身の全体に薄く塩を振り、表面に水分が浮いてくるまで30分以上放置しておき下味を付ける。そのあと、水洗いをすれば、塩と一緒に臭みを洗い流せる。あとは、水分を軽く拭き取っておく

③②のイナダの切り身をスライスしたあと包丁で細かくたたき、①の豆腐と交ぜる。それをポリ袋に入れ、かたくり粉大さじ1を加えてしっかりともみこむ。できれば、そのまま30分から1時間ほど冷蔵庫で寝かせておくと、なじんでそのあとの成形がしやすくなる

④小鍋に水200ミリリットル、しょうゆ大さじ1.5、砂糖大さじ1、酒大さじ1、だしの素(顆粒)小さじ1を入れて沸騰させて、水溶きかたくり粉でとろみを付けてだし汁を作る。最後にチンゲンサイを入れる。とろみを付けずに、たっぷりの大根おろしとおろししょうが、唐辛子などを入れてもおいしい

⑤③をひと口大に成形する。丸でも三角でも俵形でも好きな形に整えたら、かたくり粉を全面にまんべんなくまぶし、ポンポンとはたくようにして余分な粉を落とす。粉を付けたらすぐに揚げるのがこの料理最大のコツ。時間をおくと揚げている途中で崩れてしまう

⑥油温は170~180度。火の通りは早いが、中の水分まで飛ばすようにじっくり揚げないとカリッと仕上がらない。時間がたつと中から水分がにじみ出てきてふやけてしまう。箸で持ったときにチリチリしているうちはまだ水分がある。揚げ油の泡が細かくなったらOK
須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。釣りだけでなく、優れた料理の腕前で、釣果料理のノウハウを紹介している。
※本レシピは月刊『BoatCLUB』2025年7月号「さかな食堂へようこそ」に掲載されたもののダイジェスト版です。最新号もよろしくお願いします!
(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=『BoatCLUB』編集部)