太平洋往復航海中の辛坊さん/ついに小笠原まで1,000km

2021.08.14

日本に向けて北上を決断

一人乗りで大阪~サンディエゴの太平洋横断航海を成功させた辛坊治郎さんは、現地時間6月22日、愛艇〈カオリンV〉(ハルベルグ・ラッシー39)とともに日本に向けてサンディエゴから再び出航した。トップ写真はサンディエゴ滞在時の整備の様子。

出航から52日が経った日本時間8月13日夜時点の位置は、北緯22度/東経152度の海域。まだまだ先は長いものの、日本の小笠原諸島まで1,000kmあまり、目的地の大阪まで直線距離で2,100kmと、いよいよ終盤に差し掛かっている。

そしてここまで、日本に向けての追い風となる東寄りの風、貿易風をつかむために、北緯20度以南の海域をずっと走っていた辛坊さんだが、いよいよ北上を開始している。復路全航程のおよそ4分の3を走り、日本へのアプローチラインに乗ったというところだ。

復路の出航当初は、「もしかしたらハワイや小笠原諸島に寄るかもしれない」としていた辛坊さんだか、結局、復路も無寄港の航海となる見通しだ。

 

現在位置は古野電気の辛坊さん応援ウェブサイトで、ほぼリアルタイムで更新されている(PC閲覧推奨)。右端のフラッグは、復路スタート地サンディエゴの位置で、そこから左上の航跡は往路の航跡だ。

ギザギザの航跡を描いた往路の航海(上)と比較すると、復路の航海(下)はスムーズな航跡で、順調に進んでいることが見てとれる。単純な直線距離での計算では、この時点で全航程の77%をクリア、日本までは約1,100マイル(約2,100km)となっている。

 

日本近海の心配の種は台風

上の航跡を見ても分かるように、針路を少しずつ北に向けた最近1週間。今のところ直接台風の影響は受けていないものの、いよいよ日本近海の気候が不安定な海域に入ってきた。

西日本が豪雨に見舞われた8月13日には、遠く南の辛坊さんも雷雨や豪雨、突風に遭遇した。

デッキから大きな音がしたので確認してみると、ウインチ(ロープを巻き取る装置)が外れて、金属製の部品がデッキ上を転がっていたという。幸い、辛坊さんの乗る〈カオリンV〉にはウインチが七つ設置されており、このウインチは使っていなかったようだが、聞いたことのない大きなトラブルだ。

往路の出航から4カ月以上、航海距離は20,000kmにも迫り、船にも疲労が蓄積してきているのかもしれない。最重要部分であるマストは、サンディエゴ滞在時に十分整備をしたようだが、何とか大きなトラブルなく乗り切ってほしいところだ。

辛坊さんの大阪到着は8月下旬が予想される。

 

■波乱万丈の往路航海を追体験

辛坊さんの公式YouTubeチャンネル『辛坊の旅』では、7月4日から、往路航海の模様を毎日動画でアップしている。4月9日の出航以降の様子が1日1本ペースで辛坊さんの「自撮り」で報告されており、太平洋横断を追体験できる、非常に興味深い内容になっている。

 

4月9日から6月17日にかけて行われた往路航海のまとめ。月刊『Kazi』8月号より。禁無断転載。

 

(文=Kazi編集部/中島 淳)

 

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※辛坊さんの航海についての詳しい記事は、毎月5日発売の月刊『Kazi』5~9月号に掲載しています。ご興味のある方は、全国書店またはこちらからお求めいただけます。

 

辛坊治郎さんの太平洋横断チャレンジを応援しよう!
古野電気の特設ウェブサイト

https://www.furuno.com/special/jp/shinbo-challenge/

 


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