「スパイキを使いたくなるスプライス!」とか、いきなり言われても、何が何やらわかりませんよね・・・。
この記事は、以前、超マニアックな「カジキの吻(フン)で作るスパイキ」を紹介し、大変な反響をいただいた(当社調べ)ことをふまえ、その先のスプライスのハウツー記事として書かれています。ちなみに吻とは、カジキの前にどーんと突き出たツノみたいなアレです。
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まず、スパイキとは、ロープワークに使う先のとんがった固い棒のこと。今回は、前回の予告通り、このスパイキを使ったロープスプライスを紹介します。
スプライスとは、ロープとロープをつないだり、輪を作ったり、エンド処理をするための編み込みのこと。
監修はもちろんこの人、"日本一楽しい航海をする帆船乗り集団”「スピリット・オブ・セイラーズ」の代表、山本 海さん。プロの帆船乗りが教えてくれるスプライスの極意とは! 非セーラーの皆さんも、がんばってついてきてください!
では、早速見てみましょう♪
スプライスの基本の基本。三つ打ちロープのエンドの留め結び方。この結びを施せば、ロープがほつれません! 写真では分かりやすくそれぞれのエンド(端の部分)に色付きテープを貼りました。
① 赤い真ん中のストランドを手前に折る
② 黄(左)のストランドをその上に乗せる
③ 青(右)を黄をまたぎ、黄の根元に通す
④ ③の状態をきつく締めこんでコブにする
⑤ スパイキをストランドに差し、隙間を作る
⑥ ⑤で作った隙間に赤を締めこみながら通す
⑦ その隣、その隣と繰り返しストランドを通す
⑧ 完成! 美しいバックスプライスができた! エンドは焼いて処理
三つ打ちロープのエンドにアイ(輪)を作る結び。これができるとまじでプロっぽいですよ!
① アイの大きさをイメージして、開始点を決定する
② 開始点のストランドにスパイキで隙間を作る
③ 隙間に赤を通し、きつく締める
④ ③の隣のストランドにスパイキを通す
⑤ ④で作った隙間に青を通し、締める
⑥ さらにその隣にスパイキ、黄を通す
⑦ 3 周ほど繰り返せば強度もばっちり
⑧ 完成! アイスプライスができあがり! 各エンドは切断して焼きましょう。使用頻度も高いスプライスです!
おまけ
ロープを強く引きたいときに使うマーリンスパイキヒッチ。ロープの途中に輪を作り、スパイキを取っ手として使う。引いたあとは、ロープに結び目を残さないことがポイント。サービングのひと引きごとに、これを使うと便利だ!
① 手前が上になるよう輪を作る
② その輪を右にひねり、上げる
③ 先に作った輪に、縫うようにスパイキを通す。ゆるみをとって、スパイキを絞り込む
④ これでスパイキが取っ手の役割りに! ロープを強く引け、使用後に結び目を残さない。すばらしい!
激レアなカジキの吻のスパイキを使った、スプライス教室、いかがでしたでしょうか。
ヨット乗りなら多くの方がこのスキルをお持ちだし、ヨット乗りでないならこのスキルは使い道すらないかもしれない・・・。なんともニッチな記事になってしまい、すんません(笑)。 ちなみに、気づいた人もいるかもですが、最後のおまけのマーリンスパイキヒッチの写真だけ、カジキの吻のスパイキではなく、金属製でした。あらためてお詫びします。
などなど、もちろん、激レア激ヤバのカジキの吻のスパイキでなくてもスプライスはできます。
市販の普通のスパイキでオッケーなので、鮮やかなスプライスをヨロシク!
(文=Kazi編集部/中村剛司 写真=山本 海/スピリット・オブ・セイラーズ)
※関連記事は月刊『Kazi』2021年1月号、2月号にも掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ
スプライスを教えてくれたのはこの人!
2002年、〈海星〉で帆船キャリアスタート。2006年~2009年にかけてヨーロッパ、東南アジア、オセアニア地域で帆船5隻にクルーとして乗船。帰国後、タンカー勤務(航海士)を経て、2013年〈みらいへ〉へ。後、2015年、スピリット・オブ・セイラーズ設立。ISPA公認インストラクター。名古屋と小豆島を中心にセーリングカッターでも活動中。実はスパイスのプロでもあり、自ら配合したスパイスの販売でも話題に。Kazi誌とのコラボスパイスもあり! スパイスとスプライスって、ライムが似てますよね。
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