プロのロープワークを学ぶ/アイスプライスの手順公開!

2020.10.16

古来ヨット乗りというものは、長い航海中にもてあました時間を使ってロープワークをたしなんだ……。ということで、ロープワークを極めるため、 国内外のレースシーンで活躍するプロセーラー、伊藝徳雄(いげい・のりお)さんを訪ねた。

「ダイニーマやスペクトラ(高強度ポリエチレン)製のロープは金属よりも強いので、最近のレース艇では金属シャックルよりソフトシャックルが使われます。ただ、素材の価格が高いので、商品も結構な値段がしますよ」と伊藝さん。

「作り方は簡単です。ではまず、基本の基本、アイスプライスを説明しますね」。

ということで、詳しい結び方を連続写真と動画で解説します。

 

ロープの端、エンドを輪にする基本中の基本、アイスプライスの手順を公開します。用意するのは芯材を抜いた外皮のみのロープ

 

(1)外皮のみのロープを用意。まずはエンドをスパイキなどでほぐす
(2)40cm×2で折り返し完成のメドをつける。折り返し部分が輪になる
(3)輪になる部分の根元をにマーキングをする
(4)測った位置、マーキング部分の織り目をほぐして引き抜きフックを差し込む

 

(5)引き抜きフックをどんどん押し込んでいく
(6)マーキングしたところから引き抜きフックを出し、ほぐしたエンドをはさむ
(7)ほぐしたエンドのできるだけ端をフックにかけて、ゆっくり引き抜く
(8)フックを引き抜いて、マーキングしたところに輪ができたところ

 

(9)ほぐしたエンドの先端を、引き抜きフックにはさみゆっくりと引き抜く
(10)引き抜き切ったら、輪の根元を仮縫いする。簡単な縫い方でオッケー
(11)ほぐしたエンドを斜めに切り、テーパーをかける。ここが重要
(12)輪の根元からロープをしごいて、ヨレのないようにする

 

(13)テーパーをかけたエンドをすべて中にいれる。このテーパーが摩擦を増すのだ
(14)念のため、輪の根元を本縫いする。縫わないやり方もあり
(15)本縫いは万全を期すなら、ぐるぐる巻く、索端止めで
(16)蝋引き糸のエンドを切って、完成です!!!!!!

 

アイスプライスの動画はコチラ!↓↓↓

 

スプライスの道具

1:スパイキ(A)またはマイナスドライバー(B)
2:バイスクリップ(A)またはプライヤー(B)
3:裁ちばさみ(A)またはカッター(B)
4:ペン 
5:メジャー
6:自作の引き抜きフック(各サイズ)
7:粘着テープやマスキングテープ
8:ライター
9:針
10:蝋引き糸
11:セールパーム

 


ロープのエンドはボーラインノットなどで輪にするよりも、アイスプライスのほうが強度が増すし、なんといっても仕上がりが美しい。
「スプライスができると自宅でもいろいろ楽しめますよ。ドアストッパーのロープを余った外皮でスプライスしたり(下写真)。ね、潮っ気が増すでしょう?(笑)」
実際、伊藝さんのご自宅には、ありとあらゆるところにヨット用ロープが使われていた。 この技術をマスターして、ここぞとばかりに自宅に潮っ気を持ち込んでください!

(文=Kazi編集部/中村剛司 写真=舵社/山岸重彦)

※本記事は月刊『Kazi』2020年7月号にも掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ

 

監修/伊藝徳雄(いげい・のりお) さん
アメリカズカップ2000年大会日本代表クルー(バウマン)。TP52をはじめ世界のレースシーンで活躍。そこで培ったロープワーク技術には定評がある。有限会社「伊藝」代表。
https://igei.net/

 

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