【水路を航く】#13/岡山県牛窓・唐琴の瀬戸①

2021.12.16

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。

第13回は、『ボート倶楽部』2020年10月号に掲載された、岡山県牛窓・唐琴の瀬戸①を取り上げる。

※本記事の取材は2020年7月に実施しました。

 


今も語り継がれる牛鬼伝説

岡山県の南東部に位置する牛窓町。温暖な気候と島々が織り成す美しい景色から、「日本のエーゲ海」とも呼ばれている。唐琴の瀬戸を挟んで牛窓の対岸にある前島へは、定期船のフェリーでたった5分。通称 緑島と呼ばれている前島のほか、黒島や黄島、青島、鼠島など、牛窓周辺には五つの色の名前がついた島がある。

牛窓には神功皇后が倒した牛鬼の体が、胴体は前島(緑島)、頭は黄島、尾は青島になったという牛鬼伝説が昔より言い伝えられている。ガイドの話を聞きながら実際に島々を見て回ると、前島の近くに黄島や、細長い青島があり、海の上で牛鬼伝説に思いをはせることができる。

 

(トップ画像説明)
穏やかな日が多い瀬戸内海だが、撮影日は太陽が海に映り込むくらい波、風ともにまったくなかった。牛窓と前島の間を20ノットで航行中に撮影

 

前島(緑島)
フネが頻繁に行き交う唐琴の瀬戸。前島は周囲11キロの有人島だが、飲み物の自動販売機があるだけで、島内に商店は一軒もない

 

青島
島を覆う笹の色が名前の由来となっている。現在は関西学院大学所有の無人島。細長い形から、牛鬼の尾が島になったといわれている

 

鼠島
周囲300メートルほどの小さな無人島。こんもりと盛り上がった島のシルエットが、たしかにネズミのように見える・・・?

 

黄島
北側に港があるが、民間団体の所有の島なので一般的には立ち入り不可。写真の備前黄島灯台は島の南側にある

 

黒島
以前は人が暮らしていたこともあるが、現在は無人。島の北側に一時係留できる浮桟橋があり、上陸しやすい

 

左から黒島、中ノ小島、端ノ小島。「黒島のヴィーナスロード」と名づけられた干潮時にだけ現れる砂州が、一本の道となりそれぞれの島がつながる

 

唐琴の瀬戸を渡り、牛窓と前島を結ぶ定期船、前島フェリー。6時から21時まで1時間に1~2往復している。大人の往復運賃は240円。片道5分間の船旅だが、フェリーの高いデッキ上から、唐琴の瀬戸や瀬戸内海の島々を見ることができる

 

自転車でやってきた地元の人が、港でのんびりと釣りイトを垂らしていた。時間がゆっくりと流れているのを感じる

 

牛窓町のフェリー乗り場の夕日は、日本の夕陽百選に選ばれたほど美しい景色。太陽が沈んだあともピンク色の残照が空と海を染めた

 

ホテル リマーニは、五つの色の島のすぐ近くにある豪華な宿泊施設。うしまど海の駅」として登録されてもいるので、予約すれば海からチェックインすることも可能だ
■ホテル リマーニ
TEL:0869-34-5500

 

(文・写真=舵社/山岸重彦)

 

※本記事は、『BoatCLUB』2020年10月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。

 


あわせて読みたい!

●ふるさと納税でゲット!|SeaDekマット付きクーラーボックス

●集まれ!瀬戸内国際ヨットラリー、参加艇を募集中

●【水路を航く】#12/千葉県、茨城県 横利根川

 


クルージング

クルージング の記事をもっと読む