日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第12回は、『ボート倶楽部』2021年8月号に掲載された、千葉県、茨城県・横利根川を取り上げる。
※本記事の取材は2021年5月に実施しました。
大正ロマンあふれる
レンガ造りの閘門(こうもん)
利根川と常陸利根川を結ぶ全長7キロの横利根川は、毎年、ヘラブナ(ゲンゴロウブナ)が放流される、釣り人に人気のエリア。釣り台に座ったヘラブナ釣りの人がずらりと並ぶ様子は、このあたりでは見慣れた光景だ。横利根川の北の入り口は、常陸利根川との合流点である新横利根閘門、南の入り口は利根川との合流地点である横利根閘門と、二つの異なるタイプの閘門で区切られている。特に大正時代に造られ、今も現役で稼働している美しいレンガ造りの横利根閘門は、一見の価値がある。
全長7キロと短い横利根川だが、通航には時間がかかる。というのも、ヘラブナ天国とも呼ばれるほど釣り人に人気の場所ゆえ、デッドスローでの航行が必須となるからだ。また、霞ヶ浦水系ということもあり、周辺の川を含めて、バスボートや陸っぱりでバスフィッシングに興じる人の姿も数多く見られる。
横利根川は二つの閘門で区切られており、北の新横利根閘門は門扉が上下に開き、南の横利根閘門は横に開く。二つの異なるタイプの閘門だが、両方とも開閉作業を自分で行う必要があり、水路巡りの醍醐味が味わえる。短い距離だが、ゆっくりと航行することで、周囲の景色を楽しみながら進める水路だ。
(トップ画像説明)
横利根閘門の閘室。大正10年(1921年)に完成し現在も稼働中。国の重要文化財に指定されている。大型の船外機を付けたバスボートが利根川から入って、横利根川へと向かっていった
横利根川から横利根閘門の閘室へ進入していくところ
内側に小さい扉、外側に大きな扉の構造になっている。横利根川が千葉と茨城の県境になっているが、横利根閘門の所在地は茨城県稲敷市
利根川側の門の上の様子。ここから横利根閘門の全景を見ることができる。門の開閉時に、鎖で動く閘門の構造がわかる
横利根川の北側、常陸利根川との合流地点にある新横利根閘門。奥に見えているのが、横利根川だ。閘室の中央付近にあるロープを操作することで、門の開閉が可能。非常停止のロープもあるので、間違って引かないように注意しよう
閘門の開閉作業は自分で行う。通航したあとは、次の人のために門を閉めておく必要がある
横利根閘門ふれあい公園近くの岸際にずらりと並んだヘラブナ釣りの人たち。水面に張り出した自作の台の上に座ってサオを出し、水面のウキを集中したまなざしで見つめていた
岸からだけでなく、小型のフネに乗り、川の中央に浮かんで釣りを楽しむ人も
(文・写真=舵社/山岸重彦)
※本記事は、『BoatCLUB』2021年8月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。
あわせて読みたい!
●矢部洋一が彩るカレンダー『Under Sail 2022』
●11/5発売、月刊『BoatCLUB』12月号/恋する♡手前船頭