【水路を航く】#16/東京都・大横川

2022.03.17

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。

第16回は、『ボート倶楽部』2021年4月号に掲載された、東京都・大横川を取り上げる。
※本記事の取材は2020年3月に実施しました。


 

川面に張り出す満開の桜

冬が終わり、暖かくなる春を祝うかのように咲く花の姿を、待ち望んでいる人も多い。東京都の墨田区と江東区を流れる大横川も、そんな人たちを満足させる場所。川面に張り出す満開の桜が、絶景をつくり出す。

人口が密集している東京の街中には、巨大なビル群や住宅地を縫うように狭い川が幾重にも流れている。周囲が護岸で囲まれている穏やかな水面は、観光船やカヤックなどで楽しむにはうってつけだ。川沿いには気持ちよく散策できる遊歩道や親水公園などがあり、地域住民の憩いの場所としても活用されている。

墨田区と江東区を流れる大横川は、都内の隠れた花見の名所。何種類もの桜が植樹され、節分を過ぎたころには早咲きの河津桜が開花し、本格的に春の訪れを感じるころには染井吉野(ソメイヨシノ)が満開になる。なかでも下町風情の残る門前仲町付近では、川面を覆いつくすほどに咲き誇る桜の花がつくる淡いピンク色の絶景が人々を魅了する。

 

(トップ画像説明)
隅田川から少し入った越中島橋から撮影。川沿いの桜が、水面近くまで枝を伸ばす。この時季、曳き波を立てない速度で、花見目的の多くのフネが航行している(2020 年3月26日撮影) 

 

大横川と同じく隅田川につながっている亀島川。同じ日でも、少し場所が違うと桜の咲き具合が微妙に異なるため、一度ならず何度でも花見クルージングに出かけたくなる

 

創刊以来、本誌表紙イラストを担当している高橋唯美(Tadami)さん。自宅近くの係留施設においているマイボート〈Goby〉(ボストンホエラー17アウトレージ)で、毎年、花見クルーズを楽しんでいる

 

大横川沿いの門前仲町にある富岡八幡宮。江戸時代には100 年にわたり境内で勧進相撲が取られていたという。境内にある歴代横綱の名が彫られた巨大な横綱力士碑は、高さ3.5メートル、幅3メートル、重さは20トンと、その名に負けない大きさだ

 

フネに乗ったままハンバーガーのテイクアウトができる潮見スキッパーズ。カゴのついたロープで商品や代金の受け渡しをする。人気のオリジナルハンバーガーだけでなく、イスラエル産の珍しいワインなども取りそろえている
■ 潮見スキッパーズ
https://www.skippers-shiomi.com/

 

門前仲町駅を降りてすぐにある石島橋からは、大横川沿いに咲く桜がきれいに見える。道行く人たちが足を止めてこの景色を写真に収めていた

 

小名木川の中間あたり、大横川につながる場所にある扇橋閘門(おうぎばしこうもん)。水位差を調節し船舶の航行を可能にしている

 

人工的に造られた大横川は、江戸時代より内陸水運の運河として活用されてきた。穏やかな水面がまっすぐに続いている

 

(文・写真=舵社/山岸重彦)

 

※本記事は、『BoatCLUB』2021年4月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。

 


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