川の町、広島 ~水上からの眺めと平和への祈り

2025.09.20

【水路を航く】#57/六つの川が流れる町 ~広島県広島市 元安川、本川

昭和20年(1945年)8月6日に原子爆弾が落とされた広島の町には現在でも、戦争の理不尽さ、悲惨さを物語る遺跡や慰霊碑、資料館などが数多く残っている。
普段の生活の中で、戦争を生々しく実感することはとても少なくなってきた昨今だが、この地を訪れそれらを目の当たりにするとやはり、それは絵空事ではなく、この国で実際に起こった出来事であるとあらためて認識させられる。

そんな広島市は、六つの川が流れ、数多くの橋が架かる、“川の町”“橋の町”としての顔も持っている。
そこで、平和記念公園の横を流れる元安川を航く遊覧船へ乗船し、川の上から町を眺めてみた。
川沿いに整備された遊歩道は、国内のみならず諸外国からも多くの人たちが訪れ、思い思いに自分たちの時間を楽しむ。
なにげない、しかし、だからこそ、平和の尊さを実感する風景がそこにはあった。

 

(トップ画像説明)
原爆ドーム前、元安川を黄色い遊覧船が航行していく。撮影したのは2023年夏。左奥のクレーンは当時建設中だったサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」。右側のビルは、市街が一望できるおりづるタワー。平和記念公園側から撮影

 

◆日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。

◆第57回は、月刊『BoatCLUB』2023年10月号に掲載された、広島市を流れる元安川と本川の風景をお届けする。
(※本記事の取材は2023年の7月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください)

 



うしろに見える三角屋根の建物は、浄土真宗本願寺派寺院の本願寺広島別院の本堂。江戸時代、当時の藩主・福島正則が現在の地に移転させ、寺町としたという

 



遊覧船の船長はリバーシークルーズの社長、水野舞実 さん。自ら操船し、軽快な話術で川から見える景 色を案内する。同社ではウオーターサイクル SuiSuiでの水上散歩コースも提供している
ひろしまリバークルーズ TEL:082-258-3188

 


元安橋東詰めにある桟橋が遊覧船の発着場所。広島駅前の川の駅へ行くコース、元安川と本川 の遊覧コース、広島港まで行くぐるり一周60分のコースなどがある。
元安川や本川をプレジャーボートで航行することは可能だが、喫水が浅いのであれこれ心配しながら航くよりも、操船はプロに委ね、遊覧船で水上からの眺めを楽しむのがおすすめだ

 


遊覧船乗り場の横にはカフェが。しぼりたてのオレン ジジュースや広島レモンを使ったシャーベットがテイクアウトできるほか、テラスで食事も可能
カフェポンテ TEL:082-247-7471

 



世界遺産に登録されている厳島神社のある宮島まで行く定期船。元安橋の乗り場から発着している。低い橋をくぐるため、高さの低いフネが使用されている

 



元安橋のたもとにあるレストハウス。1階は土産物店と観光案内所、2 階はカフェスペースがあり、被爆したピアノも展示されている。被爆時に近い状態で残る地下室は展示スペースとなっており、原爆の威力を垣間見ることができる
広島市平和記念公園レストハウス TEL:082-247-6738

 

(文・写真=舵社/山岸重彦) 

 



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