日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第2回は、『ボート倶楽部』2019年3月号に掲載された、東京都・日本橋川を取り上げる。
※本記事の取材は2018年12月に実施しました。
日本国道路元標がある日本の道路の始まりの場所、東京・日本橋には、ボートで行くこともできる。日本橋から江戸橋にかけて、日本橋川の上には、首都高速道路が覆いかぶさるように走る。ボートでめぐる東京のど真ん中は、巨大人工物に囲まれ、ほかに類を見ない独特の世界だった。
東京都心の密集地帯では、川の上も重要な空きスペースとなる。川に橋脚を立て、限られたスペースを有効活用して首都高速道路は走っている。川から見上げると、首都高速がまるで屋根のようになっている。
重厚な石造りの日本橋は、二つのアーチから成り、どちら側もボートで航行できる。慢性的に渋滞している首都高速や、忙しそうに歩いている人たちがいる陸上とは違い、日本橋川の川面には独特の静けさがあった。空の見えないこの景色も不思議な魅力を持っているが、日本橋の上に空が広がる将来も楽しみだ。
アーチ状の日本橋をくぐり抜ける。どちらのアーチも抜けられるが、先の様子がわかりづらいので注意が必要だ
ビルに囲まれた江戸橋ジャンクションの夜の景色。ビルや高速道路の照明、クルマのライトがきれいに輝いていた
夜になっても人の通行が途切れない日本橋。高速道路の下にある照明が、夜の橋の上を照らしていた
映画や小説のタイトルにも使われ有名になった、翼の生えた麒麟(きりん)像。日本橋の中央に4体ある
格子状になっている江戸橋の下をくぐる。オープンボートでも手が届きそうなほど低い
1911年に完成した日本橋。1963年に首都高速が建設されるまでは、空が見えていた
(文・写真=舵社/山岸重彦)
※本記事は、『BoatCLUB』2019年3月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。