【水路を航く】#20/大阪府・道頓堀川

2022.08.13

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。
舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。

第20回は、『ボート倶楽部』2018年8月号に掲載された、大阪府・道頓堀川(どうとんぼりがわ)を取り上げる。
※本記事の取材は2018年5月に実施しました。 


 

コテコテのドハデ看板
大阪・道頓堀川クルーズ

古くから、大阪は「水の都」と呼ばれている。しかし、近代産業の発展とともに川は汚れ、生活に密着したものではなくなった。
そこで2001年から、「水都大阪」の名の下に、都市再生プロジェクトが本格的に始まり、新たに水辺の環境づくりが官民一体で進められている。
ミナミと呼ばれる心斎橋や難波のエリアのど真ん中を流れる道頓堀川も、「水都大阪」計画の一端を担い、遊歩道が整備され、水質改善対策にも取り組んできている。
オープンデッキの観光船に乗って、巨大でドハデな看板が並ぶ、大阪らしい景観を見に出かけた。

 

フネから眺める
大阪グルメタウン

たこ焼き、お好み焼き、串カツなど、大阪グルメの店などが両岸にずらりと並ぶ道頓堀川。ミナミの道頓堀周辺は、ハデさをアピールする大阪らしい場所だ。
戎橋(えびすばし)の上ではグリコの看板をバックに、お決まりの両手を上げたポーズで写真を撮っている人が常にいる。
道頓堀川クルーズのガイドさんは、英語と日本語を織り交ぜ、軽快な語りで道頓堀川の見どころを案内していく。
川沿いを歩く人には、わざと片言にして「コンニチハ」と語りかけ、必ずオチをつけて話し、終始笑いをとっていた。
約20 分の川旅は、ぎゅっと凝縮したコテコテの大阪を感じられるものだった。

 

(タイトル画像説明)ハデさを競い合うように大きな看板がずらりと並ぶ道頓堀の景色は、ある意味大阪らしい。御堂筋にある道頓堀橋から撮影した

 


川沿いの看板に明かりがともると、昼とはまた違った景色になる。さまざまな色の光が映りこんだ水面を、フネはゆっくりとかき分けて進んでいく

 


川の南側には、いろいろな飲食店やドラッグストアなどが並び、昼夜問わずにぎわっている。このあたり一帯が道頓堀と呼ばれている

 


南北に延びるアーケード街の心斎橋筋は、平日の夜にもかかわらず、見える範囲すべてが買い物客であふれかえっていた

 


左:おなじみのグリコポーズをまねる外国人の集団。このポーズはもはや万国共通になっているのだろうか
右:スパイダーマンの全身タイツを着た人が、普通に歩いていた。写真を撮らせてほしいとお願すると、ノリノリでこのポーズに

 

この取材は2018年5月に実施した。当時はインバウンドという言葉がにわかに注目を集め始めたころ。日本人はもちろんだが、海外から多くの観光客が、ここでしか味わうことのできない日本文化を味わっていた。
取材時には想像することもできなかったコロナウイルス禍が世界を襲い、特に海外からの観光客の数は激減した。ここに掲載した写真のようなにぎわいが、再びかえってくることを切に願う。

 

(文・写真=舵社/山岸重彦)

 


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