日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第26回は、『ボート倶楽部』2020年2月号に掲載された広島県尾道の風景をお届けします。
(※本記事の取材は2019年10月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください。)
いくつもの島に架かる大きな橋を渡り、本州の尾道と四国の今治とを結ぶ「しまなみ海道」。
尾道から新尾道大橋を渡って初めの島が向島(むかいしま)、さらに因島(いんのしま)、生口島(いくちじま)、大三島(おおみしま)、伯方島(はかたじま)、大島、そして今治へと続いていく。
向島の西には、御幸瀬戸を挟んで小さな岩子島(いわしじま)があり、向島大橋でつながる。 狭い水路に架かる真紅の鉄橋は地元の人の生活を支え、かつ被写体としても美しい。
尾道周辺には数多くの島があり、フネや橋がつくり出す魅力的な景色が多い。
(トップ画像説明)
向島と岩子島とを隔てる狭い水路、御幸瀬戸を航行するボート。水面は穏やかで、気持ちよく航行できるが、橋のすぐそばには干出岩があり、満潮時に船底をぶつける人も多いという。
海の青と山の緑に真紅の橋がよく映える景観を楽しみつつ、気をつけて航行した。
御幸瀬戸につながる尾道水道。尾道市街と向島を結ぶ自動車専用の新尾道大橋(手前)と歩行者も通行できる尾道大橋(奥)は、“双子の斜張橋”として親しまれている。尾道から四国の今治までつながる「しまなみ海道」の本州側の起点になっている。
尾道水道には、多くの種類のフネが航行している。左奥、尾道と百島を結ぶ旅客船〈ニューびんご〉は1989年就航のベテラン選手。取材後の2021年にその務めを終え、新船へ置き換えられた。
中央の〈第一しまなみ〉は尾道と向島を3分でつなぐ渡船(尾道と向島を結ぶ渡船の中で最古と言われる航路)。ほかにも、近くで漁をする和船などが岸壁に係留されていた。
日曜日の朝6時すぎ、尾道市街から向島へ渡る尾道駅前渡船の乗り場には、自転車を押して乗船する高校生の行列があった。早朝からの部活動に向かう彼らの姿に、フネでつながる島の生活を感じた。
大正5年(1916年)の創業以来100年以上この地で営業を続ける向島のパン店「住田製パン所」。店の前にある真っ赤な看板には、パンを持つ先代がモデルになったイラストが描かれている。右の写真は名物のあんぱんとネジパン
■住田製パン所
広島県尾道市向島町24-1
TEL:0848-44-0628
(文・写真=舵社/山岸重彦)
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