
6月6日(土)から12日(金)まで、沖縄県・国頭(くにがみ)村で開催されるテーザー級世界選手権。38艇という大所帯で参加するオーストラリアから、すてきなレポートが届きました。(トップ画像は昨年開催のプレレガッタの様子)
「日本は世界で一番好きな国」、伝説のセーラーから初出場の夫婦まで
―豪州チームが沖縄・世界選手権に寄せる想い―
今年の6月、かつてないほど多くのテーザー級セーラーたちが、2026年世界選手権に出場するため日本の沖縄に集結します。本大会は、日本開催としては過去最大、世界的に見ても史上最大級の規模となります。5月26日現在、117艇がエントリーしており、そのうちオーストラリアからは38艇が参戦。このクラスが、あらゆる年齢層や経験レベルのセーラーを最高峰の舞台へと引きつける力を持っていることを、改めてその層の厚さと多様性で証明しています。
新たな挑戦:エリンとジェームスの物語
南オーストラリア州のエリン・シムズとジェームス・ベルトン夫妻は、テーザー級での初めての世界選手権に挑みます。約18カ月前、エリンがセーリングを始めたいと夕食の席でジェームスに話したときから、2人の視界にはこの世界選手権が入っていました。
「ジェームスが練習艇としてテーザー級を選んだのは、大人2人が乗るのに適していたからか、それとも2026年の世界選手権の開催予定地(沖縄)が素晴らしかったからか、どちらでしょうね」とエリンは笑います。「セーリングが上達するかどうかにかかわらず、日本に行くことは最初から決めていたんです」。
経験豊富なクルーであり、長年セーリングに親しんできたジェームスは、エリンをスキッパーとして育てる役割を担いました。地元の南オーストラリア・フリートも、テーザー級らしい温かさで新しくフリートに入った2人を歓迎し、励まし、支えてきました。
彼らの飛躍は、ワラルー・セーリングクラブで開催された2025/26年全豪選手権で明らかになりました。最終日には初のトップ10入りを果たし、見習い(新人)マスター部門で総合2位、エリンは女性スキッパーとして全体1位に輝きました。「国内選手権で仲良くなった人たちに再会し、世界中のセーラーと出会えるのが本当に楽しみです。世界選手権のような舞台は初めて。レースの結果がどうあれ、その経験自体が素晴らしいものになるはずです」と彼女は期待を寄せます。

※エレンとジェームスは映っていません
親子で挑む:ホロイド父子の挑戦
テーザー級は誕生以来、親子ペアでセーリングを楽しめるボートとして親しまれてきました。今大会でもその傾向は顕著で、オーストラリア勢の4分の1以上が「20歳以上と20歳未満」のペア(O20/U20部門)で、激戦が予想されます。
2024年にサンドリンガムで開催された世界大会で総合トップ10入りしたジョン・ホロイドは、14歳の息子レオを初の世界選手権に向けて特訓してきました。ビクトリア州の地元フリートの熱気に応えるように、父子は昨シーズンを通して練習に励み、3月のビクトリア州選手権ではヒート優勝(1レースでトップフィニッシュ)を飾り、総合4位となりました。この経験が初の世界選手権への自信につながっています。
最近東京を訪れたばかりのジョンは、親子で沖縄の海と陸の両方でどんな素晴らしい体験ができるか楽しみにしていると言います。「テーザー級のフレンドリーな雰囲気や、経験豊富なセーラーから学べる環境が気に入っています」。ジョンは、ライバルはオーストラリア国内にとどまらないと語ります。「2024年に豪州に来てくれたアメリカ勢の強さを知っているので、彼らと再び競うのが楽しみです。また、日本のチームも軽風では非常に速いので、厳しい戦いになるでしょう」

マークアプローチするホロイド親子
伝説のセーラー:アリスター・マレーの再訪
フリートには新しい顔ぶれもいれば、常にそこにいる「顔」もいます。アリスター・マレー(オーストラリア勲章受章者)もその1人です。1978年からテーザー級に乗っているビクトリア州テーザー協会終身会員の彼にとっても、今回のレガッタは「初めて」尽くしです。沖縄を訪れるのは初めてで、会ったこともない日本人の河野恭子さんとペアを組み、乗ったことのないチャーター艇でレースに挑みます。
「直前のトレーニングはゼロ。これが最近の私のスタイルです」とアリスターは冗談めかして語ります。艇とクルーは新しくても、日本でのセーリングは彼にとって馴染み深いものです。アリスターは、1992年に日本の葉山で初めて開催された世界選手権(デ・ラ・マンチャ・ヨットクラブ主催)で4位に入賞しています。今年の沖縄には、その1992年大会の表彰台に立ったリサ&ジェイ・レネハン夫妻(米)や、5度の世界王者に輝いたジョナサン&リビー・マッキー夫妻(米)も戻ってきます。
「国頭での世界選手権が発表されたナノ秒後には、出場を決めましたよ。日本は世界で一番大好きな国ですから。素晴らしいホストである日本の皆さんと過ごすのが楽しみです」。フリート全体の盛り上がりから分かるように、テーザー級は今もなお、あらゆる経験レベルのセーラーに挑戦と楽しさを提供し続けています。素晴らしい海でのレースと、活気ある交流シーン。その全てが、6月の沖縄で披露されることになります。

アリスター・マレー(スキッパー)

昨年、国頭村で開催されたプレレガッタでは、オランダのセーラーと出場した河野恭子さん(右)
テーザー級発祥の地、オーストラリア勢の厚い選手層と迎え撃つ地元の日本勢、そして世界の強豪が集う「2026年テーザー級世界選手権大会」はまもなく開幕します。
(文=Ryan Moreton[豪州ヴィクトリア州テーザー協会 事務局] 翻訳=西 朝子 写真=Andrew Vukosav)
