諏訪湖湖畔でチルアウト ピクニック&セーリングの作法
長野県の諏訪湖には、レイクピクニックとレイクセーリングを同時に楽しむステキなご夫婦がいるらしい。MTB界で活躍した檀 拓磨さんと、ヨガライフナビゲーターの千早さん。2人が作る、ゆるクルの作法とは?
メインカット | 長野県の諏訪湖ヨットハーバーでピクニックセーリングを楽しむ檀 拓磨さん(中央)と奥さまの千早さん(右端)、檀さんが主宰する少年キャンプ卒業生の伊藤慶二さん(左端)。愛艇のアクタス〈少年キャンプ号〉を湖畔に係留して、ゆるクルを楽しむ
ピクニックの準備をしよう!
湖畔に拠点を決めたら、クルマを回して準備開始。
ヨットを係留したら、近くにテーブルをセット。荷物はクルマで運べばラクラク。こんなところもゆるクルです
基本、火は使わない。自宅で用意した食材を現地で切り分けるだけ。鼻歌を歌いながらフルーツや野菜をカットする檀さん
オレンジを つまみ食い♪
犬のインディーくん、8歳(ミニチュアダックスフンド)
とある週末、たまたま訪れた諏訪湖でアクタスの進水式をしてらっしゃる方がいたので、声をかけてみた。それが檀 拓磨さん。進水式とはいつ見てもいいものである。オーナーさんの夢が初めて水に浮く、特別な日。聞けば檀さんはもともと自転車がご専門で、2年ほど前からヨットを始めその練習用にアクタスを購入したとのこと。艇名は〈少年キャンプ号〉。キャンプもされるんですか? ええ、少し。みたいな会話のあと、今回のゆるクル特集にぴったりかなあなんて気持ちを会社に持ち帰った。
舵社には、スポーツバイク専門誌『バイシクルクラブ』の元編集者、新谷祥子さんがいる。試しに聞いてみた。檀 拓磨さんって、知ってる?
「ダンタクマってあの檀 拓磨さん? めちゃくちゃ有名人だよ。MTB(マウンテンバイク)のチャンピオン! その昔、わたしゃ檀さんの連載担当してたんだ。失礼なことしてないだろうね?」(一部脚色あり)と捲し立てられた。やべえ。緊張してきた。檀さんは現在、「少年キャンプ」という子どもを対象とした野外活動プログラムを主宰する、キャンプを含めた山遊びのプロでもあった。
「ゆるクルですか! いい企画ですね。そういうアプローチ、あったほうがいいと思っていたんですよ」と檀さんから取材快諾のお返事。あらためてMTBの勉強をし、諏訪湖を再度訪れた。
檀さんが「キャプテン」と慕う、芝 幸秀さん(左端)。アクタス納品&進水式の一葉です
アクタスのメインセールセットを終えて笑顔の檀さん
「ヨットと出合ったのは2年前。岡山県の牛窓、ホテルリマーニに滞在中、桟橋にきれいな紺色のハルのヨットが留まっているのが見えた。乗ってみたいなあと相談したら、チャーターできるという。それが〈スリースター〉(ギブシー マスター52)で、キャプテン(芝 幸秀さん)との出会いでもありましたね」
檀さんは芝さんをキャプテンと慕い、ヨットを教えてもらいながら、さまざまなオーナーを紹介してもらい、月1回のペースで瀬戸内海クルーズを楽しんだ。
「ちょっとカルチャーショックだったんですが、セーラーの皆さんはあまり飲食に関心がない人が多かったんです。ギャレーはカップ麺と焼酎くらいで、食事はぱっと済ませてセーリングに集中。MTBのレースで海外転戦していたころ、ヨーロッパで見たヨット文化と少し違うなと。そこで、クルーザーをチャーターして私が理想とするセーリングライフを実践してみました」
檀さん流のゆるクル料理!
ひと手間加えたアイデアにあふれた料理を紹介。
エビとソーセージのホットドッグ
きれいに飾られた食用花も、檀さんの自宅で採れたものです! ビールとワイン、シャンパンも準備万端です
国産小麦はるゆたかを使用し、自宅のガスオーブンで焼いたパン!
サニーレタスとフルーツのサラダ
ここにも食用花をふんだんに。レモンをしぼって爽快感倍増!
point
レモンを手でゴロゴロつぶしてから切ると、ジューシー度アップ!
キャベツのコールスロー
庭で採れたフェンネルと干しブドウを忍ばせた名品♪
インディーくんも待ちきれない!
みんなでガブリ! 千早さん(右端)が一番豪快!
セーリングの練習用にと少し前に購入したアクタス。諏訪湖ヨットハーバーに保管し、レイクセーリングを堪能中
檀さんはビール派、千早さんは赤ワインで乾杯。千早さんはこの日アクタスと初対面。「ロゴを撮りたいから、もう一回セール揚げて~!」(千早さん)。かしこまりました(笑)
檀さんが演出する「ゆるクル」スタイル
檀さんは、ライフスタイルの提案が本業でもある。ビールは缶から飲むのではなくコップに。シャンパンやワインも用意して、船上で作れる簡単な料理を用意する。もちろん、会話が弾むカトラリーや皿とともに。
「例えば、ただのホットドッグだとしても、最後にきれいな花をふわっと振りかける。この花、うちの庭で栽培してる食べられる花なんだよ、なんて説明しながら。この“ひと手間”のアイデアが場を盛り上げるし、ゲストに大切な思い出を持ち帰ってもらうことになるんです」
諏訪湖畔でピクニックをセッティングしてくれた檀さんご夫妻は、実に軽やかに、そして手品のように、一切の火を使うこともなく、さささ~っとまるで映画のワンシーンみたいな宴を用意してくださった。
「私は山は散々やったから、今度は海や湖がいいなと思って。ボートよりは断然ヨット。静かだし奥が深い。ヨットって、食事を含めたライフスタイルです。遠くにも行けるし」
山を愛しキャンプを愛した檀さん。これからは、水を相手に新たなアイデアをアウトプットしていく。それは海の少年キャンプ。
「まずはアクタスで操船をきちんと身につけて、いつかはクルーザーに少年キャンプの旗を翻して、瀬戸内海を子どもたちと走りたい。海賊みたいに(笑)。あ、あいつらまた来たな! なんて言われながら(笑)」
顔をくしゃくしゃにして話してくれた檀さん。その笑顔は、まさに少年そのものの夢と希望に満ちたものだった。
THE 3719&檀さん宅を拝見♪
檀さんの遊びの原点ともいえるTHE 3719の施設を紹介します
起伏に富んだ芝生の先に白亜のメインハウス。広大なウッドデッキは東南アジアのアイアンウッドを使用
巨大な「凱旋門」が出現! 2階はヨガスペースに
メッセージが刻まれたペンタゴンプレート
なんとサウナも建築! 思索の場所でもあるのだ
裏庭に造成したMTBコース
ガレージには、MTBやトレーニングマシンが!
八ヶ岳がドーン!「この景色を買いました」と檀さん
アイアンウッドのウッドデッキにクッションを敷いてクールダウン。ゆるクルの理想についてたくさんの話をうかがいました♪
少年キャンプの取り組み!
信州の大自然のなかで開催されるステキなキャンプ。口コミだけで埋まってしまい、一般公募はしていない。MTBはもちろん、毎回さまざまな講師を招き、大自然のなかでワークショップを行っている。今年で24年目となる檀さんの取り組みのひとつ。「未来の総理大臣を創出すること、日本のリーダーを作ることが目標です!」と檀さん。
小1から中3まで、毎回10人ほどの子どもたちが参加
夏のキャンプはTHE 3719でキャンプファイヤー!
愛猫のトラジロウ
「ゆるキャン△ クルージング=“ゆるクル” 作る隊、結成!」
「ゆるキャン△ クルージング=“ゆるクル” 俯瞰図を見る!」もご覧ください
(文=中村剛司/Kazi編集部 写真=山岸重彦/舵社)
※本記事は月刊『Kazi』2023年9月号に掲載されたものです。バックナンバーおよび電子版をぜひ
檀 拓磨さん Takuma Dan
檀 千早さん Chihaya Dan
MTB(マウンテンバイク)世界選手権日本代表(1990~1997年)、世界5カ国でチャンピオン獲得など、輝かしい成績を収めた世界的なMTBライダー。長野県茅野市に移住しTHE 3719をオープン。2000年から少年キャンプの活動を開始。千早さんは拓磨さんを支えつつ、ヨガライフナビゲーターとしても活動中。
ゆるクル紹介動画はコチラ
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