東京五輪後では初となる470級のビッグレガッタ、「ピアソン全日本470級ヨット選手権大会2021」は23日(火・祝)が大会最終日となった。パリ五輪を目指す男女混合ペアも含め、社会人、学生たちが85艇集い、その腕を競った。22日までのトップはオリンピアン同士の新チーム、岡田奎樹/吉岡美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセセーリングチーム)。2位以下との点差は少なかった上に、メダルレースは2レース実施するため、他チームに逆転のチャンスが十分ある状況だった。
11:05、軽風の中で第1メダルレースがスタート。1上マークを岡田/吉岡、小泉颯作/松尾虎太郎(トヨタ自動車東日本/山口県セーリング連盟)、田中美紗樹/永松瀬羅(豊田自動織機)、河合龍太郎/中澤太郎(ほけんサポート企画/三井住友海上火災保険)の順に回航。さらに風が落ち、運営はコース短縮を行った。粘り強く順位を上げてトップに立った河合/中澤だったが、2上マークに到達した時点でN旗が掲揚され、残念がっていた。
一度ハーバーバックし、12:50に再び出艇。13:30過ぎにやっと入り始めた南風を使い、13:50予告、13:55でメダルレーススタート。やや東に風が振れ、ポートロングとなった。
上位陣の岡田/吉岡、吉田 愛/木村直矢(ベネッセセーリングチーム/HIKオフィス)、市野直毅/福田桃奈(JFE商事/立教大学)、高山大智/盛田冬華(ヤマハセーリングチーム'レヴズ')がタッキングマッチをしている間に、河合/中澤が先行して上マークへ。吉田/木村、岡田/吉岡、市野/福田、小柳倫太郎/久保田賢人(日本大学)、高山/盛田と続く。
1上マークまで、熾烈なタッキングマッチを繰り広げる上位艇
1上マーク回航後、先行艇がブローをつかみにいく間に、高山/盛田はさらに風が自艇の前に回ると予想して角度を落とし、3位へジャンプアップ。しかし想定より風が振れず、また順位を下げてしまった。
タイムリミットの30分が迫る中、河合/中澤がギリギリでトップフィニッシュ。岡田/吉岡、田中美紗樹/永松瀬羅(豊田自動織機)、小泉/松尾と後続艇もフィニッシュ。総合3位を守りたかった高山/盛田だが、市野/福田に先行を許して42点の同点に。タイの解消はメダルレースで先行した艇を上位とするため、市野/福田が総合3位に。しかし帰着後、市野/福田は感染症対策の健康チェックが未登録だったため、STP(プラス1点)と記録されタイが解除されるという結末に。 岡田/吉岡が今大会のチャンピオンに、準優勝は小泉/松尾、3位が高山/盛田となった。
「優勝できて、最低限のラインはクリアできた」と岡田奎樹/吉岡美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセセーリングチーム)
昨年は別々のペアで出場していた、小泉颯作/松尾虎太郎(トヨタ自動車東日本/山口県セーリング連盟)。総合2位
総合3位の高山大智/盛田冬華(ヤマハセーリングチーム'レヴズ')。パリ五輪を目指す男女混合チームとしては、最も長い時間練習を積んでいる
トップでフィニッシュライン通過後、ハイタッチする河合龍太郎/中澤太郎(ほけんサポート企画/三井住友海上火災保険)。総合7位
中学2年生スキッパー&リオ五輪代表クルーという異色ペアの宮前佳月/今村公彦(福岡セーリングクラブ)。今大会に向けては2カ月ほどしっかり乗り込んだという。今村は福岡でジュニアやユースの指導をしており、「今村さんは憧れのセーラーです」と宮前。「ゴールドフリート入りを目標にしていた中で、思いのほか成績がついてきて満足しています」と今村。総合10位
岡田は通算4度目(2017年、2018年、2020年)、吉岡は通算3度目(2013年、2019年)のタイトルとなる。最終成績は下記の通り。
■最終成績(参加85艇)
1位 24点 岡田奎樹/吉岡美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセセーリングチーム)
2位 33点 小泉颯作/松尾虎太郎(トヨタ自動車東日本/山口県セーリング連盟)
3位 42点 高山大智/盛田冬華(ヤマハセーリングチーム'レヴズ')
4位 43点 市野直毅/福田桃奈(JFE商事/立教大学)
5位 48点 吉田 愛/木村直矢(ベネッセセーリングチーム/HIKオフィス)
6位 61点 田中美紗樹/永松瀬羅(豊田自動織機)
7位 63点 河合龍太郎/中澤太郎(ほけんサポート企画/三井住友海上火災保険)
8位 110点 小西健治/有田功樹(中央大学)
9位 114点 小柳倫太郎/久保田賢人(日本大学)
10位 117点 宮前佳月/今村公彦(福岡セーリングクラブ)
ピアソン全日本470級ヨット選手権大会2021
●公式サイト
●最終成績
(文・写真=Kazi編集部/森口史奈 トップ写真=舵社/宮崎克彦)
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