全日本470級選手権|トップ10&女子1位のコメント

2024.09.03

「ピアソンマリン 全日本470級ヨット選手権大会2024」、最終日(8月25日)のメダルレースを戦ったトップ10および、女子1位のチームの写真をコメントをお届けします。成績とその他の写真はこちらからどうぞ。

 

1位 19点 岡田奎樹/吉岡美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセホールディングス)
11-1-1-1-1-1-1-3-1-1-1-1-6(MR3位)

フランスから帰国し、首相表敬訪問や帰国会見などの予定を終えた翌週という、忙しいスケジュールでの出場になったパリ五輪銀メダリスト。スタートで失敗した第8レースはさすがに「本気を出さないと」と思ったそうで、「自分たちも、シングルに上がっても8位か9位かと思っていたので、あそこまで(3位)上がるとは」と吉岡。「五輪後の大会なので、とにかく楽しむことを一番に考えた」と岡田。12レース中10回が1位。

 

2位 36点 吉田 愛/吉田 雄悟(ピアソンマリンジャパン)
2-1-2-2-2-2-2-1-3-3-2-RET-14(MR7位)

「今年春の選考レースに比べて、自分たちは1分間に3~4艇身しか(他艇に対して)リードできていないなと。同じフネに乗っていても自分たちが走れていないことは分かっていたので、こういう結果になるのは当たり前。体重も2人で5kg以上落としているので、強風でダメでしたね」と雄悟。決勝の最終レース(第12レース)でスピンポールが折れ、順位に変動がないと分かっていたためリタイアした吉田夫妻。「押し出したらポキって、真ん中から真っ二つ。僕のパワーにポールが耐えられなかったんです(笑)」と雄悟が言うと、「もう何本目? そう簡単に折れるものじゃないんだけど」と愛は苦笑い。息ぴったりのベテランペアは、若い世代の突き上げを期待している。

 

3位 67点 外薗潤平/磯崎哲也(才全会)
1-10-4-4-4-8-8-4-7-8-10-7-2(MR1位)

高校時代はFJ級スキッパーで、その後はクルーひと筋の外薗が、クルーもスキッパーも一流の磯崎と組んで出場。メダルレースは本部船側からスタートし、右に伸ばすと1上マークから1位で回航。リードを維持して、トップフィニッシュし、総合7位から逆転の銅メダル獲得となり、「気持ち的には優勝!」だそう。予想外の強風レガッタに心が折れそうになったという外薗は、「磯崎様々っす!いやあ~、スキッパーってすごいわ。これまでもスキッパーのことはもちろん尊敬していましたけど、これからはもっと尊敬します」と感謝を示した。「いや、すぐ『メインもっと引け!』って言うと思う(笑)」とすかさず磯崎。

 

4位 67点 大石駿水/福田桃奈(滋賀県セーリング連盟)
7-4-8-1-1-1-29-14-9-5-7-6-4(MR2位)

外薗/磯崎とタイで惜しくも総合4位となった大石/福田。ミックスの成績は3位。来年の滋賀県で開催される国スポ(今年、国体から名称を変更)の強化指定選手として、現在は滋賀県を拠点に活動している(国スポはそれぞれ成年男子470級と成年女子SS級で出場予定)。「総合3位以内(メダル)が目標だったので、同点4位で悔しいです。3日目に大きく崩してしまって、その原因はレース展開でミスしたのと、セッティングもうまくフィットできなかったことで、ダメダメでした」と大石。福田は176cmという高身長を武器に、2人でロス五輪男女混合470級での出場を目指す。

 

5位 71点 小泉凱皇/松尾虎太郎(鳥取県セーリング連盟/テレビ新広島)
1-12-18-5-3-7-3-5-2-37-3-2-10(MR5位)

ジュニア時代から山口県立光高校と早稲田大学まで、ずっと先輩後輩の関係で仲の良い小泉/松尾。小泉からの誘いで今回のペアが実現。小泉の活動拠点は鳥取県で、高校生を指導しながら時間を見つけて自身も練習に励んでいるそう。「チャンスがいっぱいあったんですけど、風の読み違いだったり、ダウンウインドでうまく波に乗れなかったりで、点を取りこぼしてしまいました。メダルレースは厳しい戦いになると分かっていて、それ以前のシリーズでの取りこぼしがなければ、3位には入れる点差でいられたんじゃないかと思います」と小泉は悔しさをにじませた。「国体以来でほぼ1年ぶりに乗りました。楽しく乗れたらいいなと思って出たんですけど、強風で体重が効いて、良い走りができました」と松尾。

 

6位 73点 安永昂生/松山大祐(早稲田大学)
3-8-6-7-7-4-4-7-4-7-4-4-16(MR8位)

9月のインカレ個人戦も同じペアで出るという安永/松山。「学生1位は死守しないといけないと思いました。予選シリーズと決勝シリーズで、いいスタートとシンプルなコース取りができていたのに、メダルレースでそれを出しきれなかったことが悔しいです。(3位を示す赤いビブスを着てのレースは)周りから潰されるんじゃないかっていうソワソワした感じがあって、いつも通りのルーティンができませんでした」と松山。「レガッタを通して強風で、自分たちは強風のスピードはいいので、加えてスタートも調子がよくて、フリートに対して有利に展開できました。シンプルなレース展開ができた結果、3位でメダルレースに臨めたんですけど、最後の最後で焦りが出たことが悔やまれます」と安永。

 

7位 76点 石川和歩/田中丸 武(所属なし)
17-8-19-3-5-3-6-2-11-2-6-5-8(MR4位)

早稲田大学ヨット部OBで、現在は所属がなく、ピアソンマリンジャパンからレース艇をチャーターして出場した石川/田中丸。田中丸は9月末の国スポに岡田奎樹のクルーとして出場する予定で、その練習も兼ねて今大会に石川と出場することになったそう。「田中丸と乗ったのが1年ぶりくらいで、練習も全然してなくて、去年の成績(6位)を越えられればいいかなという気持ちでした。思ったよりスタートがうまくいかなくて、そこから追い上げる展開で、ボートスピードが非常に良かったのでここまで残れました」(石川)、「奎樹さんたちに最後抜かれて4位になっちゃいました。さっき『マークまでの距離を離した状態でジャイビングしておけば』って話をされました」(田中丸)。

 

8位 77点 田仲恵都/今村公彦(日本経済大学/鹿児島県セーリング連盟)
24-2-12-7-6-2-5-8-6-9-5-3-12(MR6位)

日本経済大学ヨット部2年の田仲恵都(あやと)と、その監督という師弟ペア。田仲がインカレ個人戦に出られないため、11月の団体戦を見据えて、全日本選手権を経験させるための組み合わせだという。「公彦さんはコースにすごく自信があるので、自分はただひたすらスピードを出すことに集中できました。公彦さんを信じて走りました」と田仲。一方、今村はメダルレースで大石/福田を抑えに行かなかったことを悔やんでいた。「2上で抑えるポイントがあったんですけど、そこで風を取りに行ってしまって、結果、負けてしまいました」と今村。

 

9位 84点 池田海人/伊藤綾香(日本大学/立教大学)
4-6-1-2-2-6-10-6-16-6-11-10-20(MR10位)

ミックス4位、学生2位の池田/伊藤は、JSAFのホープ育成プログラムの合宿で主に練習を重ねている。「80%くらいの力を出せたので3位を狙える位置に最後までいられたんですけど、細かいコース取りやスタートなどでトップの選手(岡田/吉岡、吉田/吉田)に置いていかれる現状を感じました。愛さんたちと学生トップの間くらいの実力を付けないと、ジュニアワールドも勝てないと思うので、しっかり練習します」と池田。「2人で乗り初めて1年弱で、コンビネーションがまだ突き詰められていないので、ひたすら練習するしかありません」と伊藤。このペアでロス五輪を目指す。

 

10位 110点 本多佑基/狩野弁慶(平成医会)
5-6-4-3-4-7-16-18-44-10-8-11-18(MR9位)

日本大学ヨット部のOBペア。学生時代から同じペアで乗っており、インカレ団体戦の470級優勝など大活躍。「狩野とは同じ大学で活動しており、職場も一緒で寝食以外を共にしているビジネスパートナーみたいなものです。今回の目標はメダルレースに残ることだったので、それを達成できたことは良かったです。ダウンウインドとボートスピードに課題があり、苦しい展開になることが多かったのでそこを修正して、来年こそはメダルレースをメダル圏内で戦うことができるよう、これからも頑張っていきます」と本多。「今大会はボートスピードが上手く出せず、苦しい展開になることが多かったです。正直、もう1段階ボートスピードを上げていかないとメダル争いには今後も入れないと思います。社会人の限られた時間の中でしっかり練習していきたいです。目標にしていたメダルレースに出場できたので、そこは素直にうれしかったです」と狩野。

※レース後、すみやかに葉山港に戻ったため、後日コメントをいただきました。

 

女子1位(総合16位) 中山由菜/関 友里恵(SSMセーリングチーム/YSセーリングチーム)
8-11-5-6-17-17-RET-13-20-31-12-20

女子1位は、総合16位の中山/関。関は第一線を退いたが、中山の男子クルーが活動をやめたため、急遽組んで出場することに。「スタートが決めきれない分、その後の展開も苦しくなって上位と絡めませんでした。メダルレースに残ることを目標にしていたので、悔しいです」と関。「友里恵さんに乗ってもらって、メダルレースには残らないといけないと思って臨みました。もっと攻められる部分(スタート、コース)もあって、自分たちの風にするというか、そういうふうに持っていけませんでした」と中山。女子1位ではあるが、総合16位という結果には満足していない2人だった。

 

(文・写真=森口史奈/Kazi編集部)

 


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