20年ぶりの快挙! 男女混合470級の岡田/吉岡が銀メダルに輝く|パリ五輪

2024.08.09

日本時間の8月8日18:43、20年ぶりの五輪メダルが掛かった、男女混合470級メダルレースのスタートのホーンが鳴る。日本中のセーリングファンの期待を背負った岡田奎樹/吉岡美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセホールディングス)は、ピンエンドからスタートした。

 


メダルレースのスタート。右端が日本の岡田奎樹/吉岡美帆(トヨタ自動車東日本/ベネッセホールディングス)

 

パリ五輪セーリング競技12日目、メダルレースの海面の風は7kt。暫定3位で臨んだ男女混合470級の岡田/吉岡にとって、得意の軽風域である。スタート後、暫定2位から逆転を狙うスペインは、暫定1位のオーストリアと右海面へ。両チームが下位に沈むなか、左に伸ばした岡田/吉岡は、金メダルを狙える位置でアップウインドレグを展開。

 

1上をフランスに続いて2位で回航し、後方のオーストリアとスペインに寄せてダウンウインドを走る。岡田/吉岡は下ゲートマークの左を選択して右海面へ、スペインとオーストリアは右のゲートマークを選択し、それぞれ9位、10位で左海面に伸ばした。この時点で岡田/吉岡は1位であった。

 


メダルレースのアップウインドレグ

 

しかしわずかなヘッダーでオーストリアが5位まで順位を上げ、総合1位はオーストリアに。2上を3位で回った岡田/吉岡。4位でスウェーデンが続き、オーストリアとスペインはレイライン上のスターボードタックの艇を避けるために再び順位を下げた。

 

最後のダウンウインドで3位を守りきった岡田/吉岡が、フランス、ポルトガルに続いてフィニッシュラインを通過。総合2位に順位を上げ、銀メダルを獲得。悲願の五輪メダルを決めた岡田選手は、全身でその喜びを爆発させた。

 


フィニッシュライン通過直後の吉岡選手と岡田選手。吉岡選手は3回目、岡田選手は2回目の五輪でメダル獲得を決め、雪辱を果たした

 

日本のセーリング競技界にとって、2004年アテネ五輪以来のメダル獲得だ。このときのメダリストは男子470級の関 一人/轟 賢二郎(関東自動車工業、現 トヨタ自動車東日本)。関さんは現在、トヨタ自動車東日本セーリングチームの監督を務めており、早稲田大学卒業後の岡田選手を同チームに引き入れ、指導してきた。

 

また、1996年アトランタ五輪の女子470級では、重 由美子/木下アリーシアが銀メダルを獲得した。岡田選手の高校時代の恩師である重さん(2018年に逝去)も、教え子が同じ色のメダルを獲得し、喜んでいるに違いない。

 

パリ五輪セーリング競技は、残すところ男女のフォーミュラカイト級のみ。2週間におよぶ熱戦は、間もなく閉幕する。

 


現在発売中の『Kazi8月号』では、岡田選手の強さをひもとく特集「岡田奎樹の衝撃。」を10ページにわたって掲載。本人の自己分析、クルー吉岡選手のインタビュー、そして関監督のコメントや岡田選手の父・正和さんからいただいた幼少期のエピソードなどを紹介している。ぜひお手にとって、パリ五輪での戦いぶりと「答え合わせ」していただきたい

 


第1レースBFDを背負ったまま淡々とレースを展開し、金メダルを獲得したオーストリアチーム。フィニッシュ後、互いの健闘を称え合った

 


銅メダルは4位から逆転したスウェーデン。喜ぶクルーと、驚きを隠せないスキッパーの対比が面白い1枚。スキッパーのアントン・ダールベリは東京五輪の銀メダリストだ

 

 

パリ五輪 男女混合470級 最終成績(上位10艇)

1位 オーストリア(38点)
2位 日本(41点)
3位 スウェーデン(47点)
4位 スペイン(49点)
5位 ポルトガル(53点)
6位 フランス(56点)
7位 イスラエル(67点)
8位 スイス(68点)
9位 オーストラリア(74点)
10位 ブラジル(84点)

 

日本代表の成績(12日目終了時点)

【男女混合470級】8月8日で9レース終了
岡田奎樹/吉岡美帆 2位/19艇[1-2-2-6-(14)-12-9-3-3(MRのためポイントは6)]

【男女混合ナクラ17級】8月8日で13レース終了
飯束潮吹/西田カピーリア桜良 17位/19艇[17-17-(19)-17-17-17-10-17-19-11-7-11]

【男子iQフォイル級】8月1日で全13レース終了
富澤 慎 18位/24艇[6-20-3-(BFD 25)-15-18-13-17-18-(21)-9-17-13]

【女子49er FX級】7月31日で全12レース終了
田中美紗樹/永松瀬羅 17位/20艇[4-12-4-14-12-11-14-16-(19)-13-19-11]

 

 

公式のリザルトは以下よりご覧ください。

ワールドセーリング リザルトセンター
https://paris2024.sailing.org/racing/results-centre/

 

パリ五輪デイリーレポートはこちら。

■DAY1 女子49er FX級の田中美紗樹/永松瀬羅が初日4位|パリ五輪

■DAY2 男子iQフォイル級の富澤 慎は6位発進|パリ五輪

■DAY3 風に恵まれたマルセイユ、日本勢は順位を落とす|パリ五輪

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■DAY6 男女混合470級の岡田/吉岡、メダルに向けスタートダッシュ|パリ五輪

■DAY7 岡田/吉岡は首位を維持、飯束/西田も予選始まる|パリ五輪

■DAY8 岡田/吉岡は暫定3位、上位は混戦|パリ五輪

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■DAY11 男女シングルハンド種目でメダリストが誕生|パリ五輪

 

(文=森口史奈/Kazi編集部 写真=World Sailing / Lloyd Images、Sander van der Borch、Jean-Louis Carli)

 


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●8月5日発売、月刊『Kazi』9月号|特集は「レーサーの資質」

●五輪でのメダル獲得に向けたオリ強の取り組み①

●男女混合470級 岡田/吉岡、世界を制す。次はアジア大会金メダルへ

 


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