ボートで日本一周したい! けど実際には色々難しいので、妄想ですることになった当企画。前回は大分県の別府北浜ヨットハーバーから宮崎県のカームラナイハーバーへと進んだ。さて、今回は?
【これまでの内容】
カームラナイハーバーのグランピング施設がすごいキレイでびっくり。こんなところでのんびりできたらな~なんて夢を見ながら、ゆったり散策する(妄想)。クルージング先で感じる潮風と夕日というのがとても好きだったりする。
普段、そんなにゆったりした気持ちで散策しない、というのはあると思うが、クルージング先ではどこへ行くにも、よほどの親切に出合わない限り、歩くことになる。そうなると、嫌でも自然を感じざるを得ないのだ。風、光、温度など、普段以上に感じられて、急ぐこともない心の余裕と海辺であることの開放感が相まって、とても気持ちのいい心地になる。さらに、風呂上がりでビールが片手にあったら、もう言うことなし。クルージング先で夜を明かしたことのある方にはわかっていただけると思う。
そんな心地で歩きながら次の港への思いをはせる。さて、次はどこへ行こう? 真っ先に思い浮かべたのは、種子島。宇宙センターがあるというだけで魅力的に聞こえるのは気のせいか。種子島には、小さな漁港がたくさんあるらしいが、そういったところによそ者が行っても迷惑であろう。大きな港は三つ。北西部にある西之表港は一番大きな港のようで、本州からのフェリーも入港する。南西部にあるのは島間港で、こちらも大型船は入るようだけど、整備はこれからみたい。こちらには奄美大島との連絡船が入港する。南東部にある熊野漁港は水深が浅いようで大型船こそ入らないものの、大型の漁船は見られる様子。
各種マップを見ていたら、熊野漁港には指向灯がある。これは航路標識の一つで、光が常に3色(緑、白、赤)出ていて、向かって行くフネからは、真ん中の安全なコースだと白色、コースの右側にそれると赤色、左側にそれると緑色の光が見えるようになっていて、正しいコースを進めるように導いてくれるものだ。学生のころ、静岡県の下田港の指向灯を利用したことがある。夜間で周辺は浅瀬だらけだったから、白色灯が見えていれば正しいコースだとわかるのは非常に安心した。
でも、指向灯が設置されている、ということはコース取りを正確にしないと危ない海域なのかも。と思いつつも、指向灯に導かれるように熊野漁港に視線が吸い寄せられる。調べてみると徒歩圏内に温泉保養センターなるものもある! 島の東側を通れば、もっと南部にある宇宙センターを沖から見ることもできる。
もし、種子島の次の寄港地に屋久島を設定するならば、断然西部のほうがいい。だが、屋久島は学生のときに一湊港に入港したことがある。近くの海水浴場で、首まで海水につかっても足先がクリアに見える水の透明度に驚いたもんだ。ほかにも行きたい島はたくさんあるから、屋久島はスルーすることにして、とりあえず今回は種子島の熊野漁港に行こうっと。
初上陸となる種子島、楽しみだ♪ 73マイル、あまり逃げ場はないから、海況が穏やかであることを願う。というか、穏やかな日を選んで行きたい
指向灯の色分け灯火。しっかし浅瀬が多いので怖そう……。しっかり注意して入りたい
熊野漁港
給油・給水、氷の補給が可能。港の入り口にはイケスなどが多数点在するので、要注意。YouTubeの「中種子町東海小組合漁港の風景種子島の風景シリーズ」で港の様子を見ることができる
GoogleEarthで熊野漁港を見てみると、こんな感じ。手前の浅瀬には十分注意して入港したい
日本一周を想定するボート〈BC〉(架空のボート)の主な仕様
●全長:8.2m ●全幅:2.7m ●搭載船外機:115馬力×2 ●燃料タンク:400L ●巡航速度:約20ノット
(文=茂木春菜/BoatCLUB編集部)
※当記事は月刊『BoatCLUB』2020年6月号に掲載していた「妄想全開! 机上で日本一周」の内容を再編集したものです。
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