ボートで日本一周⑬|種子島→奄美大島、島から島へ

2024.12.30

ボートで日本一周したい! けど実際にはいろいろと難しいので、妄想ですることになった当企画。前回は宮崎県のカームラナイハーバーを出て、念願の種子島へと向かった。さて、今回はどこへ?

 

【これまでの内容】
どんなボートで、どんな航程で、日本一周しよう?

ボートで日本一周⑫|宮崎・日南→種子島、九州東岸を南下!

 


種子島の熊野漁港では、給油は近くのガソリンスタンドに頼もうと事前に連絡してみたところ、一番近いところでは10リッター程度のみ、ということで次に近い、和人組十文字給油センターに連絡したところ、100リッターくらいなら問題ないですよ、とのことで給油をお願いした。島に行くと、水の補給も含め、ある程度大きな島でないと十分な補給ができないという場合が出てくるので要注意なのだ。とはいえ、温泉も含めて種子島をすっかり満喫して、やっぱり島はいいなと実感(妄想)。

さて、次はどこへ行こう? 種子島の南西部には小さめの島がたくさんある。その中でも気になるのは悪石島。まず名前がいい。2009年に皆既日食が世界で最も長く見られると注目された島だ。悪石島には、鹿児島港から奄美大島・名瀬港までをつなぐフェリーが入港する、やすら浜港という港があるにはある。だが、補給ができないのだ。水も燃料も。種子島の熊野漁港から悪石島のやすら浜港までは約100マイル。その後、そこから補給できそうな奄美大島の一番近い名瀬港までが65マイル程度。まぁ、無補給でも大丈夫な距離ではある。

そこで、奄美大島の港を詳しく調べてみる。すると、島の南西部に海の駅があるではないか。その名も、せとうち海の駅。このへん一帯が瀬戸内町という地名だからだろう。港の名前も同様に、このへん一帯を古仁屋港と呼ぶようだ。向かいには、すぐ加計呂麻島(こちらも一帯は瀬戸内町で古仁屋港)が迫り、間は大島海峡と呼ばれている。潮流は速いようだけど、時間を見れば大丈夫みたい(西流は低潮の約1.5時間後から高潮の約1.5時間後まで、それ以外は東流)。

早速電話してみると、あまり詳しいことがわからない様子。なので、海工房夢丸の葛西さんという方に連絡してみた。いろいろなセーラーの航海記録の中で、古仁屋港に入っている人のものには必ず登場している人物である。

葛西さんは現在75歳(※2020年当時)。2馬力船外機搭載用のボートの造船や、フネの修理やメンテをしていたという海工房夢丸を経営していた。現在は店をたたんでいるが、今でもさまざまなセーラーに頼られているそうだ(このあたりに寄るのがセールボートばかりなので)。

葛西さんによると、海の駅の岸壁は幅20メートル程度のドックのような形をしており、岸壁の反対側は浅いそうで、入港のときにそれだけ気をつければ、十分に泊めるスペースはあるし、ここがいっぱいでも、西側に葛西さんが整備したという岸壁もあるようなので、入港には問題ない、とのこと。ふぅ安心した。

葛西さんに連絡する前に港近隣のガソリンスタンドに連絡したら、給油も特に制限ないとのことだし、ここに行こうっと♪ なにより葛西さんに会いたい!

 

まっすぐ南西に向かう感じで約175NM。早朝に出ないとだから、朝日を眺めつつ、美しい海を眺めつつ、向かいたいと思う

 

古仁屋港
せとうち海の駅周辺のGoogle Earth画像。青い屋根がせとうち海の駅の拠点。水は500円で補給可能。燃料は近くのガソリンスタンドに連絡すれば運んできてくれる。海の駅のウェブサイトには20フィート未満と書いてあるし、電話で聞いてもそう言われるが、それ以上のフネの入港実績は多くあるため問題なし。このあたりのわからないことがあれば、葛西さん(090-4778-1867)に連絡も可能。ただし、葛西さんのこうした活動は完全なるボランティアなので、礼儀やマナーはきちんとわきまえよう(わきまえなかった人たちもいたという)。港の写真は、ネット検索するとセーラーの航海記録などで見られる
停泊料:無料
TEL:0997-72-4626(8:30~19:00)
※情報は2020年当時のもの

 

日本一周を想定するボート〈BC〉の主な仕様
●全長:8.2m ●全幅:2.7m ●搭載船外機:115馬力×2 ●燃料タンク:400L ●巡航速度:約20ノット

 

(文=茂木春菜/BoatCLUB編集部)

 

※当記事は月刊『BoatCLUB』2020年7月号に掲載していた「妄想全開! 机上で日本一周」の内容を再編集したものです。

 

月刊『BoatCLUB』の最新号はコチラから



クルージング

クルージング の記事をもっと読む