大海原にカヤックで漕ぎ出して、自分で魚を見つけ、自分で釣る。安全面も、釣れるも釣れないも、すべてが自分の責任。それがカヤックフィッシングです。
「このカヤックフィッシング入門講座」は、カヤックフィッシングのビギナーに向けて、有益な情報やノウハウをお届けしていきます。
5回目となる今回は、フィッシングカヤックの「再乗艇とその練習-02(グループレスキュー)」です。
(文=赤澤克哉/Kayak55.com 写真=舵社/宮崎克彦)
救助者はカヤック上で対応し、
同じリスクを負わないこと
仲間が沖で沈して単独で再乗艇ができない場合、当然、助けてあげたいですよね。このときに絶対に避けなければならないのが、自分まで海に飛び込み、2人とも危険な状況下に陥ってしまうこと。助けようとして海に飛び込んでしまうと、救助者は落水者と同じリスクを負ってしまいます。
今回、掲載した連続写真のグループレスキュー方法は、シーカヤックの「Tレスキュー」を応用したものです。シーカヤックとの違いは、シットオントップカヤックはコクピット内に海水が入らないので、排出のプロセスがないことだけです。
セルフレスキューでもそうですが、ここで注意したいのがやはりパニックを起こすこと。回避するには、救助者がまず落ち着き、落水者に声かけをして安心感を与えなければなりません。練習を重ねていれば、要領やタイミングがわかってくるはずです。
以下、写真とともに詳しく解説していきましょう。
安全圏となる艇の上からアシストする
グループレスキューの手順
①落水した仲間を発見! 救助者は、まず落水者にカヤックにつかまるよう指示を出し、落水者のそばにカヤックで近づきます。
②落水者の近くまで行ったら、救助者は落水者に話しかけて安心感を与え、落ち着かせます。何度か練習すると、コツがつかめると思います。
③救助者は艇が流れないように船体を押さえ、落水者には艇をつたってスターン側に移動してもらいます。
④救助者もひっくり返った艇を手でつたってバウに移動し、バウを確保したら艇を持ちあげます。
⑤艇を持ちあげたら、落水者がスターンを確保している状態のまま、救助者がひっくり返った艇を反転させます。
⑥救助者、落水者ともに反転させた艇をつたい、今度は艇を挟んで両サイドにポジションを取ります。
⑦落水者が乗り込みやすいように、救助者は体重をかけて艇を押さえます。救助者は、落水者が再乗艇に入るタイミングの声掛けもしましょう。
⑧落水者はバタ足をしながら艇に這い上がります。救助者は、このタイミングでライフジャケットをつかんでアシストをします。
⑨落水者は、体をひねってシートにお尻を入れていきます。救助者は、落水者がしっかり乗り込んで落ち着いたタイミングで離れましょう。
*
今回は、フィッシングカヤックのグループレスキューの手順をご紹介しました。次回はタンデム艇の再乗艇の手順をご紹介致します。
※本記事は『カヌーワールド』VOL.25の連載「カヤックフィッシング虎の穴」から抜粋したものです。併せてバックナンバーもぜひご覧ください。
※カヤックフィッシング入門講座/#01
「カヤック、PFD選びについて」
※カヤックフィッシング入門講座/#02
「パドル選びとアクセサリー類について」
カヤックフィッシング入門講座/#04
「再乗艇とその練習-01」(セルフレスキュー)
【著者プロフィール】
赤澤克哉(ホエール)
千葉県市川市のカヤックフィッシングショップ「kayak55.com」スタッフ。カヤックから釣れる魚種ならなんでもねらう、アラフィフアングラー。JSPA(日本セーフティパドリング協会)シットオンアドバンストインストラクター。Bifarrテクニカルアドバイザー。Palmフィールドテスター。Bluestormフィールドテスター。
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