カヤックフィッシング入門講座 #07|フルドライスーツのススメ

2025.01.25

「カヤックフィッシング入門講座」は、おもにカヤックフィッシングのビギナーに向けて、有益な情報やノウハウをお届けする連載です。

7回目となる今回は低水温期のカヤックフィッシングのウエア選び。

万全なウエアリングで釣りまくりましょう!

 

(文・写真=赤澤克哉[kayak55.com])

 

カヤックフィッシング
寒い時期のターゲット

冬はオフシーズンに入らざるをえない地域もあるかと思いますが、私のホームグラウンドの東京湾は、真冬でもカヤックができ、一年中釣りを楽しんでいます。

冬は水温がぐっと下がって、青ものやマダイ、根魚などはやや釣りにくくなってきますが、逆に冬になるとよりねらいやすくなるターゲットもいます。

東京湾で言えば、ヒラメやアオリイカ(冬場、越冬のために水温が安定する比較的水深のあるエリアに固まっている群れを、ティップランエギングねらいます)、アマダイなどなど。

また、相模湾や駿河湾の水深200メートル以上の場所まで足を伸ばせば、アカムツなど中深場の魚も冬の人気ターゲットです。

 

 

冬はリスクと隣り合わせ
だからフルドライスーツ

冬ならではの楽しい釣りを満喫するためには、注意点もあります。寒さが増してくると、東京湾では「ならいの風」といわれる北寄りの季節風の強い日が増えます。さらに、水温が低いことも重なり、リスクがとても高くなります。

水中では、空気中の25倍以上も早く体温が奪われるといわれています。私が冬にアオリイカを楽しんでいる千葉県の館山エリアは温暖で有名ですが、それでも年明け以降は水温が15度前後になります。これは、生身で落ちれば1〜2時間で意識不明になる水温なんです。

 

真冬の海で沈すると、低い水温であっという間に体温が奪われます。フルドライスーツを着ていれば、体自体は濡れないため、体温の低下リスクは格段に下げられます。それでも長い間水中にいれば危険なのですぐに再乗艇できる技術をマスターしておきたいですね

 

そこで、水温の低い時期に強くおすすめするのがフルドライスーツ。フルドライスーツは、“完全防水”のスーツです。落水しても濡れるのは顔と手首から先だけ。なので、落水した際、体温の低下を大幅に防ぐことができます。

写真のフルドライスーツはpalm・アトムドライスーツ(定価132,000円)。凝った作りで値段はそれなりに張りますが、命に関わる大切なギアです

 

生地は防水透湿素材を採用。縫い目は内側で全てシーリングされ、完全防水構造となっています

 

着脱、小用部のジッパーは、防水仕様となっています。防水性維持のため、スライダーが止まる場所にはZIP TECHなどの専用メンテ剤、エレメントにはパラフィン(ロウ)などを定期的に塗布します

 

首、手首はラテックスゴム仕様で、水の侵入を完全にシャットアウト。購入時にゴムがきつい場合は、開口部をちょうどいいサイズ幅にカットして調節しますが、緩すぎないように注意しましょう

 

ソックス部も一体型となっており完全防水仕様となっています。ソックス部の摩耗を押さえるためサンダルなどではなく、パドリングシューズを合わせましょう

 

冬のウエアリング
そのほかの装備

フルドライスーツは、気温や水温に合わせてインナーで調節をしていきます。インナーは綿のものは向きません。綿は発汗で濡れると乾きにくく、濡れた状態が続くと体が冷えます。やはり速乾性に優れた化学繊維のものがおすすめです。

 

■ラッシュガード上下(ベースレイヤー)

ラッシュガードは一年を通じて使えるアイテム。私は上下のラッシュガードをベースに、寒くなってきたらフリースを重ねています

 

■上下一体型のフリース(ミッドレイヤー)

繊維と繊維の間に空気の層を保つことがでるフリースは、フルドライスーツのミッドレイヤーとして完璧です。特に上下がツナギになっているフリースは格段に暖かく、極寒期は手放せません

 

■厚手ウールソックス(インナーソックス)

これまでさまざまなソックスを試してきて、圧倒的に足が暖かいと感じられたのが厚手のウールソックスです。ぜひ一度試してみてください

 

■ロングブーツタイプのシューズ

シットオントップカヤックの冬の釣りで欠かせないのが、ロングタイプのブーツ。フルドライスーツは足自体は濡れないのですが、足が外気にさらされ続けるシットオントップの場合、ブーツ内部が濡れると真冬は耐えられないほど足がかじかんでしまいます。その点、ロングブーツは乗り降りの際も内部が濡れないので、圧倒的に暖かさが違います

 

■クロロプレングローブ

パドリングでどうしても濡れてしまう手の防寒は、クロロプレン系のグローブがおすすめです。サオや仕掛けを扱うので3本指カットタイプだと使い勝手がいいですね。しなやかで伸縮性のあるタイプを選びましょう

 

冬はリスクもありますが、海の透明度は高く、空気も澄んでいてパドリングの気持ちよさは格別。ぜひ安全第一で楽しんで、そして釣ってきてくださいね!

 

※本記事は『カヌーワールド』VOL.29の連載「カヤックフィッシング虎の穴」から抜粋したものです。バックナンバーの連載記事などもぜひご覧ください。

 

※カヤックフィッシング入門講座 #01|カヤック、PFD選びについて はコチラ

※カヤックフィッシング入門講座 #02|パドル選びとアクセサリー類について はコチラ

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※カヤックフィッシング入門講座 #06| はコチラ

 

(著者プロフィール)

赤澤克哉(ホエール)

千葉県市川市のカヤックフィッシングショップ「kayak55.com」スタッフ。カヤックから釣れる魚種ならなんでもねらう。子育て奮闘中のアラフィフカヤックアングラー。JSPA(日本セーフティパドリング協会)シットオンアドバンストインストラクター。bifarrテクニカルアドバイザー。Palmフィールドテスター。Bluestormフィールドテスター。
■ kayak55.com
千葉県市川市北方町4-2094
TEL:047-711-7640
http://www.kayak55.com/

 



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