大海原にカヤックで漕ぎ出して、自分で魚を見つけ、自分で釣る。安全面も、釣れるも釣れないも、すべてが自分の責任。それがカヤックフィッシングです。
「このカヤックフィッシング入門講座」は、カヤックフィッシングのビギナーに向けて、有益な情報やノウハウをお届けしていきます。
6回目となる今回は、シットオントップカヤックによる「タンデム艇の再乗艇とその練習」です。
(文=赤澤克哉/Kayak55.com 写真=舵社/宮崎克彦)
タンデムのシットオントップカヤックでの沈は、けっこう多いもの。幅広で安定しているタンデム艇でも、重い頭×2が同時にカヤックの外側に外れると、意外にあっけなくひっくり返ります。
タンデム艇では、原則として舵の役割が担うリアシートに熟練者が乗ったほうがよいです。もし同じぐらいの経験年数のパドラー同士であれば、体重が重いほうがリアシート。家族で乗る場合は、体重が軽い奥さんや子どもがフロント、リアはお父さんとなります。
そして大切な点は、沈した際はリアシートの人が先に乗ること。たとえば、小学生ぐらいのお子さんと親子でタンデム艇に乗っていて沈したとします。心情的には子どもから先に艇に乗せたくなりますよね。しかし、お子さんが艇の上からお父さんをレスキューできませんし、もしお父さんが流されても追いかけられません。まずはお父さんが先に乗り、安全圏からお子さんの再乗艇をアシストするほうが生還する確率はぐっと上がります。
以下、写真とともに詳しく解説していきましょう。
① 落水してしまったら、2人ともに艇を手でつかむ。まず意識したいのは、やはり艇の確保。荒れた海ではなおさら重要だ。
② 艇から手を離さないよう注意しながら、艇をつたってバウとスターンに分かれる。このとき、必ずどちらかの手で艇をつかんでいること。
③ 成人2名ならバウとスターンを持って復原させる(同船者が子どもの場合はシングル艇の要領で、大人が復原させる)。
④ リアシートの人から再乗艇。もう1名は反対側で艇を押さえて乗り込みやすくする(押さえすぎると反対側の舷が上がるので注意)。
⑤ 続いてフロントシートの人が乗る。リアシートの人は両足を開いて艇の外に出し、パドルも使って艇のバランスを取る。
⑥ リアシートの人は少し前にズリ出て、乗り込む人のライジャケを掴んでアシストしてあげる。
※本記事は『カヌーワールド』VOL.25の連載「カヤックフィッシング虎の穴」から抜粋したものです。併せてバックナンバーもぜひご覧ください。
※カヤックフィッシング入門講座/#01
「カヤック、PFD選びについて」
※カヤックフィッシング入門講座/#02
「パドル選びとアクセサリー類について」
カヤックフィッシング入門講座/#04
「再乗艇とその練習-01」(セルフレスキュー)
カヤックフィッシング入門講座/#05
「再乗艇とその練習-02」(グループレスキュー)
(著者プロフィール)
赤澤克哉(ホエール)
千葉県市川市のカヤックフィッシングショップ「kayak55.com」スタッフ。カヤックから釣れる魚種ならなんでもねらう、アラフィフアングラー。JSPA(日本セーフティパドリング協会)シットオンアドバンストインストラクター。Bifarrテクニカルアドバイザー。Palmフィールドテスター。Bluestormフィールドテスター。
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