ヨーロピアン・パワーボート・アワード2023|各部門のウイナー決定

2023.02.13

3年ぶりに開催された「デュッセルドルフ・ボートショー」(ドイツ)も終わり、欧州各地で開催されるボートショーのシーズンもひと段落。そのデュッセルドルフ・ボートショーの期間中には、恒例の「ヨーロピアン・パワーボート・アワード2023(European Powerboat Award 2023)」の各部門のウイナーが発表された。

小型艇から大型艇まで、全6部門のウイナーに輝いたのは、いずれも魅力たっぷりのボートばかり。世界のプレジャーボートマーケットのトレンドが感じられるモデルが出そろった。また、今年は新たに「Electric」部門が設けられたのも、時代の流れを感じるトピックといえそうだ。

舵オンラインでは、以下、6部門のウイナーを紹介していこう。

 

(文=舵社/安藤 健)

 


【Up to 8m部門

ASKELADDEN C78 CRUISER / PARKER 780 ESCAPE
アスケラデン・C78クルーザー/パーカー780エスケープ

アスケラデン(ASKELADDEN)はノルウェーのボートビルダーで、1911年に創業し、これまでに95,000隻を超える数のボートをユーザーに提供してきた。もともと小型艇を主に取り扱ってきたが、現在ラインアップしているのは、いずれもポーランドのパーカー(Parker)のモデルを、アスケラデンというブランド名を使ってスカンジナビア圏で販売しているもの。パーカーとアスケラデンのモデルは同じ造船所で造られており、オプションに多少の違いがある。

このアスケラデン・C78クルーザー(=パーカー780エスケープ)は、全長7.8メートルのオープンタイプのボート。船首キャビンには大人2人が足を伸ばして寝ることができるスペースを備えており、デイクルーズはもちろんだが船中泊も可能。もちろん広々としたデッキには大人7人が余裕をもって乗ることができ、釣りやいろいろなアクティビティーも存分に楽しめるはず。

ハルは、パーカーのモデルではおなじみのステップトハルを採用。250~350馬力の船外機に対応しており、走りのパフォーマンスも期待できる。

 

【SPEC】
●全長:7.80m
●全幅:2.55m
●乾燥重量:1,900kg
●燃料タンク:230L
●清水タンク:40L
●船外機:250~350馬力

(問い合わせ)
ASKELADDEN BOATS
https://www.askeladden.no/en
オカザキヨット(PARKER 日本総輸入元)
https://okazaki.yachts.co.jp/

 

 

 

※Up to 8m部門のその他のノミネート艇
●Bayliner M19
●Beneteau Flyer 8 Sundeck
●Boston Whaler 250 Dauntless
●Rand Source 22

 


【Up to 10m部門】

JEANNEAU CAP CAMARAT 10.5 CC
ジャノー・キャップキャマラ10.5CC

パワーボートとセールボートを問わず、大小さまざまなタイプのモデルをラインアップする巨大プレジャーボートビルダーのジャノー(フランス)。そのパワー ボート部門において、スポーティーな船外機モデルのシリーズとして知られるのが「CAP CAMARAT(キャップキャマラ)」だ。

今回、ヨーロピアン・パワーボート・アワード2023の「Up to 10m部門」においては、最新モデルの「キャップキャマラ10.5CC」がウイナーに輝いた。

全長10.9メートルのセンターコンソール艇で、釣りに、クルージングにと、マルチな遊びに対応。エンジン(船外機)は300馬力または425馬力の2基掛けとなっており、キャップキャマラの最大の魅力の一つである高速走行が快適に楽しめるようになっている。

アフトコクピットに加えて、船首にもラウンジエリアを装備。左舷側にはドアが設けられており、船を乗り降りする際はもちろん、海水浴を楽しんだりするような場合にも便利に違いない(上の画像を参照)。操船席の後ろには、シンクとコンロが備えられているほか、冷蔵庫を追加することも可能。きっと楽しい時間が想像できるはずだ。

また、キャップキャマラシリーズのフラッグシップの名にふさわしく、船内のスペースも充実。明るく開放的な空間には、合計4つのバース、独立したトイレ&シャワールームも備わっている。

 

【SPEC】
●全長:10.9m
●ハル長:9.31m
●全幅:3.25m
●喫水:0.723m
●重量:4,582kg
●燃料タンク:400L×2
●船外機:300馬力×2/425馬力×2

(問い合わせ)
オデッセイマリーン
https://www.odysseymarine.co.jp/

 

 

※Up to 10m部門のその他のノミネート艇
●Nuva 9 Open
●Quarken 27 T-Top
●Westline 27
●XO Discover 9 T-Top

 


【Up to 14m部門】

DE ANTONIO D36 OPEN
デ・アントニオD36オープン

「Up to 14m部門」のウイナーの座は、スペインの「デ・アントニオD36(DE ANTONIO D36)」が勝ち取った。

ビルダーのDE ANTONIO YACHTSは、2012年にバルセロナで創業。設計から建造に至るまで最先端の技術を盛り込むと同時に、斬新なスタイリングも特徴的で、ビルダーの歴史は浅いながらも、デイボートのマーケットにおいて大きなインパクトを与えている。ヨーロピアン・パワーボート・アワードにおいても、2019年にD46オープンがウイナーを勝ち取ったほか、2018年にはD28、2020年にはD42がノミネートされるなど、非常に高い評価を受けていることがうかがえる。また、世界15カ国に、30以上のディーラーネットワークを築いている。

現在は、28、32、36、42、50の5モデルをラインナップしており、上部構造などが異なる仕様をそれぞれで展開中だ。

D36オープンは、ウオークアラウンドスタイルを採用し、随所にこだわり抜いた意欲作。船首と船尾には大型のサンベッドを備え、中央に操船席とラウンジエリアというレイアウトになっている。

船内空間はいくつかのオプションが用意されているが、船首にマスターステートルーム、ミジップにゲストルームという構成。白を基調としたすっきりとしたインテリアも現代風で、センスの高さを感じさせるものとなっている。

エンジン(船内機)は600~800馬力となっており、最高速度は45ノットとのこと。

 

【SPEC】
●全長:11.5m
●全幅:3.40m
●喫水:0.60m
●重量:4.5t
●燃料タンク:850L
●清水タンク:170L
●エンジン:600~800馬力

(問い合わせ)
De Antonio Yachts
https://www.deantonioyachts.com/

 

 

※Up to 14m部門のその他のノミネート艇
●Bavaria SR 36
●Jeanneau DB 43
●Wellcraft 355
●Windy W 34 Alize

 


【Up to 20m部門】

PRESTIGE M48
プレステージM48

注目のモデルがノミネートされた「Up to 20m部門」。ウイナーを獲得したのは、カタマラン(双胴艇)の「プレステージM48」(フランス)だ。

近年、マルチハル(多胴艇)の人気は世界的なものとなっており、ますますマーケットが拡大している。そんななか、プレステージも満を持して、マルチハルの「Mシリーズ」を新たに展開。ファーストモデルとしてリリースされたのが、このM48である。

いうまでもなく、プレステージといえば大型のラグジュアリー・モーターヨットのトップブランドの一つとして知られている。その経験は、マルチハルの世界においても存分に生かされているようだ。圧倒的な船上空間の随所から、高いクオリティーと美意識が見て取れる。

 

【SPEC】
●全長:14.79m
●ハル長:14.37m
●全幅:6m
●喫水:1.2m
●軽荷排水量:18,002kg
●燃料タンク:1,200L
●清水タンク:600L
●エンジン:ボルボ・ペンタD4-320×2

(問い合わせ)
Prestige Yachts
https://www.prestige-yachts.com/en/

 

 

※Up to 20m部門のその他のノミネート艇
●Absolute 56 Fly
●Fjord 53 XL
●Pardo GT52
●Riviera 4600 Sportsyacht

 


【Displacement部門】

SUPER LAUWERSMEER SLX 54
スーパーラウアースメール・SLX54

スーパーラウアースメールは、1960年代に創業したオランダのボートビルダーで、スチール(鉄)製のボートを専門に手掛けている。小馬力のエンジンを搭載し、のんびりと船上生活を楽しむようなボートを中心にラインアップしている。

このSLX54は、そんなラインアップにあって、個性が突出した意欲作。ロワーデッキが居住空間、アッパーデッキに操船席、そしてフライブリッジという三層構造になっているが、アフトキャビンへと通じるロワーデッキ後部の大きな出入り口がとても特徴的だ。

船内は、木材を多用したトラディショナルな雰囲気。「家のように快適に水上で楽しむ」というコンセプトは、独特のレイアウトからも見て取れる。

 

【SPEC】
●全長:17.05m
●全幅:4.95m
●喫水:1.20m
●排水量:32t
●燃料タンク:2,000L
●清水タンク:600L
●エンジン:ボルボ・ペンタD4-175×2/ボルボ・ペンタD4-270×2/ヤンマー6LY440×2

(問い合わせ)
Super Lauwersmeer
https://superlauwersmeer.nl/en/

 

※Up to 20m部門のその他のノミネート艇
●Beneteau Swift Trawler 48
●Linssen 55 SL AC Variotop

 


【Electric部門】

CANDELA C-8
カンデラC-8

今回新たに設けられた「Electric」部門。そのウイナーにふさわしいテクノロジーを満載したモデルが「カンデラC-8」だ。

環境保護やSDGsといった観点から、ボートの世界でも電動化の時代へということが現実的になりつつある。スウェーデンのカンデラが開発した「C-8」は、水中翼でフォイリングすることで、エネルギー消費を大きく削減。20ノットのスピードで、2.5時間以上(約57海里)の連続航行を実現した。バッテリーは、電動車メーカーのPolestarと共同で開発したもの。

フォイリングすることによって高速での航行が可能となっただけではなく、従来の艇に比べると乗り心地も大きく快適になったという。同社ディレクターのMikael Mahlberg氏いわく、「まるで魔法のカーペットに乗っているようだ」とのこと。すでに150艇以上のオーダーが入っており、2024年春のデリバリー枠が間もなく満杯になる勢いだ。

 

【SPEC】
●全長:8.50m 
●全幅:2.50m
●排水量:1,605kg
●電動モーター:Candela C-Pod (45/50 kW)

(問い合わせ)
Candela Boats
https://candela.com/

 

※Electric部門のその他のノミネート艇
●Delphia 11 Sedan
●Magonis Wave E 550
●Silent 60
●Steeler 61 S Electric

 

 


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